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コロナの次に都市部から農村にやってくるもの

最近考えていること。
コロナショックはそれまでの仕組みを変えてしまうインパクトがあるということを、あちらこちらで耳にするようになった。
僕はある意味、地方にとって重大な局面なのではないかと思う。

そもそもPCR検査を着実に行わないことで、感染者数を左右でき、あたかもアンダーコントロールが可能なように振る舞うこと自体がこれからの歴史に汚点を残すと思う。

1つは、国や厚労省の「クラスタ対策班」が感染者推移を発表する場面を報道で見かけるが、必要なPCR検査をしていないのにどうして推移を算出できるのだろう。
僕は頭が悪いから高度な算式は理解できないが、正確な推移を出すためには、市中でどの程度の感染者数が存在しているかの正確な指数がなければ導くことができないのでは?
実態が不明なのに、ご高説を宣う厚労省の見解はどうしても茶番にしか見えない。
緊急事態宣言を解除する基準さえ、何をもって決定できる?

2つめは、PCR検査をしないことで誰が感染しているのかが見えてこないこと。
つまり、誰がウィルスを保有しているのか分からない。
逆に言えばPCR検査を徹底的に行い、抑え込んでいる韓国・台湾・シンガポールなどの国へは今後、日本人の渡航が容認されない。
逆も然りで、インバウンドも見込めない。
それは裏を返せば、他国からの信用を得られないということ。
ゆえに低賃金の外国人実習生も日本での就労を忌避するだろうし、それにつられて多くの第一次産業が「労働力」で足元をすくわれると思う。

日本は世界一高齢率が高いのは周知の事実。
それに今後、高齢化していく韓国・中国も労働者の獲得競争に力を投入している。
そう、抑え込みに成功している(とされる)中国、韓国も人材獲得競争の真っただ中にあって、現地のブローカーが「日本は危険」と喧伝したら?

で、ここからが本題。

僕がそれなりの労働者を抱えている経営者だったらきっと、「従業員をコロナに感染させないためには?」と考えることはなく、「従業員がコロナに感染しても事業を継続させるには?」を考える。
事務作業がメインの仕事であればRPAなどを導入し、感染リスクのある従業員数(人間)を削減する。
そのうえで同じような危機に瀕しているアメリカなどからの技術革新を待って、さらなる人間の手に寄らない機械(AIなど?)を導入し事業の継続を模索する。
とにかく第2波、第3波がいつ起こり、どのように収束するのかが見えない限り、新規の雇用は見送るはず。
また未知の「疫病」に対する防御策として、経済を停滞させないことにおいて必要不可欠であると、国や自治体がそれらのシステム導入を補助する可能性もあるだろう。

そう考えると僕がいまいる「農業」という産業も危うい。

「農業」は労働生産性がどの産業よりも低く、むしろ低いことを有難がっているような状況でもある。
そこに外国人労働者の導入も見込めないとなれば、恐らく都市部から就労してくる、上記の雇用にあぶれた人たちが第一次産業に加わるだろう。
そしていままでの生産性の低さが恐ろしく無駄に見え、且つ、生産性の低さを改善しようと、都市部で培った技術を活かす人が必ず現れる。
となると、今までの生産力で営んでいた農業者が、機械を導入した、いわばメカニックにアップデートされた農業者に対抗せざるを得ない。

国内の農業者のおよそ半数は高齢者だ。
当然、こまめな管理や小さな異常への対処は生産年齢人口のひとたちよりも劣る。
ゆえに、勘と経験だけに頼った生産物はクオリティも低くなる。
そこへ無理・無駄・無休を排した、都市的な労働が入れば、消費者・労働者からともに選ばれるのはきっと先進的な技術を持った共同体のほうだろう。
もちろん、生産量、品質、そして都心部で当然のように加入していた従業員への福利厚生などもカバーされている…。
今後「働く場所」が少なくなった場合、彼らが農村に取り入れられる可能性は十分にあると僕は思う。
良くも悪くも…。

このコロナ・ショックによって「地方回帰」をよく聞くようになったけれど、その論調はおよそ賛同しているもの。
「これで都市と農村の分断が解消される」という人がいたけれど、僕はその逆だと思う。

農林水産省のガイドラインを読めば「コロナ禍」であっても農業は食料安定供給のために、もとから休業は考慮されていない。
もっとも農村にテレワークが可能な産業が存在しない。

もっと危ういのは教育である。

地方は学校教育への柔軟さがないので、教育現場にIT導入への反対意見(子供のコミュニケーション能力が低くなる、体力がなくなる、脳が発達しない…など)が根強く、遠隔授業への理解が進んでいない。
そもそも小中学生はスマホの所持を行政が禁止し、親同士のネットワークでそれを監視しあっている(アウトメディア)。
もしこの休業期間中に、メディアに対する恐怖心が薄い都市部の富裕層が、効率の良い学習を重ねていたら…?

どう考えても、都市部と農村との格差は広がるばかりだ。

従来の農業者はすすんで都市と協調し、その動向を注視しなければ農村との分断はこれからさらに激しくなる。
都市とのつながり(技術や知識など)を持ったいわば「特権階級」の労働が地方で富を生む事態になれば、それまでの農村にあったヒエラルキーも変わるかもしれないのに。
教育も然り。

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