ライブハウス其の三

高校を卒業して、しばらくビル清掃の会社でアルバイトをしながらドラムを叩いていた

ビル清掃で高い場所からブランコに乗って窓を掃除していると会社員の方々が窓越しにオフィスで熱心に仕事をしている

半年位働いた頃にTVを点けると自分が卒業した高校の校門がワイドショーで写されていた

どうやら、ゲイの教師がゲイ専用のダイヤルQ2で覚醒剤を売りさばいていたらしい

政治家の秘書なんかにも顧客がいたらしく高校教師でゲイでシャブ中で売人というスキャンダルは当時の世間を騒がせていた

その教師とは話した事すら無かったが、あだ名は知っている「フリーザ」だ

ドラゴンボールに出てくる不気味なアレに確かに少し似ていた


それぐらいの時期にカートコバーンが自殺したとニュースが流れたりもして

同時期くらいにアイルトンセナがレース中に死んだりして

なんだか、暗いニュースが多いなぁと感じていた時に高校生ん時に出入りしていたライブハウスの店長から連絡が入り

新しい職場のライブハウスで店長になったから一緒に働かないかと誘われた

少しワクワクした

面接を受けて、働き始めた

少し変わったライブハウスで、本業はボーカルスクールを経営していて

そのスクールの生徒達が月に一度発表会の時にライブハウスを貸切りにする

スクールの募集文句が「素人の貴方も当スクールに入れば、ステージで歌える」的な文句だったような気がする

店長は高校からの付き合いだから、やり易かったが

PAの人は取っ付きにくく、少し絡み癖があった

遅刻が多く仕事にムラがあり、ステージに上がる人の演奏内容によってはクオリティーが高過ぎるPAをやっていた

その逆も然りで、酷いPAの時は素人の私にも分かる手抜きをしていた

遅刻が多く段々リハーサルの時のPAは店長がやりライブ本番のPAは、その人がやるというヤバい状況が続いた

違う人がやるから当たり前だが、音のバランスがリハーサルと本番で違うのだ

そのうちライブハウスに出演しているバンドからの評判が悪くなり、店のライブ本数が落ちてきた

ライブハウスの社長も馬鹿ではないので、気がつきPAの人には辞めてもらい店長が店長兼PAをやることになり一人スタッフを募集する事にした

仕事が絡まなくなると取っ付きにくかったPAの人とも自然と仲良くなっていった

自宅がレコーディングスタジオでもあるので時々遊びに行きドラムを叩かせてもらったりした

プロドラマーのドラムテクニシャンをやっていただけあり、ボロいヘッドなのに無茶苦茶良い音がしていた

チューニングが素晴らしく良いのだろう

博学多才な人で実家が寺の人なので、仏教の教えの良い部分?なんかも色々と話を聞かせてもらった

しかし時々なんだが、注射を打つ癖がある人だった

何故ライブハウスで働いていた頃に遅刻が多かったのか理由が分かった

ジャンキーになると、時間の概念が崩れて一般常識を否定するようになり自分を正当化する

当時の私は注射には興味がなかったが、自宅にレコーディングスタジオを持つPAのオジサンには興味が湧いた

録音担当しているアーティストもいて

ライブハウスの仕事を失っても生活には困っていないように見えた

ただ、見えていただけで裏では売人をやっていた

そうなると私も少しずつ距離を置くようになり、ライブハウスの仕事とドラムに専念するようになった

新しくスタッフで入った音響学校の新卒の女の子は、仕事は出来なかったが あまり気にならなかった

店のライブ本数も増え忙しく、ボーカルスクールの発表会も毎月行われていた

そのライブハウスで働いていると、変わった人達と知り合った

同じバンドメンバーの女ボーカルをストーキングしてしまうキーボードの人とか

 最初に出演した時にはロン毛で暗い歌ばかり歌っていたが、しばらく見かけなくなり再びライブハウスに来た時に金髪でおかっぱ頭にして眉毛を剃って瞳の瞳孔は開ききっていて歌は完全に劣化していた人とか

何の変哲も無い歌謡曲を歌っているが物凄い集客力で毎回店を満員にしていたが、客に対して詐欺を行い逃亡生活に入り刑事が店に訪ねてきた人とか

所沢で暴力団に属していたが、歌うのが好きで舎弟数名を客として連れて弾き語りで出演していた人とか

上げればキリがない位、沢山の面白い人と出会った








ここまで書いて眠くなってしまったので、続きは次回書こうと思います。

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