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美女と野獣に悪役はいない。

私がディズニー映画にハマるようになった根源が、アニメ映画『美女と野獣』である。

たしか金曜ロードショーだったか。
テレビで初めて見た『美女と野獣』。そこでルミエールが歌う「ひとりぼっちの晩餐会」の3音に心を奪われ、ディズニーの世界に足を踏み入れた。

「ひとりぼっちの晩餐会」より

この映画の好きなところは沢山あるが、何より1番感心したとても好きなところは、この映画には悪役(ヴィラン)が登場しないというところである!!

、、、、、、





まてまて、そう焦るな。落ち着いて聞きたまえ。
皆さんは言いたいのでしょう。この映画のヴィランは言うまでもなくガストンじゃあないかぁ!!と。
果たして本当にそうか?
貴女方にガストンがヴィランだと言い切ることができるのだろうか?

ここでガストンの悪事(?)をざっとあげると、

・ベルと結婚したくて執拗に迫る。
・モーリス(ベルの父)を頭のおかしい奴だと一蹴する。
・野獣を退治しようと城を襲い、野獣を○しかける。

くらいだ。
こう見ると確かに悪事らしい悪事を働いているように見える。
こんなのが自分の近くにいたら関わりたくない。

が、しかし、しかし!!
そもそもガストンは民衆に慕われているのだ。これは酒場でガストンを元気づける曲「強いぞ、ガストン」を見るとわかる。

「強いぞ、ガストン」より

また、ガストンには取り巻きの女性が3人もいやがるのだ。
3人の女性をうっとりさせやがって。解せない。非常に。

要するに、ガストンのキャラクターとして不器用で乱暴な部分もあるが、外見が良く、リーダーシップがある人とも言い換えることができる。

ガストンのリーダーシップについては、初めて彼らが魔法の鏡を使って野獣を見て、その醜い野獣を倒すために城を襲う歌「夜襲の歌」からわかる。

ベルと野獣の恋模様を知らないで、民衆の目でガストンを評価すると彼をヴィランと呼ぶことは出来ない。
彼に乱暴な側面があっても本気で彼のことを嫌う人はいないのではなかろうか。まさしくジャイアニズムが発動されるべくして発動される人なのだ。

私が何も知らない民であったら、頭のおかしいモーリスの「野獣がいる!」という意見を真剣に聞かない。そんなものいるわけが無いし、そもそもモーリスの発言を信用出来ないからだ。

私が民として初めて野獣を目にしたら、恐ろしい見た目と鋭い牙と爪を持つ野獣を倒して欲しいし、ガストンに鼓舞されたなら自ら野獣を倒しに行くだろう。こんなものに襲われると思うと夜も眠れなくなるからだ。
現にベルが初めて野獣を見たとき、彼女も恐ろしいと怯えていたでは無いか。


ここで私が言いたいことは、ガストンはヴィランにしては動機と行動が弱すぎるということと、そんなハンサムガキ大将を極悪人のように描き上げたディズニーはすごいということだ。

『美女と野獣』は民衆を通して人の流されやすさと独裁の恐怖、偏った情報を鵜呑みにすることの愚かさを真実の愛の裏で結構大きく描いている作品だと思う。

そんな人間の腹黒さが垣間見えるところも含めて、私はこの作品が大好きなのだ。

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