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母親

 広島で一人暮らしをしている88歳の母親に週1,2回程度電話をする。この歳になると友達や知り合いを次々に失くし、淋しいのではないかと思う。
 健康状態はいたってよく、元気だ。詩吟で鍛えた発声法のおかげか、受話器を離してもよく声が通る。耳が遠いから大声になるとかではない。
 ついつい長話になってしまう。やはり淋しいのであろうかと思う。大した内容はなく、何回かけても同じことを話したりすることもある。話題はないのだ。近くの婆さんが亡くなったとか入院したとか、庭の紫陽花が切り落としていたのに、やっぱり今年も咲いてきただの、雑草が多くて困るなど。 
 さほど遠くない所に妹夫婦が住んでいる。たまに来てくれて、雑草むしり等してくれているようだ。感謝である。
 お陰様で元気なので、一人暮らしをしているが、何かあったら、広島に戻って、2か所拠点生活を強いられるかもしれない。こちらが家族で帰ってやる訳にもいかないので、現在のところ、週に一回、ヘルパーさんが来て、風呂の掃除やらしてくれている。買い物などは生協で通販で毎週購入している。それができることはボケていない証拠である。
「ごめんね。長電話になったね。ありがとね」
 このひとことで電話を切る合図になる。また3,4日したら電話をする。人生100年時代。88歳で一人暮らし、心配ではあるが、元気なのはなによりである。
 

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