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消費税増税はもう既定路線なんだろうけど

 10月の消費税増税は7月の参議院選挙の結果にかかわらず既定路線だろう。そういう前提で予算は組まれているし、企業などもシステムのアップデートの準備をしているわけでもう時間切れである。

 以前の記事で消費税は消費にたいするペナルティであるから消費を抑制する効果があると書いた。しかしそれは消費税のやばさの一面をみているにすぎない。事業主からみれば人件費にも課税されていることになる。というか人件費は原材料などとちがって控除できないのである。現実には滞納が極めて多い消費税だが、きっちり払おうとするなら、会社負担の社会保険料よろしく、給与を1.08で割って支給する感じになるだろう。これは強力なデフレ圧力になる、なるべく人件費を抑制しようとするから。

 あるいは人件費を抑制するために派遣に頼ろうとするだろう。もっともこの場合は派遣会社の人件費につけかえることになるのだが、非正規雇用が増えることでデフレ圧力になる。

 消費税分を価格に上乗せできればよいが、昨今のデフレ情勢下では困難であろう。とどのつまり消費税が消費者の負担する間接税であるか、事業者の負担する直接税であるかは、値上げしやすい経済状況かどうかにあるといえよう。つまりデフレ下での消費税はさらにデフレを促進する作用をもつのである。

 消費者が負担するのが消費税と考えれば、輸出企業が海外で売った分にかんして還付を受けるのは妥当なことのように思えるが、企業が負担するという見地からは輸出企業優遇と批判されてもしかたないところだ。

 消費税は考えれば考えるほど危険な税制なのであるが、今度の増税は軽減税率などの措置により2014年の増税ほどの駆け込み需要とその反動としての消費激減はないものと思う。しかしそれゆえに危険性が認識されず真綿で首を絞められる情況とさらなる増税へと続いていくのだろう。

 次の本は消費税のダメさが丁寧に解説されているおり、また安いのでおすすめである。


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