ひとりぼっちの発明家 #自作詩

赤い風船に 電波を詰めて
宇宙に放てば
人工衛星と 高速通信
少しはきみを知れるだろうか
地球の上からみた地球
きみは いったい何を思うだろうか

青い楽譜に ピアノを詰めて
深く深い海に沈めた
海星の楽曲 録音だ
少しはきみも笑うだろうか
世にも不思議な音色なら
きみの 耳にも届くだろうか

世界でもっとも有名な
その発明家は 失敗ばかり
奇想天外 支離滅裂
つまらない技術の連続に
ひとは笑いを隠せない
それでも彼の 頭脳は今日も
ハッピー素敵に大回転

きみに見せたい 奇想天外
きみと聴きたい 支離滅裂

あの日彼女は出掛けていった
それから彼女は帰ってこない
嵐のなかの列車に乗って
彼女は何処かに消えてった

可哀想だと みんなが言った
あの日 あの時 あの夜に
あの子が旅にでなければ

何十年もの時間が過ぎた
つまらない技術は今も
ハッピー素敵に 失敗中
見せたいガラクタ降り積もる

タイムマシン以外のものは
彼はなんでも 作るだろう
時間を戻すこと以外
彼はなんでも やるだろう 

時間を戻さなくたって
地球の上からみた その景色
彼女に教えて欲しいだけ
不思議な音色の その声で
彼女に歌って欲しいだけ
あの夜 ポンコツ列車に乗ったより
ずっとつまらないものを見たの
そんな声が 聞きたくて

またきみに会えるなら
ハッピー素敵に 生きられる
いまきみに 会いたいよ

笑っちまうだろ、
ぼくは世界でいちばん有名な
間抜けな老いぼれ発明家
きみもきっとみんなと同じ
笑っちまうに決まってる
老発明家の頭脳と技術
毎日休まず 大回転

どうかも一度その顔で
楽しく笑って くれないか

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