想像力

創作意欲と情報量について

先日、ラジオ「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」のポッドキャストを聞いていたら、鈴木さんが宮崎駿さんにまつわる面白いエピソードを語っていました。
鈴木敏夫さんはスタジオジブリのプロデューサーをされている方です。

その中で、なぜジブリ作品に登場する食べ物はどれも美味しそうなのか?
という話題になり、その答えとして鈴木さんは冗談まじりで、
「宮さん(宮崎駿さんの愛称)は普段から質素なものしか食べてない」
「クリエーターは満たされすぎるといいものは作れない」
という話をしていました。

なるほど確かに一理あるかもしれません。
「こんなものが食べたい」という描き手の「想像力」と、ある種の「渇望」がジブリのアニメーションを魅力的にしている、ということなのでしょう。

現代はネットをはじめ、メディアが多角化して情報があふれています。
絵、音楽、文章などを作り出すクリエーターは、昔とは比べものにならない量の情報に囲まれて創作活動をしています。

僕もイラストを描くことがありますが、見たことがないものは資料を集めて描きます。
あるときネットで資料を集めていて、参考にしたい資料に関連した様々な情報や画像を見ているうちに満足してしまい、創作意欲が減退していることに気づきました。

資料はあくまでも作り出すものにリアリティを与えたり説得力を持たせるために必要な補助的なもので、資料にひっぱられてしまっては本末転倒です。

読んだ本のたった一行から影響を受けて壮大な物語を作り出すことが可能なように、取り入れた情報量と作り出すもののクオリティは比例しません。
むしろわずかな情報をもとに自分の経験をプラスして膨らませた方が魅力的なものが生み出せるということは、先程の宮崎駿さんのエピソードが物語っています。

自分で何かを生み出す時のきっかけになるものは、これまで自分の中に蓄積されてきた経験や情報の断片だけでいいのかもしれません。


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