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心象風景  冬の宴

風が びょうっと 私を呼ぶ
カーテンを 開けよう

窓ガラスの向こうに 
夜が 佇んでいる

青みがかった 墨黒の衣に
煌煌と照る 半分の月と
キラリと瞬く 星たちを
縫い止めて
冴え冴えとした顔で
そこに 居る

風が びょうっと 鳴り
この冬最後の宴へと
私を 誘う

窓明かりの下で
吹き溜まりの落ち葉は
小さな踊り子たちに 姿を変える

わずかに 秋の名残の色を 差した
衣装を 翻し
空中に 勢いよく 舞い上がり
くるりとターンして 舞い降りる

カラコロと
カラコロコロと
軽いリズムに乗って
踊り子たちは
右へ 左へと
華麗なステップを 繰り出しては
宴の席を 盛り上げる

刹那…
窓ガラスは 一枚の絵画となり
壁を 彩る

あなたがくれた 冬のギフト

絵の中の あなたは
静かな微笑みを 投げかけている

冬のもたらした いくばくかの
人恋しさを なだめるように…

あるいは

降り積もる 雪のように
少しずつ 堆積してきた
悲しみを 悼むように…

夜よ

あなたは ひっそりと 教えてくれる

あの枝先まで 春は 来ているよと


(画像はみんなのフォトギャラリーよりお借りしました。
 kさん、ステキなイラストをありがとうございます。)


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