Hiroto

東京大学で数学をしています. 「J LAB」というコミュニティ内では数学部部長をしてい…

Hiroto

東京大学で数学をしています. 「J LAB」というコミュニティ内では数学部部長をしています. 数学・仮面ライダー・エビ中・睡眠・瞑想・週刊少年ジャンプ・お笑い・フリースタイルフットボールに興味があります. バイブルはジョジョの奇妙な冒険です.

マガジン

  • J LAB ch0 #ワークショップ

    • 135本

    コミュニティメンバーによるワークショップ関連の記事を投稿する場所。

  • JLAB Open WorkShop

    • 8本

    ジェイラボ研究員で行なう視聴者参加型公開座談会の準備や感想などをまとめていきます。

最近の記事

  • 固定された記事

【悪用厳禁】バレない噓をつくためのたった一つの方法

噓、フィクション、幻、まやかし、虚構。言語活動(創作活動)とは詰まるところこれらへの向き合い方そのものである(言語そのものが、現実を模倣した虚構だから)。そして、人間の思考とは言語活動そのものであるため、虚構への向き合い方を論ずることはそれ即ち人間の思考を論ずることに一致する。(ここで、言語とは記号一般の意味で、意味としては広い。絵画などによる抽象表現も含んでいると思って読んでほしい。) この文章では、「噓のつき方」について論じる。というか、「噓のつき方」について論じた様々

    • カミュ『シーシュポスの神話』【基礎教養部】[20240229] Hirotoのnote

      ※私が所属している「ジェイラボ」というコミュニティ内での活動noteです。本を読んで、それについて語る活動の一環です。もちろん、外部の方も読める内容です。 この本はチーム内のYujinさんという方が挙げてくださったのですが、私は無知なので「カミュ」がいかなる人物なのか、『シーシュポスの神話』がいかなる書物なのかをそれまで知りませんでした。普段ならばその段階でいきなり読み進めてしまうのですが、というか実際2ページくらい読んでみたのですが、今回は周辺知識から埋めていくような読み

      • キングオージャー第44話は善悪二元論では語れない あなたはゴローゲを馬鹿にできるのか?

        キングオージャー第44話「王の証!真の六王国同盟」、良かったですね〜。 と同時に、この展開ではSNS上でまた議論が起こるんじゃないか、、?とも思いました。実際ラクレスとヤンマの言動に疑問を覚えた人を多く見かけました。 ラクレスは結局良いやつ?悪いやつ?結論:どっちかに決めんな!どっちでもあるし、どっちでもない! はい、これで解決でしょう。 脚本の高野氏が喋り倒しているPodcast『無限まやかし』を無限に貪り続けている私は、キャラクターの善悪を二元論で白黒つけようとす

        • アンナ・レンブケ『ドーパミン中毒』【基礎教養部】[20231229] Hirotoのnote

          ※私が所属している「ジェイラボ」というコミュニティ内での活動noteです。 今月の課題本のタイトルは『ドーパミン中毒』。私が選びました。 さて、なぜこの本を選んだのかと言えば、私の最近の興味はもっぱら「良いこと」「気持ち良いこと」に向かっているからです。気持ち良いという感覚を語る際、脳内物質について言及することは避けられません。全てが脳内物質の量に還元できるとは考えませんが、ひとまずドーパミンについて考えてみようじゃないかと思ったわけです。 私の中での「気持ち良さ」の位

        • 固定された記事

        【悪用厳禁】バレない噓をつくためのたった一つの方法

        • カミュ『シーシュポスの神話』【基礎教養部】[20240229] Hirotoのnote

        • キングオージャー第44話は善悪二元論では語れない あなたはゴローゲを馬鹿にできるのか?

        • アンナ・レンブケ『ドーパミン中毒』【基礎教養部】[20231229] Hirotoのnote

        マガジン

        • J LAB ch0 #ワークショップ
          135本
        • JLAB Open WorkShop
          8本

        記事

          ジェイラボワークショップ第68回『数学史 上・前』【数学部】[20231113-1126]部長総括#JLWS

          ※僕が所属している「ジェイラボ」というコミュニティの中の話です。僕は一応「数学部」の「部長」をやらしてもらってます。 今回はほぼ初となる「円卓型」WSです。私と部員が前提知識という観点から見て対等なので、圧迫感のない構図になっていると思います。モチベーションの違いこそあるとは思いますが。 神と無限数学史では、当然ですが宗教の話も出てきます。ということは神についても触れるわけですが、数学という見地からはこれは「無限」(とか「無理数」)と並べられることが多いです。 人間が触

          ジェイラボワークショップ第68回『数学史 上・前』【数学部】[20231113-1126]部長総括#JLWS

          ジェイラボオープンワークショップ#02 準備記事「Think 『Think difficult!』 difficult!」

          一次元的射影のくせにpart1は「学力」、そしてそれに大きく関連する「受験」についての例えが多く使われる。 ここでいう本質的な賢さとは抽象性を伴ったものだが、受験に太刀打ちするためであればその場しのぎの具体的な解放暗記をすることもまあ悪くない。 受験で、賢さは、測れない。 受験で測れるのは一次元的な「数」である。それは明確に上下が規定できる点数であり、賢さそのものではない。賢さという指標において純に上下関係が定義できると無自覚に思ってしまっていたとしたなら、それは受験に毒

          ジェイラボオープンワークショップ#02 準備記事「Think 『Think difficult!』 difficult!」

          小野寺拓也・田野大輔『ナチスは「良いこと」もしたのか?』【基礎教養部】[20231030] Hirotoのnote

          ※私が所属している「ジェイラボ」というコミュニティ内での活動noteです。 今月の課題本のタイトルは『ナチスは「良いこと」もしたのか?』。Tsuboさんが書評を書いているので詳細はそちらを参照のこと。 ナチスについてそんなに詳しくなかったので、「へぇ〜!」とはずっとなっていた。そもそも「ナチスは良いこともした」という言説がSNSで流れるようなTL構築をしていなかったため、私の知らないところで起きているSNS上の問題に、私の知らない人が本気で反論しているという感覚で、こんな

          小野寺拓也・田野大輔『ナチスは「良いこと」もしたのか?』【基礎教養部】[20231030] Hirotoのnote

          ジェイラボオープンWS準備記事「世直し系Youtuberについて考える」|Hiroto

          ※私が所属している「ジェイラボ」というコミュニティ内での活動noteです。 今年のジェイラボは一味違う。内部で行われていた「座談会」なるものを、Youtubeにてオープンに配信することになった。現段階では部長の中で余裕のある者が、特定のテーマについて話し合うことになっている。私は、余裕のある部長なので、参加をする。以下、配信URL。 今回のオープンワークショップ(以下、OPWS)では、「世直し系Youtuber」について考える。ジェイラボらしからぬ卑近なテーマ。提案したの

          ジェイラボオープンWS準備記事「世直し系Youtuberについて考える」|Hiroto

          「数学では正しければなんでも良い」は正しくないよねって話

          (僕は数学科の学部4年生です。) このタイトルを見て、どう解釈したでしょうか。 僕の思い浮かぶ解釈は2つです。 正しければ人に攻撃的で良いというわけではなく、ちゃんと対人コミュニケーションでは人の感情も考慮に入れるべきだよね 発表をする際、正しければそれで100%良い発表なわけではなく、聴衆のことを考えて「わかりやすさ」も追い求めるべきだよね 他にも解釈があればコメントください。 1についてですが、これは最近強く意識しています。大学1,2年の頃の僕の、正しくない主

          「数学では正しければなんでも良い」は正しくないよねって話

          東京大学数理科学研究科修士課程受験体験記(2024(R6)年度)

          東京大学理学部数学科4年の私が、東京大学数理科学研究科修士課程の大学院試験に合格しました。その通知から数日経って興奮もいい感じに冷めたので、冷静に振り返ってみようと思います。 〜学部4年 6月東大理数の中では、本当に中くらいの人間だったと思います。 Twitterで無双している人たちを遠くに見つつ、成績としては単位を取りこぼさずに優とか良で集めているくらいの位置。 理論の講義にはかろうじてついていけるけど、演習で置いてかれがちな位置。 都数(自主ゼミサークル)に属しているけ

          東京大学数理科学研究科修士課程受験体験記(2024(R6)年度)

          宇佐美寛・池田久美子『対話の害』【基礎教養部】[20230926] Hirotoのnote

          ※私が所属している「ジェイラボ」というコミュニティ内での活動noteです。 今月の課題本のタイトルは『対話の害』。Takuma Kogawaさんが書評を書いているので詳細はそちらを参照のこと。 読んだことによって頭に湧いた「タネ」から、いくつか文章を記す。 dilemmaの解決ではなく、dilemmaの無化『対話の害』を読み終えて、ちょうどYoutubeにこんな動画が流れてきた。 一部引用する。 つまり、悩みと向き合って解決するのではなく、放置して距離とっておけ。そ

          宇佐美寛・池田久美子『対話の害』【基礎教養部】[20230926] Hirotoのnote

          ジェイラボワークショップ第63回『公式量産マシンΓ&B』【数学部】[20230904-0917]部長総括#JLWS

          ※僕が所属している「ジェイラボ」というコミュニティの中の話です。僕は一応「数学部」の「部長」をやらしてもらってます。 この二週間のワークショップ(以下WS)では、ガンマ関数とベータ関数について、杉浦の解析入門Ⅰに載っているくらいの情報を再整理して紹介しました。が、ここでその詳細に立ち入ることはしません。解析入門を読んでください。 私はこのWSをもって、「情報丸投げ(部長→部員)型WS」をキッパリと辞めてみようと思うのです。その決意表明を改めて文章にすることで、部長総括とさ

          ジェイラボワークショップ第63回『公式量産マシンΓ&B』【数学部】[20230904-0917]部長総括#JLWS

          豊田長康『科学立国の危機:失速する日本の研究力』【基礎教養部】[20230809]

          ※私が属しているジェイラボというコミュニティでの活動の一環です。 振り返ると、こういった「データ!データ!統計処理!提言!」みたいな文章に触れたのはかなり久しぶりであった。 著者の抽象的な主張のために具体的な文章を引用するような本ばかり読んでいて、著者の具体的な主張のために具体的なデータを引用するような本は普段あまり手にとらない。実際、この本は大学一年次にどこかの教養科目の教員が雑談で話していたのがきっかけで買い、それから3年積読した代物である。自分の純粋な興味から手に取

          豊田長康『科学立国の危機:失速する日本の研究力』【基礎教養部】[20230809]

          ニック・ランド『暗黒の啓蒙書』【基礎教養部】[20230730]

          読んで思ったことを書きます。 、、、まず読みにくかったです!!!!!!!!!!!!! この感想が、「ちゃんと読んだ」ことの証明になると、読んだ人ならわかってくれると思います。 (以下、「ですます」を放棄。) 暗黒啓蒙って何?啓蒙とは「光で照らすこと」。人に進歩を促す思想である。進歩。リベラル。革新。平等。民主。これはもう今の社会では「自明の理」のようなもので、これに異を唱えようものなら、社会からつまみ出される。 (少なくともこの本における)暗黒啓蒙とは、「、、、その

          ニック・ランド『暗黒の啓蒙書』【基礎教養部】[20230730]

          ジェイラボワークショップ第58回『これまでの、集合位相輪読会は!』【数学部】[20230612-0625]部長総括#JLWS

          ※僕が所属している「ジェイラボ」というコミュニティの中の話です。僕は一応「数学部」の「部長」をやらしてもろてます。 (ですます調とである調が途中でスイッチしています。それも味かなと思ったので、そのままにしておきます。) 今年度から、ジェイラボワークショップ(以下、WS)の部長総括なるものをすることになりました。ログは今年度からは副部長さんが上げてくださることになったので、部長にも何かしらの仕事を与えようということだと思います。何もしないのもきまりが悪いので願ったり叶ったり

          ジェイラボワークショップ第58回『これまでの、集合位相輪読会は!』【数学部】[20230612-0625]部長総括#JLWS

          ピエール・バイヤール『読んでいない本について堂々と語る方法』【基礎教養部】 Hirotoのnote

          先月『世界史の構造』について書評とnote記事を書いたが、その流れで今回は『読んでいない本について堂々と語る方法』についてnote記事を書く。書評は今回はYuta氏に書いていただいた。 さて、「本について語る」営みについて改めて考えると、確かにそこに本そのものは必要ない。「本について」というのは実は誤りで、「自分について」語っているのである。 参照しているのも本そのものではなく、読書をして変質した自らの脳の神経回路である。本は変わらず物理的に存在するが、参照している自らの

          ピエール・バイヤール『読んでいない本について堂々と語る方法』【基礎教養部】 Hirotoのnote