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「ブックカバー」と「名人芸」

こんな素敵なカバーをかけたら、確実に読書が捗ります。

ブックカバーの本来の用途は「本を汚さないように」とか「何を読んでいるか周囲に知られたくない」ということ。私は違います。かける理由はただひとつ。「雰囲気」です。

昔の歌番組では、ほとんど弾かないのにギターを提げて歌うミュージシャンが多数見られました。少しだけ音楽をやっていたので、コードをしっかり押さえているか否かはわかります。でも弾いてなくても絵になるしカッコいい。

しかも彼らの多くは弾けないわけじゃない。ツアーの映像を見るとメチャメチャ上手い。テレビではめったに披露しないだけ。要はTPOに応じて「雰囲気重視」と「ガチで勝負」を使い分けていたのです。

家だけで読む本にはあまりカバーをかけません。外で開くことの多い文庫や新書にはお気に入りの一品をかけます。そうすると「本の内容」に加えて「本を読んでいる自分」も楽しめるから。オシャレな服を着て街を歩くと誰も見てなくても何となくテンションが上がるように。

この「何となく」を生むのが「雰囲気」だと考えています。

世間では「雰囲気」=「外面だけで中身がない」と思われがち。でもそうとは限りません。株式会社サイバーファイト社長のプロレスラー・高木三四郎選手は新人のころ「パンチとキックだけちゃんとやれ。あとは雰囲気だ」と教わったとか。一見暴論。でも実は相当ハイレベルな正論なのです。

キャリアを重ねた一流のレスラーは技をほとんど出しません。リック・フレアーなんてチョップと足4の字固めぐらい。あとはまさに雰囲気。ちょっとした間や表情、しぐさで客を惹き込んでしまう。ベテラン俳優の演技と同じです。何も作り込んでいない手抜きのような自然体。なのに誰よりも強烈な存在感を放ち、ショーのいちばんおいしいところを盗んでいく。

つまり「雰囲気でOK」は「技や知識を極めたがゆえに、そこに頼る必要がなくなった人だけの特権」なのです。

ガチで読み込まなくても理解できる境地に至れば、読書もほぼ雰囲気だけで済むのでしょうか。私は修業中の身ゆえ、まだまだ大好きなカバーをかけて熟読しますけどね。Wooooo!!

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