アリストテレス全集を読む。
岩波書店版アリストテレス全集(旧版)を読んでいます。今で13巻目くらい。タイトルの画像は表表紙部分なのですが、この赤、いかにもアリストテレスっていう感じがしませんか?
大学生時代にもアリストテレス全集を読んでいましたが、改めて読むと昔読んだときよりも楽しめています。大学生の頃は同じ岩波書店から出ているプラトン全集の方が好きだったのですが、今はアリストテレス派です。大学図書館の書庫に引き籠もって本を読んでいた頃がとても懐かしい。プラトン、アリストテレス、プロティノスの全集がそれぞれ近くに配置されていました。
何気にこのアリストテレス全集は僕の癒しになっています。ちなみに僕が読んでいるのは岩波の旧版の方なのですが、新しい方の版はどうなんだろう。神学大全は正直新しい版に差し替わっている巻はめちゃくちゃ読みにくくなっているのですが、アリストテレス全集の新旧については全く話に聞かないので地味に気になっています。
アリストテレスといえば「ニコマコス倫理学」が日本では最も有名ですが、僕が高校生の頃に読んだ文献では世界的には「エウデモス倫理学」の方が重要視されていると指摘されていました。この辺りの事情は、今はどうなんでしょうね。何だかアリストテレス関連は全く情報が入ってこないのですが、自分の情報収集能力に深刻な問題を感じています。
ともあれ、こうして過去の話題などを振り返りながら読んでいると物凄くノスタルジックな感情に浸ってしまうのですが、アリストテレスの自然科学関連部分の巻を読んでいると、そうしたノスタルジックな感情と同時に子供の頃に抱いた天体図鑑や生物学関連本を読んでいた頃の純粋に楽しいという感情と同じ感情も懐きます。
学生時代など、明確な自我が確立されるより以前の子供の頃の感情にそのまま戻ってしまうという感じですね。無心で月のクレーターの図と海の名前を書き写していた頃と全く同じ感情なので不思議なものです。
僕にとってアリストテレスは過去と現在と未来に同時に存在する哲学者です。
僕が人生を通じても一度も顔を見ることの叶わない賢者は、何故かずっとまだ存在している気がしてしまう人でもあります。遥か古代のギリシャの海の彼方から、ずっと人生を照らしてくれている気がして、いつか会いたいと夢想してしまうそんな不思議な存在です。
最果ての海、星空の向こう側。
古代人が見た憧れは、僕が古代の賢者に思索を馳せる時に感じる想いとどこか似ているのかも知れないと思いながら、再読しています。
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