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弟子入りしてからすること④

弟子入りしてからする事の、メインのあれこれについては色々と説明してきましたが、今回は地味な色々を説明していきたいと思います。しかし、今から説明する内容は職人仕事...社会人として求められる当たり前の事しか書いておりません。

①師匠の制作の準備のサポート
例えば、「師匠が色挿しをする」という時に、電熱器や筆洗、顔料(または染料)と絵皿と筆、ミニテーブル、色試し用の小布...などを適切な場所に配置する事です。「ロウ置きをする」という場合は、どの種類のロウを使うのか聞いて、溶かして、適切な環境を整えます。「次は地入れか」と分かったら、地入れ用の刷毛を水に浸けておく...とか、師匠の行動を把握して先読みしつつ準備とサポートをする必要があります。工房全体の動きを把握して、制作の手順を覚える事にも役立ちます。(キチンと教えますので安心してください。しかし、メモは取ってください)

②色挿し後の片付け
師匠が色挿しを終えた時の片付けです。筆の管理の方法や洗い方などの基本を覚えてもらいます。また、師匠がどのような色をどのような濃度で使ったのかを勉強できる機会でもあります。真面目に取り組めば「思ったより色数が少ないな...」など、色々な発見があるはずです。

③引染後の床拭きと片付け
フォリアでは引染めの後は必ず床を拭きます。中には、自分の作業を中断したくないからといって、師匠や私が床掃除をしているのを見て見ぬふりをする人がおりますが...。バケツの片付けや刷毛の洗い方、管理についても教えます。

④蒸しの後の不織布の片付け
蒸しに使う不織布をキレイに汚れを取り除きながら、片付けて貰います。次回使う時の事を考えて適切に片付ける必要があります。素早く適切にしないと、シワが寄ったままになってしまいます。

⑤水元後の掃除
これも掃除の仕方などは教えます。濃い地色も薄い地色も同じ浴槽を使いますので、常に清潔な状態でなければいけません。水元という最終段階で、シミが付く危険性がありますので、とても大切な仕事です。

⑥給食後の皿洗いなど片付け
給食の料理についても、覚えて貰うことになりますが、最初は皿洗いからです。こちらも丁寧に素早く適切に...という職人仕事の基本を学んで貰います。「レストランの調理場に働きに来たわけではない」という主張を感じる方もいらっしゃいますが、フォリア工房の給食システムは職人仕事の基礎を覚えてもらう為のものなので、「料理だから自分には関係ない。染色だけ教えてほしい」というのであれば、染色のお教室を探してください。フォリアは、染めを中心とした創作・文化全般を学ぶ修行をする場所です。

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そして、当然ですが全ての仕事は精度高く行う必要があります。アルバイトレベルの精度で「出来た」と思われる方がいらっしゃいますが、プロの仕事の現場です。プロの精度を理解出来るようになる為にも、1つ1つの仕事を真剣に取り組みましょう。

任せた仕事が出来るようになってきましたら、することは増えていきます。料理を習ったり、伸子の色抜きや整備、実際の作品で揮発地入れや地入れをして貰ったり...私が今している事を、してもらう感じです。色々な段階を飛ばして、師匠と張り合う人が少なくありませんが、とりあえず、まずは、姉弟子である私の仕事を奪ってください。自分の現状を把握出来ずに、張り合う人を間違える人は少なくありません。何が出来ていて、何が出来ていないのか、冷静に観察してください。

続き↓
弟子入り後の中弛み5選


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