【レインボー(LGBT)選挙結果に思う】

今回の参議院選挙では、立憲の当事者候補の明暗が分かれました。
立憲から立候補した増原裕子さんと石川大我さんのお二人ですが、増原さんは京都選挙区の二位争いで大健闘するも落選、かたや石川さんは参議院比例区選挙制度の特性により当選となりました。
この選挙をざっと振り返ると、参議院選挙は、選挙区、比例区とも候補者の氏名を書いてもらわないといけません。しかし、衆議院選挙と決定的に違うのは、比例復活がないということです。
先の2017年の衆議院選挙では、同党の尾辻さんは、惜敗率52.5%で比例復活しています。惜敗率の計算方法は、ある選挙区での最多得票数で、惜敗率を計算したい候補者の得票数を割り、100をかけた数になります。つまり尾辻さんは、当選した他党の議員の半分の得票数で国会議員になれたわけです。
実は、増原さんも、惜敗率で見るとトップ当選の自民党議員の55.0%にあたる得票ですから、尾辻さんの選挙とほぼ同じ結果と言えます。(立憲の比例区の候補者の得票数が少なすぎるとも思います)
つまり、2017年と2019年では、LGBTブームが加速したように見えても、いざ地方の選挙区となると、LGBT票は決して伸びていないということが数字からは見受けられます。
一方、石川さんは、72,326票で民主党の代位7位の当選者となりました。
もし、石川さんが自民党から出馬していたら、自民党では、比嘉候補が、113,443票、中田候補が、11,361で落選していますから、当然、72,326票では落選となります。
かりに野党でも国民から出馬していたらというと、さらに悲惨な結果になります。国民は党勢が衰退していますから、候補者が票を大量得票しても、落選になっています。国民の落選者は、石上候補の191,703票、田中候補、143,253票でも落選になっています。
参議院比例は、党勢と党の当選させたい候補という二つの要因が当落の大きな要因になるということです。
当事者団体等が、LGBT選挙として臨んだ今回の参議院選挙は、これらを勘案して、選挙結果を見ると、全くLGBT票が伸びなかったにも関わらず、立憲に吹いた追い風によって当選が決まったと言えるでしょう。今までと同様の傾向です。
石川さんは、ゲイの当事者として同性婚を掲げて選挙戦を戦いましたから、同性婚では、全国で、72,326票しか得られなかったということです。比例区は全国から票を得ることができますから、同性婚を最優先課題として求める有権者の声は、未だこの程度という目安になるでしょう。
松浦大悟さんが、もし、立憲を離れる選択をしていなければ、と思うと色々な思いに駆られますが、政治は本当に「一寸先は闇」問う言うことでしょうか。
現在の私は、自民党の政策アドバイザーですから、自民党が勝利したこの選挙結果は嬉しいのですが、3年半、永田町で活動して気付いたことは、与党から当事者国会議員を出さない限り、政策の実現は相当難しいという現実です。
LGBTブームの実態は、比例区選挙(尾辻→石川)の数字を見れば、12年間で倍増していますが、それでも72,326票ですから、やはりLGBT票は限られていると言えるでしょう。パートシップ制度に取り取り組んでいる自治体やアライ企業は、この数字を真摯に受け留めて、急ぎ過ぎることなく、じっくり取り組みを進めて欲しいと思います。急ぐと溝を深めることが、数字からも確認できた選挙だったと思います。
LGBTへの実際の風は、そう吹いていません。一方的に吹かせているのはメディアですが、そのメディアも選挙となるとほとんどLGBT報道はしなかったように思います。国民の主たる争点ではないということでしょう。
当選した石川さんもこのことを踏まえて、議員活動をして欲しいと願います。
石川さんは当然のことながらしっかり議員活動をして欲しいと思いますし、増原さんは、一回休んでまたチャレンジして欲しいと思いますが、私はやはり、自民党から当事者議員を出すことの難しさを痛感せざるを得ない選挙になりました。立憲から出馬しても72,326票という現実は当事者には本当に厳しすぎる結果ですが、それとともに将来、自民党から当事者議員をと言う目標に向けて大きな目標ができた選挙になりました。

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