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経営者なる者はダークサイドに陥りえる。気をつけないと(ベターアイデア? v3-81)

昨日、協力会社さんに依頼していた仕事が終り、請求書が届いた。あれ、思っていたより安い。見積より安い。とてもがんばってもらったし、先方も小さい会社さんだから、あと1割上げて、請求し直してください。と伝えた。ボクは心から感謝しているので、あと1割ぐらいはいいかな、と思っただけ。

で、ふと思い出した。前の会社を経営していた時の話。お客様であるABC株式会社さんから、とてもありがたい対応してもらったことがあった。人生で初めての経験であり、ビジネスの世界ではあまり”露骨”にはないと思う対応。

詳細・具体的に説明しないので、表面的になるのだけど、ABC株式会社さんがとても困っている状況で、こちらは土日対応や急な地方出張や、とにかくお願いされたこと全てをスピーディーに緊急対応した。

で、請求は、それらの土日対応や緊急対応も鑑み、計算させて頂いた。そしたら、もっとたくさん請求して!と言われた。今回は緊急だったので、見積書は無い。単価は合意していて、あとはその積み上げ計算。そしたら、ご担当の権限者の方から、いや、もっと価値あることをやって頂いた、本当に助かったから、もっと金額をあげていい。本当に緊急ごとを色々やってもらった、とのことなのだ。で、具体的な増額の「ご指示」も頂いて、当初の請求額に2、3割プラスして請求させてもらった。

こんなことはまず無いと思うが、以下のようなことは、まぁ、普通にある。例えば、予算が余りそうだから何か発注したい。あるいは、いつもお世話になっているのでお歳暮などの贈答品。出張行ってきたのでお土産です。接待・会食。イベントや展示会への招待やら施設見学。頑張ってくれたから次回からも御社を使う、契約更新とか。。。

でも、このABC株式会社さんのケースは、本当にボクらの仕事を評価してくれ、感謝の言葉とともに、請求額を上げてください、という対応。予算が余ったとかそういうことではない。贈答品などのちょっとした額ではない。今後も緊急対応があるからよろしくね!をバーターにしてもいない。もちろんお客様の社内で通せる理由があったから大丈夫だったのだとは思うけど。とにかく、先方さんからの感謝の気持ちが伝わり、お言葉に甘えた。

個人の場合も、商売関係/人間関係を良くするために、お金は使いよう、なんだと思う。高級なお店で多めに払う、お札を別途渡す、おつりを受け取らない。お金持ちのノーブレス・オブリージュなのか、何らかの見返りを求めてなのか。あるいは、単にそういうことをしている自分が好きなのか、人それぞれ、ケースバイケースなのでしょう。

でも、ボクは何かをして貰う側になるのは苦手。理由が無いととても気持ち悪いし、あってもあまり好きでは無い。自分の分相応で、節度持って人生生きれば良いと思っている、からか。なので、1.相手と、2.理由(ボクから相手への過去のGiveの程度)と、3.その額、この3つが適切でないと非常に嫌な思いになる。この、Give & Takeで言うとTakeの方には抵抗がある。されるより、する方が好きだし、心地良い。どうも、してもらうのは好苦手みたい。でも、ボクがそうだから、ボクが何かする時は、相手に不快が無いようにとても気を使う。。。

で、そんなボクなのに冒頭のABC株式会社さんからの、「請求額を2,3割上げていいよ」をどうして喜んで受入れたのか。。。

ここに「会社」を経営することの「怖さ」を思う。個人のボクに対し、このような話があった場合は、確実に断わる。1.相手と、2.理由(ボクから相手への過去のGiveの程度)、3.その額、を検討して考えても、断わる。でも、会社の場合は、受け入れ、喜んで増額請求。

会社には社員がいる。予算・目標がある。株主がいる。会社の業績・キャッシュをどうにか良くしたいマインドがある。真っ当なマインドなのか、プレッシャーなのか。当初の請求額で、ボクの会社としては正当であった、はずなのに、お客様からもう少し高くして請求していいよ、と言われたら、大丈夫ですよー、と断わる風で、結局は喜んで請求した。。

「会社を経営する」というのは、危険な・非情な人格を増長させる、と思っている。スターウォーズで言うとダークサイド(暗黒面)に陥る。実際に陥ったひとを何名か見てきたし、もともとダークサイドな人格で経営を始めたひともいる。こんなひとは始めると益々、ダークサイドが増長する。それに、TOPになるまではイイヤツが、社長になった瞬間に、誇示的で、独裁的で、専制的で、搾取的で、暴力的で、横柄になる。そして決まって「臆病的」だ。弱いのだ。

原則、全員が部下。主従関係。言うことをきく。心地良い。公私混同も可能だ。心地良い。一方で、部下はコストだ。人件費。利益を奪う相手でもある。なるべく人件費は下げながら、言うことをきかせる。それに、もらえるものはもらう。追加の売上・利益は自分のモノだ。だから、誇示的で、独裁的で、専制的で、搾取的で、暴力的で、横柄になる。

話戻って、このABC株式会社さんとは今でもとても良い関係だ。あ、ボクはもうその会社の経営には携わっていないけど、昔の仲間とは会うし、会社も行くし、ABC株式会社さんの方々とはちょこちょこご飯をする。だから、良い関係が維持されていることを知っている。売上的にも成長している。

で、それは、その後は、ABC株式会社さんに対して、利他主義で、お客様第一主義で、土日対応も、緊急対応も頑張った、から。そして同時に、請求には「節度」を持つよう気をつけたから、だと思っている。高めに請求しよー、なんてことをそれ以来しなかったし、もっと請求していいよも、断ってきた。ダークサイドに陥らなかったと思っている。。。

経営は、ダークサイドが口を開けて待っている。ダークサイドは心地良い。陥った方が経営者個人にとってはそれで人生幸せかもしれない。が、その社員、お客様、そして、その経営者の大切な周囲のひとは、幸せではない。会社もそんな経営者のもとで、立派に成長を継続できるとは思いにくい。。。何かあった際、例えば、経営が傾く、病気になる、事故にあう、そんな時にダークサイドの無力に気づく。誰もが助けてくれない、という仕打ちで。けど時すでに遅し。本当に日々、気をつけないと。

今日のベターアイデア:
個人ならしないことを、経営している会社ならする。会社を経営するというのは、人格を変える。あるいは、自らが持っているダークサイドが現れるというべきか。「怖い」と思って経営しないと。ダークサイドに陥って、そのまま堕落したひとも目にしたし、ニュースでも聞く。ダークサイドの社長は、主従関係・奴隷関係を楽しみ、誇示的で、独裁的で、専制的で、搾取的で、暴力的で、横柄で、そして臆病的だ。が、これでは映画スターウォーズと結局は同じで、最後には勝てません。周囲を幸せにはできません。鬱になるか、身体壊すか、捕まるか、退任させられ肩書き無く誰も相手にしてくれない。お金はあるかもしれないけどね。いますね。こんなひと。対岸の火事ではありません。気をつけないと。本当にこれはベターアイデアかな。

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