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他者と響き合うということ 音の仕組みから考える

この記事は2023年9月刊行の同人誌『まるくあるく』に掲載しているため、noteでは有料で販売しています。

金沢青雨


音楽大学のカリキュラムというのは特殊だ。わたしが学んだ学科では、一、二年生の必修に「音楽理論」という科目があった。もっぱら西洋音楽史を志す者も、はじめは幅広く日本音楽史や民族音楽学を学ぶことになっている。卒論のテーマを決めるまでに専門を大きく変える者もいたから、学生たちの視野を広げるためにも必要な仕組みだったのだろう。音楽理論もそういった科目のひとつだった。

音楽理論の授業で大きなウエイトを占めていたテーマが音律だった。音律というのは、音の相対関係のルールのようなもの。作曲や和声とも異なる。宇宙が音楽と同じ調和で成り立っていると考えられていた時代から、現代に続く調律の歴史まで、扱う内容は多岐にわたる。

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