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【マガジン】月の砂漠のかぐや姫

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今ではなく、人と精霊が身近であった時代。ここではなく、ゴビの赤土と砂漠の白砂が広がる場所。中国の祁連山脈の北側、後代に河西回廊と呼ばれる場所を舞台として、謎の遊牧民族「月の民」の… もっと読む
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2020年2月の記事一覧

「月の砂漠のかぐや姫」これまでのあらすじ②(第15話から第32話)

「月の砂漠のかぐや姫」これまでのあらすじ②(第15話から第32話)

「二人だけの約束」、そして、「二人だけの秘密の名」を持った竹姫と羽。
「自分は人外の存在で、本当に一緒にいてくれる人はいないんだ」
 そのように感じていた竹姫は、このことをどれだけ喜んだことでしょうか。羽と出会えたことを、どれだけ幸せに思ったことでしょうか。でも、その竹姫の幸せに影を落とすように、夜の砂漠に大きな天候の変化が訪れたのでした。
 それは大規模な砂嵐「ハブブ」でした。
 二人は急いで駱

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「月の砂漠のかぐや姫」これまでのあらすじ①(第1話から第14話)

「月の砂漠のかぐや姫」これまでのあらすじ①(第1話から第14話)

 これは、今でない時、ここでない場所での物語です。

 東アジアに秦という国があり、中央アジアに安息(パルティア)という国があった頃、その二つの地域の間では、いくつかの遊牧民族が勢力を競っていました。
 その遊牧民族の中で最も栄えていたのが、後に河西回廊と呼ばれることになる祁連(キレン)山脈の北側を中心にして、ゴビと呼ばれる荒れ地で遊牧生活を行っていた「月の民」でした。
 遊牧民族「月の民」はいく

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