さち

本と沖縄が好きです。好きなことについて、ゆるゆると。 おはDAOコミュニティ参加中。 …

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本と沖縄が好きです。好きなことについて、ゆるゆると。 おはDAOコミュニティ参加中。 小学生のHSCの子育て中。 社会福祉士・保育士・介護支援専門員。

マガジン

  • 『おはよう、私』(短編連作小説&音楽)

    小説と音楽でひとつの世界を作り上げる『おはよう、私』をまとめて読める無料マガジンです。 糸をつむぐように織り重なってできた、連作短編小説&音楽『おはよう、私』。 この作品が、どなたかの心に届きますように。

  • 書きものの部屋

    感じたこと考えたこと、わたしが書いた記事をまとめています。読んでくださったなら、うれしいです。

  • 本の部屋

    わたしの大好きな本だけを並べた部屋。 いつか壁一面の本棚みたいになる日を夢見てニマニマしています。 「ふーん、どれどれ」くらいのスタンスで気軽に立ち寄ってみてくださると嬉しいです。 もしもこの本棚の中にあなたのお好きな本や気になった本があったなら、さらに幸せです。

  • お気に入り記事

    素敵なクリエイターさんたちの、素晴らしい記事をまとめています。どれもおすすめしたい記事ばかり。

  • 絵本部屋(大人向け)

    どちらかというと大人のかたに響く絵本を集めたお部屋です。

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「おはよう、私」①(短編連作小説 & 音楽)第1話

第1話・瑠璃  朝。  遠く聞こえるアラームの音が意識をたたく。  細く開いたカーテンの隙間から、細い光がこぼれている。  ああよかった今日はいい天気なんだなと、ぼんやりした頭で反射的に考える。  「よかった」と思ったのは仕事で人に会いに行く予定があるからで、晴れていれば移動がらくだからだ。雨ならば広がってしまう細いくせ毛も、今日はきっと大人しく、肩で揺れてくれるだろう。  ほとんど無意識に、頭の中で手帳を開く。  ベッドに横になったまま、今日の予定を確認していく。

    • 「おはよう、私」④(短編連作小説 & 音楽)音楽編

      短編連作『おはよう、私』をお読みいただき、ありがとうございました。 この3つの物語には、根底を貫いて流れる一曲の音楽があります。 第3話で青磁の背中をやさしく押した、この曲です。 ↓  もともとは歌詞のないピアノ曲でした。  その優しくうたうようなメロディーからインスピレーションを得て、小説『おはよう、私』は生まれました。  そして嬉しいことに、この物語がまた、作曲者である Jagaさんにインスピレーションを与え、曲に歌詞がつきました。  糸をつむぐように織り重な

      • 「おはよう、私」③(短編連作小説 & 音楽)第3話

        第3話・青磁  朝。  スマホのアラームで目が覚める。  カーテン越しに伝わる外の世界はまだ薄暗く、僕は小さくうめく。  うう、なんだかいい夢を見てたのに。  なんでこんな薄暗い時間にアラームが鳴るんだ。  さらさらと崩れていく夢のしっぽを追いかけてもう一度寝てしまおうと思った刹那、今日が春休み明けの一日目であることを思い出す。  スマホは7時を知らせていた。  耳を澄ますとかすかに雨の音がした。外が薄暗いのは、どうやら雨のせいらしい。  ぼうっと雨の音を聞いている

        • 「おはよう、私」②(短編連作小説 & 音楽)第2話

          第2話・葵  朝。  アラームの音が意識に届く。  細く開いたカーテンの隙間から、細い光がこぼれている。  ああよかった今日はいい天気なんだなと、まだ半分眠りの中にいる頭で反射的に考える。 * * * *  昨日の朝は雨だった。  雨の日は、子どもを保育園に送るのにいつもより時間がかかる。  レインコートを着こみ、自転車の後ろに乗せた子どもに椅子ごとすっぽり雨除けカバーをかぶせ、自転車を漕ぐ。  たったそれだけのことなのに、どういうわけかいつもより15分は余計に時間

        • 固定された記事

        「おはよう、私」①(短編連作小説 & 音楽)第1話

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          『両手にトカレフ』ー 子どもであるという牢獄

          ブレイディみかこさんの『両手にトカレフ』は、子どもの貧困をテーマにした小説だ。 ティーン向けに書かれたような読みやすい文体ながら、内容は決して甘くない。 表題の「トカレフ」が拳銃のことだとわかったときには、ひやりとした。 銃を両手に少女が撃ち抜きたかったもの、それは一体なんだろう。 1.子どもの貧困生活保護費がドラッグに消えていく 物語の舞台は現代の英国、主人公は14歳の少女ミア。 アルコール&ドラッグ中毒の母親に代わり、9歳の弟チャーリーの世話を、ほぼ一人でしてい

          『両手にトカレフ』ー 子どもであるという牢獄

          言葉のひとひら『あなたのための短歌集』

          少し疲れたとき、わたしには詩や短歌が効く。 心も体もいっぱいで、もうこれ以上何も入らないと思うとき、詩や短歌をただ眺める。 なにが書かれているのか、意味は考えない。 ただ眺め、その言葉のもつ音が、頭の中を流れるままにする。 ぼうっとした頭を、言葉はただやさしく通り抜けていく。 ひらひらと通りすぎていく言葉たち。 考えることを要求しない言葉たち。 ふいに、言葉のかけらが反射する。 わたしの中のなにかが呼応し、言葉がひとひら、きらりとひかる。 なぜ光ったのか、何に呼応し

          言葉のひとひら『あなたのための短歌集』

          夜を歩く

          あれは沖縄のどの島だったろう。 本島からずいぶん離れた、小さな島だった。 一日思うさま泳いだあと、宿でシャワーを浴びて着替え、明るい夕方の空の下、バスに乗って夕食を食べに出かけた。 * * * * 沖縄のごはんと音楽とおしゃべりをたっぷり堪能してお店を出る。 バスの時刻表を見ると、次のバスまでまだ少し時間があった。 すでに陽は落ち、昼間の強烈な熱気は涼やかな夜風に変わっている。 歩くのも気持ちがいいかもしれないね、お散歩がてら次のバス停までぶらぶら行ってみようか。一

          夜を歩く

          2000円分のアイスクリーム

          「よかったら家族で食べて」とサーティワンアイスクリームのギフト券をいただいたので、2000円分のそれを持って、1駅先のサーティワンへ行く。 ショーケースの前で、思いきり悩む。 ストロベリーショートケーキ、キャラメルリボン、ラムレーズン。 ジャモカコーヒー、オレンジソルベ、白桃ブラマンジェ。 よりどりみどりのサーティワン、ああどれも美味しそう。 あまりに悩んでいるので、店員さんが次々に試食をくれる。 アマーロアフォガード、ティーオーレ、新作の抹茶きなこ。 ひとさじずつ手

          2000円分のアイスクリーム

          【おはDAOコミュニティ】じゃがさんインタビュー#1「おはDAOって、なんですか?」

          おはDAOコミュニティの皆さま、 おはDAO~ ♪ OH…COMM(オーエイチコム)の 事務サポート的な役割を させていただくことになった、 さちです。 運営メンバーに応募した理由や経緯は こちらの記事に書かせていただきました。 お読みいただけたら嬉しいです。 さて、今回は、じゃがさんに 普段なかなかゆっくり聞けないことを インタビューさせていただいたので、 それを記事にしてみました。 (会話している時間は そんなに長くなかったのですが 記事に移し替えたら、わりと 長

          【おはDAOコミュニティ】じゃがさんインタビュー#1「おはDAOって、なんですか?」

          「本を読まない人生を生きるつもりはない」ー素敵な選書サービス見つけました

          先日noteで、こんな記事を見つけました。 へえ、わたしだけの3冊を選んでくれる、選書サービス。 ふむふむ、オンライン完結。お手軽。 え、しかも無料。 なるほど、選んでもらった本のタイトルと選書コメントがメールで送られてくるだけで、別に買う必要もないのね。 …つまり、ただただ純粋に、本屋さんが、 わたしだけのために本を3冊選んでくれるってこと? え、なにそれ、楽しくない? うわ、そしてなんて素敵なアカウント名。 「いつか読書する日」。 んんん、これはもう、申し込むしかな

          「本を読まない人生を生きるつもりはない」ー素敵な選書サービス見つけました

          雨の日の読書ー『掃除婦のための手引き書』

             ルシア・ベルリンの短編の出だしは、いつもこんなふうだ。  静かで、透徹している。  窓の外から静かに聞こえる雨音みたい。  彼女の文章を読むたび、いつもそう思う。 * * * *  『掃除婦のための手引き書』は、24篇からなるルシア・ベルリンの短編集だ。  死後10年経って再発見された彼女の短編は本国アメリカで大絶賛され、たちまちベストセラーになった。  日本でも、2020年に本屋大賞の翻訳小説部門で第2位になっている。  表紙の写真はルシア本人。美しい人だ。

          雨の日の読書ー『掃除婦のための手引き書』

          わたしたちは、似ている。

           仕事を辞めたとき、同期の子が「お餞別に」と言って「T (彼女のイニシャル)文庫」と書かれたミカン箱くらいの大きさの段ボールをくれた。  開くと、文庫本がぎっしり詰まっていた。 * * * *  その職場はみな比較的仲が良く、わたしもみんなとよく一緒にごはんに行ったり旅行にでかけたりした。  でも彼女は、ほとんどそういうことをしなかった。  学生時代からの婚約者がいて、仕事が終われば彼と過ごすためすぐに帰ったし、いつも静かで正確な仕事をし、ひとりでランチを食べることを好

          わたしたちは、似ている。

          センス・オブ・ワンダーを育む

          早朝の公園。 誰もいない新鮮な空気の中を、 まだ小さかった娘と、よく一緒に歩いた。 草の上には無数の朝つゆがきらきらと光り、まるで宝石が散りばめられた絨毯の上を歩いているようだった。 娘は一歩ごとに立ち止まり、 そんな朝つゆを飽きることなく眺めた。 * * * *  自然の美しさに目を見はるときに感じる、幸福な驚き。  東京で暮らしていても、日常の中にこういう瞬間はたくさんある。  そんなときに決まって思い出すのが、レイチェル・カーソンの『センス・オブ・ワンダー』だ

          センス・オブ・ワンダーを育む

          散歩の効能

           雨の日の散歩が好きだ。  普段はたくさんの人がジョギングをしている公園も、雨の日は、ひっそりとしている。  濡れた草木の香りは瑞々しく気持ちがいいし、葉に思うさま雨粒を受けている木々もどことなく嬉しそう。  ときどきすれ違う人もわたしも、それぞれが雨と傘に閉じ込められて、なんだかまるでプライベートな空間ごと移動しているみたい。  雨音と草木の香りに満ちた、プライベート空間。  あまりの心地よさに、ふと気がつくと、いつもよりたくさん歩いている。  晴れの日の散歩が

          散歩の効能

          春樹さん、「壁」って一体なんですか。(システムとしての「強固な壁」と、意識の境界線としての「不確かな壁」)

          わたしは普段、小説を分析したり検証したりすることは、どちらかというとあまり好きじゃない。 細切れに分断すると、物語の生命力のようなものが損なわれてしまうような気がするから。 蛍の体を分解して「なぜ光るのか」を知っても、生きた蛍が光るさまを見る感動を知ることはできないのと同じように、優れた物語は蛍のように生きて光を放っているし、その美しさを味わい愛でるときに分析や説明は不要だ。 蛍も物語も、わたしは丸ごと味わいたい。 それが放つ光ごと、それが持つ魔法ごと。 だから、「村

          春樹さん、「壁」って一体なんですか。(システムとしての「強固な壁」と、意識の境界線としての「不確かな壁」)

          わたしが「OH...COMM」の運営チームメンバーに応募した理由

          おはDAOコミュニティの皆さま、 おはDAO~♪ ご無沙汰しております、さちです。 皆さまへの久しぶりのおはDAO、 とても嬉しいです。 TwitterもMZDAOも、 ほとんど突然に近く辞めてしまったので (わたしの中ではずっと 考え続けてきたことだったのですが)、 十分にご挨拶できないままに なってしまった方も いらっしゃったかと思います。 もし、 「急にいなくなって、どうしたんだろう?」 と、ご心配をおかけしてしまった方が いらしたとしたら、 ほんとうにごめんなさ

          わたしが「OH...COMM」の運営チームメンバーに応募した理由