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日本の食育、アメリカの食育

アメリカの学校で働き始めて10年ほど経ち、これまでに日本の学校教育との違いをたくさん見てきました。昨日もネットで日本の食育の記事を読んでハッとしたことがあったので、今日はそれについて書いてみようと思います。

日本の学校の食へのアプローチ

今さら書く必要はないのかもしれませんが、日本は食に対する情熱というか思い入れはもの凄いです。桁違いです。みんな当たり前すぎて気づいてないかもしれませんが猛烈です。

素晴らしいなと思うのは食育。食だけでカリキュラムになってしまう。食から文化を学び、社会のシステムを学び、マナーを学び、もちろん料理も学ぶ。料理はエプロンだけでなく三角巾まで付け、その可愛いこと。料理に興味がない子供も、そうやって形から入って結局料理をするんだから凄い。

私が働いたことのある日系の園では給食が出ました。それはそれは美味しい給食。それを毎日頂けたのですがから贅沢でした。アメリカで美味しい日本食を毎日!

しかし一つだけ「どうかな〜」と思ったのは少々強めの「残さずに食べよう」文化でした。熱の入った食育の延長だと思うのですが、とにかく残さないよう園児に結構なプレッシャーがかかっていたと感じました。ちょっと強い言い方ですが、完食という言葉はこの時に嫌いになりました。私は「食べるのを強制するのは虐待」というスタンスでアメリカのトレーニングを受けているので、マジでどうしようかと悩んだのを覚えています。結果的には「残さず食べるのを勧めるけれど無理に押さない」でやり通しました。基本的に食べられる分だけお皿に盛れば、残りは無駄にならずに食べたい人に行き渡りますしね。

これについては押してほしい親御さんもいるようなのですが、好き嫌いが減るかどうかは子供によると思いました。確かに好き嫌いの減る子供はいます。しかしそれが無理な子が完食を強いられると目も当てられません。また子供との関係性も悪くなります。これが一番悲しい。

アメリカの学校の食へのアプローチ

アメリカの子供の一般的なランチの写真をネットで見たことがある人は多いと思いますが、あのまんまです。ピーナッツバターとジャムのサンドイッチに、りんご丸ごと一個、ジュースパック一つ。これで上等です。チーズクラッカーのようなスナックも付いたりします。日本のキャラ弁レベルのお弁当は、ここで10年教えて一度も見たことがないです。

アメリカの食は物足りないと思うことが多いのですが、逆にいいところは無理に食べさせないことだと思います。デザートから食べ始めたら「サンドイッチを先に食べようよ」と促しますが、完食のプレッシャーは絶対にかけないですし、やったら問題になるでしょう。せめて私の地域では。

今の勤め先の特別支援学校では、食への対応に特に気をつけています。自閉症児に偏食は多く、それが単に嗜好の問題ではなく、テクスチャーであるとか、匂いであるとか、彼らがセンソリー的に受け入れられない場合が多いからです。だから強制はしない。それをやると信頼関係が崩れます。

じゃあどうするか。偏食の改善は目指したい。ここからは学校によると思うのですが、私の学校場合はスピーチセラピストが多様な食材を紹介するグループアクティビティを週一で実施しています。知らなかったのですが、食はSLP(speech language pathologist)の専門なんですね。

またフロアタイムのアプローチといい感じにタグを組んで進められる自閉症児のfeedingプログラムがあり(名前はSOSだったかな?)、私の学校のSLPはそのプログラムのトレーニングを受けているとのこと。また、そのトレーニングを受けたSLPの学校外でのセッションは待ちリストが長いとも聞いたことがあります。詳しくは知らないのですがとても人気があるようです。


以上、簡単に食に対する日米の学校の違いでした!


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