『恋する虜』 ジャン・ジュネ
デモクラシーとは、他民族排斥に立脚し、自民族中心的な平等を謳うものかもしれない。
宗教や政治的イデオロギーによらず、結局、人間という欲深い動物は、現代文明において〈理性〉を完成させつつあり、バタイユ的〈至高の感性〉への欲望など、消耗的資本主義と孤絶しても生きていけてしまう社会のなかでは、塵のような概念ですらないものになりかけている。ほんとうの友愛なんて幻想でしかないのだろうか。世界のいたるところで、民族弾圧/紛争/戦争が起きている。ヨーロッパ周縁国ならば、大々的に注目され