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バリスタが使う牛乳について解説【vol.78】

皆さんこんにちは青島です
今回はバリスタにとっても馴染みのある【牛乳】 
について解説していきます。

目次
1 牛乳に含まれる成分の理解
2その成分がどのように味わいに直結するのか
3濃厚な味わいとさっぱりな味わいの牛乳の成分の違いは?

ではさっそくやっていきましょう。

そもそも牛乳は、哺乳類である牛から得られる乳液であり、栄養価が豊富でありながら多岐にわたる化学的な成分が含まれています。
牛乳の主な成分とその科学的な説明をします。

牛乳に含まれる成分の理解

水分(水)
牛乳の主要な成分は水で、約87〜88%を占めます。これにより、乳液が流動性を持ち、他の成分が均一に分散することが可能となります。

乳糖(ラクトース)
乳糖は牛乳の炭水化物成分であり、約4〜5%を占めます。ラクトースは、グルコースとガラクトースという2つの単糖から構成されており、消化酵素であるラクターゼによって分解されます。乳糖不耐症の人々は、ラクターゼの不足により乳糖を十分に消化できない場合があります。

乳脂肪(脂肪)
 牛乳中の脂肪は約3〜4%で、エネルギーの主要な供給源です。脂肪は脂肪球と呼ばれる微小な粒子に包まれており、これによって乳液中で均一に分散されています。乳脂肪は脂肪酸とグリセロールから構成されており、食事の栄養バランスや味わいに影響を与えます。

タンパク質
タンパク質は牛乳の約3.2%を占めており、アミノ酸の基本単位から構成されています。これらのアミノ酸は、体内でタンパク質合成や組織修復に使用されます。

ミネラル
 牛乳にはカルシウム、リン、マグネシウム、カリウムなどのミネラルが含まれています。特にカルシウムは健康な骨や歯の形成に重要な役割を果たします。

ビタミン
牛乳にはビタミンA、ビタミンD、ビタミンB12などの脂溶性ビタミンや水溶性ビタミンが含まれています。これらのビタミンは、免疫機能や代謝プロセスのサポートに必要です。

これらの成分がどのように美味しさに直結するのか?

脂肪(脂質)

脂肪は牛乳のコクとクリーミーさの源です。
牛乳の脂肪は、風味を形成する重要な成分です。
脂肪は乳脂肪として存在し、主に乳脂肪球という微小な粒子の中に含まれています。これらの脂肪球は乳液中に分散して浮遊し、乳の白色と濃厚な質感を生み出します。
脂肪は乳製品の風味を複雑化し、飲み物や食品のクリーミーさや滑らかさを増加させます。脂肪はさらに、風味成分を包み込む役割を果たし、飲み物やデザートに独特の豊かさをもたらします。異なる牛の品種や飼育環境によって、乳脂肪の含有量や組成が変化するため、脂肪含有量の異なる牛乳は、そのクリーミーさと味わいが異なることがあります。

タンパク質

タンパク質は風味の持続性と構造を形成する要素です。
牛乳のタンパク質は、主にカゼインとホエイ(乳清)からなります。これらのタンパク質は水中に分散し、牛乳中の乳酸カルシウムと結合してゲル構造を形成します。このゲル構造は風味成分を保持するため、牛乳の風味の持続性に寄与します。

掲載元 食品開発ラボ

カゼインは主にゲル構造を形成し、タンパク質の凝集を引き起こす役割を果たします。ホエイは水に溶けやすく、乳液中に分散して風味成分を包み込む役割を果たします。タンパク質の組成や構造が風味とテクスチャに与える影響は複雑であり、牛乳中のタンパク質が風味の強さや持続性に影響を及ぼします。

糖分(乳糖:ラクトース)

糖分は風味のバランスと甘味を感じさせる要素です。

乳糖は牛乳中の主要な糖分で、甘味をもたらす炭水化物であり、甘い味わいを強調します。乳糖はガラクトースとグルコースという2つの単糖から構成されており、甘味と微妙な酸味をもたらします。乳糖の存在は風味のバランスを調整し、牛乳の風味プロファイルに特徴的な甘味を感じさせます。

特に発酵による乳糖の分解は、風味に大きな影響を与えることがあります。微生物によって乳糖が乳酸に変換される過程で、風味の変化や複雑なニュアンスが生じることがあります。これにより、乳糖の分解が風味に奥行きを与えます。

ミネラル

ミネラルは栄養と風味に影響を与える成分です。

牛乳はカルシウム、リン、マグネシウム、カリウムなどのミネラルを含む重要な栄養源です。これらのミネラルは骨の健康や神経伝達に関与するだけでなく、風味にも影響を与えます。特にカルシウムは乳液中で結合し、ゲル構造の形成や風味の持続性に寄与します。一方で、他のミネラルは酵素活性や酸化反応に関与し、風味の変化を引き起こすことがあります。

ビタミン

ビタミンも風味と栄養に影響を与えます。

牛乳にはビタミンA、ビタミンD、ビタミンB群などのビタミンも含まれています。これらのビタミンは風味だけでなく、身体の健康にも影響を与えます。特にビタミンAは脂肪に溶ける性質を持ち、脂肪分が多い牛乳との相性が良く、風味に深みと奥行きを加える役割を果たします。また、ビタミンDはカルシウム吸収に関与し、骨の健康と風味の持続性をサポートします。

濃厚な味わいとさっぱりな味わいの牛乳の成分の違いは?

濃厚な味わいの牛乳とは

脂肪
 濃厚な牛乳は通常、脂肪含有量が高いです。脂肪はクリーミーさと濃厚さを提供し、口当たりを豊かにします。

タンパク質
タンパク質も濃厚な味わいに寄与します。タンパク質は乳液の安定性を高め、ゲル状の構造を形成して飲みごたえを増します。

糖分
 一部の濃厚な牛乳は、糖分がやや高めである場合があります。これにより、甘味や風味が強調され、濃密な味わいが生まれることがあります。

さっぱりな味わいの牛乳とは

脂肪
さっぱりとした味わいの牛乳は、脂肪含有量が低いことが特徴です。脂肪の量が少ないため、口当たりは軽く、クリーミーさは抑えられます。

タンパク質
 さっぱりな牛乳も一定のタンパク質含有量がありますが、濃厚な牛乳ほどゲル状の構造は形成されにくい傾向があります。したがって、飲みごたえは相対的に軽く感じられるかもしれません。

水分
さっぱりな味わいの牛乳は、通常水分が比較的多いです。これにより、飲んだ際にさっぱりとした感触が得られます。

要するに、濃厚な味わいの牛乳は脂肪とタンパク質が豊富であり、口当たりがクリーミーで飲みごたえがあります。一方、さっぱりな味わいの牛乳は脂肪含有量が低く、水分が多めであるため、軽やかな飲み心地とさっぱりとした味わいが特徴です。

まとめ

牛乳の成分は、脂肪、タンパク質、糖分、ミネラル、ビタミンといった要素からなり、これらが複雑に組み合わさることで牛乳の風味が形成されます。脂肪はクリーミーさと風味の奥行きをもたらし、タンパク質は風味の持続性を形成します。
糖分(ラクトース)は風味のバランスと甘味を感じさせ、ミネラルとビタミンは風味と栄養の結びつきを担います。これらの成分の絶妙なバランスと相互作用によって、牛乳の風味と奥深さが実現されています。

そしてバリスタは、エスプレッソを使いラテなどを作る際に、これらの牛乳の違いを把握している事も必要です。



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