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古本屋の店主がカリスマ書店員のエッセイをサクサク読み、最後に自虐について考えました。「本屋の新井」

今日は久々にお店らしい賑わいとなりました。昨日は2冊しか売れなかった古本が、今日は50冊も売れました。この違いはいったい何なんだ…。移転から1年以上経ちますが、まだこの柳沢という土地が理解できません。

そして今日も読むのに苦労する本を少しづつ読み進めながらも、サクッと読める本も開きました。いや、この本はサクサクサクサクッと読める本と言ってもいいかもしれない。その本は「本屋の新井」という本で、新刊書店のカリスマ書店員が書いたエッセイです。

この本は横書きで書かれています。だからでしょうか。この本を初めて読んだとき、方眼用紙が頭の中に浮かびました。そしてそれぞれの文章が少ない言葉で見事に短くまとめられています。たとえ砕けた言葉でさえも同じです。おそらく著者は優秀な学習障害系のかたでしょう。無機質でクリアな文体の中に、子供の純粋さや盛り上がる感情を感じます。だから横書きにも関わらず、読みやすい。

肝心の内容は書店業界にまつわるエッセイです。新刊の書店業界には本屋大賞があったり、パーティーがあったり、出版社の営業の人たちとも交流がある。大変でしょうが、それは華やかな世界に見えます。それは古本屋の店主にとっては憧れの世界です。しかしそこに著者の素朴なツッコミとクールな主張が入ります。それらがなかなか的を得ていて面白い。

そして最後にこの本秘伝の自虐ネタが加わります。この本を読んでいて店主は思いました。自虐ネタを面白く書けてこそプロのエッセイストであると。自虐ネタが上手に書けないエッセイストは庶民レベルのブロガー(今の自分)か至高の随筆家でしかないでしょう。

ただ、この著者のかたは自虐ネタが多すぎるような気もします。そこが面白いところでもありますが、過ぎたるは猶及ばざるが如しという気がしなくもない。でも、これはこれでありかなとも思います。皆さんはいかがでしょう。面白い自虐ネタを書けますか?






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