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最近の映画手法

年末の予定などを少し。

『Arrivée des trains au 21ème siècle』が「Future Vision Festival」の"NON-NARRATIVE"部門にノミネート。12/16に東京で、1/6にはアムステルダムで上映されるようです。

また12/22には、旧ソ連の防空壕にあるBomba Galleryによる「Bomba Video Club」というイベントで『PAN AND KAN』が上映されます。

年明けの1/5~1/9には、インドの「International Folklore Film Festival」という映画祭で『BLESSIN OF THE MOUNTAIN GOD』が上映されます。

それぞれの短編は、異なる手法実験によって導き出されました。

『Arrivée des trains au 21ème siècle』は「古今テレワーク」という手法で制作された連作の一篇です。
Public Domainを再利用することで映画から映画を作ろうという試みで、リュミエール兄弟の100年後に生まれた世代にのみ可能な新しい映像様式といえます。

一方、『PAN AND KAN』は、人が出てくる代わりにモノが動き回る広義のアニメーション作品です。
人形アニメは、日本でも多くつくられていますが、私の場合、日用品がそのまんま出てきて、野外を疾走します。同工の短編では『iRon』という2台のアイロンによる恋愛譚があります。

『BLESSIN OF THE MOUNTAIN GOD』は、OpenAIによる作品群の一つで、旧来の映画制作ツールであるところの、カメラ/照明/録音装置等の代わりにStable Diffusion/PIKA LAB./CREEVO等を使用して映画を造形する試行となっております。

要は、「映画の細胞」のサンプルとなるような、制作費を極端に抑えた“ブリコラージュによる映像制作”を具現化してる真っ最中というわけですが、我ながら実験精神が過ぎるのではないかと思うところもあります。

だからというわけでもないのですが、最近私は上映機会を記述するだけで、誰にも観に来てくださいとは言ってなかったりします。
(そもそも私自身が仕事で参加できない場合が多いし)

それでは、一対誰が観て、何が生じ得るというのか――?

そのような問い返しをしてみると、最低でも、上映機会をくださった皆様にとっては、少なからず意味があったということが了解されてきます。
そして私自身は、それで十分なのではないかと思っているところもあります。

たとえば、『PAN AND KAN』は、日用品によるアニメーションでしたが、同様の手法を、ギャラリーのキュレーターであり、若い映像作家でもあるДиана Галимзяноваさんが、キャリアの最初期において実践されていたということを後に知りました。

このような同時代的な着想に邂逅するだけで、何か大きな励ましを受け取ったように感じられるのは私だけでしょうか。

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