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2023/5/31 5月の日本政治経済まとめ

⭕ 日本の今月の目玉はなんといってもG7広島サミット。そして、日経平均株価がバブル崩壊後最高値、消費者物価指数、実質GDP成長率、労働力調査など、今月の日本政治経済を簡単にまとめてみました

⭕ 掲載資料が多く、はじめに「まとめ」を読んでもらった方が分かり易いと思います。


① G7広島サミット 5/19-21

✅ G7広島サミットの重要課題をあげると、

「対ロシアウクライナ情勢」「対中国台湾情勢」「対北朝鮮」「核軍縮・不拡散」「経済安全保障」「気候変動」「エネルギー問題、脱炭素」「食料安全保障」「コロナ後の対応」「LGBT」「生成AI議論」などがあげられます。

 特に安全保障関連に於いては最重要課題と言えます。今回のサミットにより、日本は「安全保障の強化」という、大きな収穫を得る事が出来ました。


⭕ 対ロシア安全保障

 国連の理事国であるロシアが、クリミア半島併合、ウクライナ侵攻と「力による現状変更」を働いた事もあり、国連は既に機能不全となっています。そんな中、民主主義国で会合するG7サミットは安全保障に於いて大きな原動力となります。
 
 ゼレンスキー大統領のG7電撃参加により、G7+ウクライナが結束。グローバルサウスの首脳も多く出席し、特にウクライナ情勢において中立の立場を取っていたインドのモディ首相とゼレンスキー大統領が会談を行った事で、インドに於いても「ロシアの力による一方的な現状変更の拒否」のメッセージが世界へ発信されたと言えます。

この会談で、モディ首相は「ウクライナで続いている戦争は世界全体にとって大きな問題だ。経済や政治にとどまらず、人道的な問題だと私はとらえている」と述べました。インド、特に私は個人レベルで解決のためにできることは何でもする」とゼレンスキー大統領に伝えました。

出典元 NHK NEWS WEB

 中露に経済的に依存気味なグローバルサウスの取り込みによって、対ロシア経済制裁の効果を向上させる事が可能になります。

 また、ゼレンスキー大統領は、日本から100台のトラックや食料を、米国からをF16戦闘機の供与を勝ち取りました。


出典元 NHK NEWS WEB

「グローバル・サウス」とは、
明確な定義はないものの、冷戦時代に「第三世界」と呼ばれていたアジアやアフリカ、中南米などの新興国や途上国を指すものです。ウクライナ情勢をめぐっては、ロシアによる軍事侵攻を支持しない一方、欧米などによる経済制裁には加わらないなど、欧米側にもロシア側にもつかず、中間的な立場をとる国が多いとされています。そして、欧米諸国とロシアなどとの対立が続くとともに、その経済規模が大きくなる中、近年、政治的にも、経済的にも、国際社会における存在感が増しています。

出典元 NHK NEWS WEB

⭕ 対中国

 インドのモディ首相、オーストラリアのアルバニージー首相のG7参加により、クアッド「Quadrilateral Security Dialogue」(日米豪印戦略対話)メンバーの集結が実現し、故安倍晋三首相がはじめに提案したとされる「自由で開かれたインド太平洋」の実現へ向けて、今一度、対中国への結束が固まりました。
 
 インドをコミットさせ、対露経済制裁を強化する事により、中国の進める「一帯一路構想」(この辺りの土地と海は全部俺たち中国の物)に対し、「台湾侵攻をしたらどうなるかわかってるよな?」的な効果的かつ絶大な牽制になります。

 中国は既に、ウイグル、チベット、内モンゴル等を勝手に俺たちの物にしており、ミャンマーの軍事クーデターにも関わっていると考えられ、実効支配を拡大しております。また、直近2022年ではスリランカを借金漬けにしデフォルトさせ、港を強奪。今、インド洋が大きく脅かされています。

▼Quad 日本、米国、オーストラリア、インドの首脳や外相による安全保障や経済を協議する枠組み。英語で「4つの」を意味する「Quad(クアッド)」という通称が定着する。4カ国はインド洋と太平洋を囲むように位置し、自由や民主主義、法の支配といった共通の価値観をもつ。今回の首脳協議は1月に就任したバイデン米大統領の強い働きかけで実現した。

出典元 日本経済新聞

自由で開かれたインド太平洋
インド太平洋地域において、法の支配を始めとする共通の価値や原則に基づく、自由で 開かれた秩序を実現することにより、地域全体、ひいては世界の平和と繁栄を確保。

出典元 外務省


⭕ 対北朝鮮

 近年の韓国は、2015年にいわゆる慰安婦問題を「慰安婦問題日韓合意」にて、最終的かつ不可逆的な解決を確認したのにも関わらず、文前大統領はそれを反故にし、反日を掲げ、日韓関係は冷え切ったものになりました。

 奇しくも、岸田総理は安倍政権当時の外務相として合意に取り組みバイデン大統領はオバマ政権時に副大統領として、慰安婦合意の保証人となって解決を図った経緯があります。

 韓国は尹大統領に代わり、日本に対する姿勢をやや転換させています。今回G7参加により、日米韓が強固になり「日韓軍事情報包括保護協定」GSOMIAの正常化を促進させる事に繋がり、北朝鮮への牽制が強化される事を願っています。



⭕ 各国首脳の原爆資料館見学

 G7の首脳らは広島サミット初日の19日、広島市中区の原爆資料館をそろって訪れ芳名録に記帳しました。外務省は20日、首脳らが記帳した内容を公表しました。

出典元 NHK NEWS WEB

 
 
まさに、世界で唯一の被爆国の日本の広島サミットでしか出来ない重要なイベントでした。ウクライナ情勢によりロシアの核使用の脅威が高まっており、将来的な核兵器全廃へ向け、世界的に現実として「核の恐ろしさ」を広める必要が生じています。

 その為には各国首脳が語り手となり、ロシア、中国を非難するだけでなく、自らに問い直す事も重要であると考えます。


出典元 NHK NEWS WEB


いらっしゃい! ゼレンスキー大統領

② 消費者物価指数 4月 5/19

✅ 総合 +3.5% 生鮮食品除く +3.4% 生鮮エネルギー除く +4.1%

出典元 総務省 統計局

⭕ 1月より実施されてる「電力・ガスの小売り業者への補助金効果」(電気・ガス価格激変緩和対策事業)でエネルギー全体は低下。
▲3.8% → ▲4.4% 「▲0.6%」

⭕ 構成品目で大きく上昇したのは

「宿泊料」 ▲-0.6% → +8.1% 「+8.7%」
「生鮮を除く食料」 +8.2% → +9.0%  「+0.8%」

⭕ その為、生鮮食品及びエネルギーを除く指数(日本ではコアコアと呼ばれる)は前年同月比は4.1%上昇、先月比は0.5%上昇。

⭕ しかし、6月1日より電力会社大手7社の値上げに伴い、6月の指数はリバウンド上昇となる事が予見されます。


出典元 総務省 統計局

 インフレ率に影響が多い生鮮食品やエネルギー価格を除いた指数が上昇しているという事は、全体としてはまだインフレ傾向にあるという事です。コロナ後の飲食業界、宿泊、、レジャー、娯楽などの伸びが著しい。

⭕ バブル崩壊後、長い間当たり前であったデフレ経済がようやく上を向いてきた考えられますが、賃金インフレが追い付くまでは、多少の痛みを伴う可能性もあります。



③ 今月の日銀関連まとめ

1.G7新潟サミット 5/11-13

 新潟市で開かれたG7財務相・中央銀行総裁会議は、アメリカで相次いだ銀行破綻をふまえ、金融システムの強靭性を維持するため適切に行動する用意があるとする共同声明を発表しました。

⭕ 米国で相次いだ銀行破綻は、流動性資産水準が低い(直ぐに現金化できる資産の割合が少ない)事が引き金となった直接的な原因で、とりつけ騒ぎにより不安が蔓延し、一瞬にして経営不能となりました。

 簡単に言えば、金融機関へのストレスチェックや規制、監督が甘かった為、世界的に強化しようという事でしょう。

7. 我々は、監督・規制当局と引き続き緊密に連携して金融セクターの動向を監視する とともに、金融安定及びグローバルな金融システムの強靱性を維持するために適切な行 動をとる用意がある。我々は、銀行の資本及び流動性水準の相当の引き上げや破綻機関 を効果的に処理するための国際的な枠組、国境を越えた規制・監督上の協力の強化を含 む、2008 年の世界金融危機後に実施された金融規制改革に支えられ、我々の金融システ ムが強靱であることを再確認する。

出典元 財務省 7か国財務大臣・中央銀行総裁会議(G7)

 
 

出典元 NHK NEWS WEB

 また、G7以外に欧州中央銀行(ECB)ラガルド総裁も出席しており、4月に就任した日銀の植田和男総裁については、「新しいリーダーシップのもとで金融政策の強みと弱みを理解するため、多角的レビューの実施を決めたことは非常に賢明だったと思う。物価の安定を維持するため、最善の方向性を導き出したと考えている」と述べました。

⭕ これは、日本経済の弱み(デフレ基調)を知り、安易に金融政策を変更せず、1年~1年半程の検証を決めた事に対しての評価と言えるのではないでしょうか。さすが、学者出身で日本のベン・バーナンキと言われるだけあります。


2.日銀植田総裁コメント 5/25


⭕ 物価目標安定の為に金融緩和は継続
⭕ 消費者物価指数は、今年後半には2%台へ落ち着く
⭕ 拙速な引締めは急ブレーキとなり、雇用へ大きなマイナスになる

 日銀植田和男総裁は25日、日本経済新聞などのインタビューで歴史的な物価高が「国民全員にはかなり大きな負担になっている」との見方を示した。半面、政府・日銀が掲げる物価安定目標には「持続的・安定的(な達成)には届いていない」として、大規模な金融緩和を継続する姿勢を強調した。

 植田総裁は「(インフレが)大きな負担になっていることは十分認識している」との見解を示す一方、「エネルギー価格の上昇が収まり始めており、上昇率は今後下がっていく」と指摘。拙速な政策修正は「(物価が)下がっていくところに引き締め効果が加わり、雇用等に大きなマイナスの影響が及ぶ」とした。

 政府・日銀の物価安定目標については、「そう簡単に変えるべきではない。2%の目標で進みたい」と強調した。賃金と物価の好循環の形成に向けて「政府と日銀が一致している」とも述べた。

出典元 日本経済新聞 2023年5月25日 21:00



3.企業物価指数 4月 5/15

✅ 結果 +5.8%(前年比)
 輸入物価(特に木材、原油など)の安定と電力・ガス補助金効果
もあり上昇圧力が抑えられた形になりました。

⭕ 5月はやや円安に振れた為、コストプッシュにて、いわゆる円安インフレになる可能性あり。

⭕ また、6月1日より電力会社大手7社の値上げに伴い、6月の指数はリバウンド上昇となる事が予見されます。

出典元 日本銀行調査統計局



4.日銀金融政策決定会合 4/27-28 おさらい


✅ ひとことで言えば「現状維持」

✅ 内容を簡単にまとめ
⭕ 長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)
● 短期金利 日本銀行当座預金▲0.1%金利の適用
● 長期金利 10年国債金利、0.5%が上限となるように指値オペ

⭕ 資産買入れ方針、長期国債以外の資産の買入れについて
● ETF(年間約12兆円)、J-REIT(年間約 1,800億円)
● CP等は、約2兆円の残高を維持、コロナ前の3兆円が目標

 ※CP コマーシャルペーパー 企業が発行する短期の無担保有価証券

⭕ 粘り強く金融緩和を継続していくことで、賃金の上昇を伴う形で、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現す ることを目指していく。

⭕ 長年実施されてきた金融政策運営について、1年 から1年半程度の時間をかけて、多角的にレビューを行う



④ 今月の政府関連まとめ

1.実質GDP成長率 2023-1-3期 5/25

✅ 実質GDP成長率 +0.4%(前期比)+1.6(前期比年率)

世界と比較すると、そこそこ上がって来た?
比較し解るのが「日本は金融緩和をして、金融引締めをしている米国の背中がやっと見えてきた」という事。
中国の数字、なんか可笑しい。当てになりません。

出典元 内閣府 月例経済報告主要経済指標(令和5年5月25日)



✅ GDPギャップ ▲1.3%⭕ 22年10-12期
 
コロナ時よりは回復しているが、需要不足、景気対策が不十分。
政府の資料ですが計算方法の変更があったのか、気のせいか、ギャップを小さく見積もっているように見える。

6/7更新
★ 内閣府は6日、2023年1─3月期国内総生産(GDP)の1次速報値を基に推計したGDPギャップがマイナス0.9%だったと発表した。実質の年率換算では5兆円程度の需要不足となる。 

出典元 内閣府 月例経済報告主要経済指標(令和5年5月25日)



2.労働力調査 4月 5/30

✅ 完全失業率 2.6%(先月比-0.2%) 
 
完全失業者数は190万人と前年同月比で2万人の増加となりましたが、就業者数の増加により、完全失業率は極めて低水準に低下。

 金融緩和継続による大きな成果のひとつです。失業率が低下すれば、税収は増えます。増税反対。

出典元 総務省統計局 4月 労働力調査 

⑤ 5月 日経平均株価

✅ 5/29にバブル崩壊後の最高値、31560円を記録

⭕ 大きな要因は
● ウォーレン・バフェット氏来日や、日本商社投資紹介
● 直近の円安による海外ファンド資産の流入
● 東証がPBR1倍割企業への改善要求による期待投資増
● 広島サミット成功による日本政府、企業への期待

出典元 ingesting.com

⭕ 日本企業の50%が「PBR1倍割れ」で、トヨタ自動車、ソフトバンク、などの大企業もPBR1倍割れしています。2023年3月末、東証再編を契機に上場企業に対し、PBR1倍割れの改善を要請しました。

⭕ PBR1倍割れを簡単に説明すれば、

 時価総額(株式の流通数に株価を掛けて算出した数値)が純資産総額(本来の企業価値)を下回っている為、会社を買収をして解散、資産売却をしたほうが儲かってしまう

という事です。

 大きな原因は、未来の収益力を高める投資に回さず、利益剰余金として会社の残してしまっている為、資金は豊富にあるのに、相対的に収益率が低いという評価となります。東証からしてみれば、投資資金を集める為に株式上場している意味があるのか?という事でしょう。
 
 しかし、コロナ下では利益剰余金が大きな力を発揮し、倒産を免れている企業は多かった為一概に言えず、ましてやバブル後のGDP成長率が先進国の中で最低クラスで低迷する経済状況を考えれば、企業はお金を貯め込む事が従業員を守る術であったかも知れません。

⭕ PBR改善の為に一番安易で確実な方法が企業の「自社株買い」であり、そうすれば株価は上昇、時価総額は上がり、PBR/株価純資産倍率は上昇します。
 
 企業の決算発表が5月前後に集中、「自社株買い」を発表する企業も多く、その期待を含めた買いが先行し、直近の日経株価を徐々に上昇させている要因のひとつであるのは間違いないでしょう。


PBR/株価純資産倍率 (ピービーアール/かぶかじゅんしさんばいりつ)

PBRとはPrice Book-value Ratioの略で、株価が1株当たり純資産(BPS:Book-value Per Share)の何倍まで買われているか、すなわち1株当たり純資産の何倍の値段が付けられているかを見る投資尺度です。現在の株価が企業の資産価値(解散価値)に対して割高か割安かを判断する目安として利用されます。PBRの数値は、低いほうが割安と判断されます。なお、PBR=1倍が株価の底値のひとつの目安(株価と資産価値が同じ)とされてきましたが、近年は長い間1倍を下回ったままの銘柄も多くなり、必ずしもPBRの1倍割れだけを底値の判断基準とすることはできなくなっています。

出典元 SMBC日興証券


⑥ まとめ(超簡単に)

⭕ 広島サミット成功により、日本の安全保障は強化された

⭕ 日銀植田総裁は、消費者物価指数や実質GDP、需給ギャップ等を総合的に見て、需要不足を指摘しており、安易な金融政策変更はしない事を明言。

⭕ 一時140円台へ円安ドル高
5/25、日銀金融政策現状維持の意思発表
5/30、米国債務上限問題の解決で米ドル安心感が回復
6/14、米国FOMCでの+0.25%利上げ観測

⭕ 5/29にバブル崩壊後の最高値、31560円を記録
自社株買い企業が日経平均株価を押し上げている要因のひとつ






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