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夜と暁の娘|詩



やみがたい憧れ

長い黒髪で
空と星の
涙をぬぐう

さやさやと
雫を乾かす
涼やかな風が吹く


その合間から
愛が野ばらのように
小さな芽を伸ばし

慈しむことを忘れた乙女を
たしなめるように
きららかな最初の蕾を結ぶ

まなこを上げて
目に映るすべてのものを
乱れなく愛せよと
告げるは
美神ウェヌス暁の女神アウローラ


さあ
今宵は
カモミールの花のなかでお眠り

夜明けには
真珠色のつま先で
朝露を踏みしめ

歩き出す

まだ誰とも知れぬ
のひとのもとへと





最近、フランス象徴派の詩を読んでいるので、頭の中がすっかりその色に染まっています。

それで、こんな詩ができあがったわけですが...。

美神ウェヌスは、英語読みだとヴィーナス。ギリシャ神話のアフロディーテにあたります。

暁の女神アウローラは、ギリシャ神話のエーオース。

おふたりとも、恋物語で鳴らした女神です。

恋多き神というのは、男神も女神もどちらもですが、ご本人が浮気性だったというよりはむしろ、人気ゆえに「うちの家系は女神〇〇の血統です」と言いたがった当時の王侯貴族らが、婚姻譚を自ら作り上げた、というのが由来のようです。

ですので、アフロディーテはもちろん、暁の女神エーオースも、人気が高かったのでしょうね。

いくつか絵画を検索してみましたが、やはりブーグローに落ち着きます。

ブーグロー "The Aurora"(1811)



タイトル画像は、quanghoanphotos様@pixabayです。



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#女神 #ローマ神話
#眠れない夜に

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