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【絵本】『おにたのぼうし』作・あまんきみこ/絵・いわさきちひろ

「多様性」という言葉なんて、知らなくても。


思いやりと優しさに溢れた、少し切ない、大好きな絵本。
節分がやってくるたび、読みたくなります。

あらすじ

節分の夜のことです。どのうちからもまめをまく音がして、おにの子のおにたは、いくところがありません。つのをかくす古いむぎわらぼうしをかぶって、まちを歩いていきました。ようやく小さな橋をわたったところに、まめのにおいのしない家をみつけました。そこには、おんなのことおかあさんがすんでいました。おかあさんは病気でした。てんじょうのはりの上で、ふたりのようすをみていたおにたは、おんなのこをよろこばせてやりたいと思います。

絵本ナビより


娘が小さい頃は、この絵本を一緒に読んで、いろいろ話しました。

おにた、優しいね。
おかあさん、早くよくなるといいね。
女の子、嬉しそうだね。
おにた、かわいそうだね。
「鬼」って、なんだろうね。
おにたを追いはらう人間のほうが、鬼、みたいだね。


「多様性」という言葉は知らなくとも、
この絵本を読むだけで、
子どもはとてもたくさんのことを感じ取り、理解します。

豆を投げられる立場の「おにた」。
お母さんの病気が早く良くなるように豆を投げて厄払いしたい「おんなのこ」。
違う立場、違う視点。
でも、心の奥には同じ優しさと思いやりと愛があって。

お母さんを大好きな女の子の気持ちも、
お友達に喜んでもらいたいおにたの気持ちも、
ひとりぼっちになりたくないふたりの気持ちも、
どれも等しく自分の中にもある子どもたちは、
おにたにも女の子にも、自分自身を重ねて見ます。

「ほかの人になってみる」というその体験の、なんて豊かなこと。

読み聞かせにも、ぜひ。



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