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被爆2世

 被爆2世である。広島で父親が少年の頃、被爆している。被爆2世だからといって、特別体が弱いわけではないが、バセドウ病になった時は、もしや、と思ったりした。
 東京では被爆2世のバセドウ病の治療費は無料である。血液検査もあるので、1回当たり5000円は下らないから、それの3年分、月1回として、18万円が東京に住んでいたら払わないで済んでいたのである。ずるいな、と思った。
 もっともバセドウ病と被爆2世の因果関係はよくわからないので、都に支援してもらうのが正しいのかどうかは分からないが、僕の住んでいる福岡県や北九州市、その他の行政区のほとんどが、そういう制度がないので、損をしたとは思ってはいない。
 この歳になっても癌にはなっていないし、健康診断でも大丈夫そうなので、被爆2世だから何か悪い病気が起こるかどうかは誰もわからない。ただ不安がないわけではない。
 息子がいる。被爆3世になる。内臓はいたって健康だ。もう子供がいても不思議ではない歳だが、もし生まれていれば、その子は被爆4世だ。
 どこまで続けば、不安は取り除かれるのだろう。


 親父は69歳で肝硬変で死んだ。特別原爆とは関係が無い。だから実際はあまり心配してないし、不安もない。ただバセドウ病になった時は、それ自体が原因不明な病気でもあったので、被爆の影響があるのかしら、と不安に思ったものだった。息子には精神的な病気があるが、原爆が原因とは思えないが、どうなんだろう。

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