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「打ち切りマンガ」と「エヴァ」の好影響

連載が打ち切られたとしても失敗作とは限りません。

子どもの頃、毎週楽しみにしていた「人形草子あやつり左近」(原作・写楽麿&作画・小畑健)がいきなり終わった時は悲しかったです。

何年か前に全話を収録したコンビニコミックスを買いました。探偵役の少年・橘左近が文楽人形遣いで、人形の右近と話しながら推理を進める。この設定はいま読んでも斬新です。

客観的に見ればただの独り言。でも両者の性格が正反対なので、あたかも右近が独立した個の人間のように映る。子ども向けにあえてそうしている面もあったでしょう。しかし多重人格まではいかなくても、誰しも多様な性格を有しているのは事実。それらを己の中で議論させ、アウフヘーベンすることでより高次の解決策へ至る手法は様々な局面で有効です。

アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」には、マギというスーパーコンピュータ・システムが出てきます。開発者である赤木ナオコ博士が持つ「科学者」「母」「女」という三つの思考パターンを移植し、それらの合議制を採用したもの。「あやつり左近」と時期が被っていたおかげで、こちらからも好影響を受けました。

現在の私だと「非正規書店員」「小説家志望」「中年男性」の三つが自分内ディスカッションの当事者。ちょっとした選択でも、どこに比重を置くかで答えが変わってきます。

たとえばnoteを始め、新人賞への応募をストップしたときは「中年男性」が「小説家志望」を説き伏せました。「ずっと同じやり方を続けてダメだっただろ?」みたいに。前の職場を辞める際は「非正規書店員」が「中年男性」を抑えました。「正社員より非正規の方が向いている」「嫌な会社にしがみつきたくないから、社員を目指さなかったんじゃないの?」と。

オススメの「打ち切りマンガ」があったら教えてくださいませ。

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