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万能の天才が残した手記~『レオナルド・ダ・ヴィンチの手記(上・下)』を読んで~



印象に残った言葉たち

私よりさきに生をうけた人々があらゆる有益で必須な主題を自分のものとしてとってしまったから、私は非常に有益な、また面白い題材を選ぶことができないのを知っている。それで私は、ちょうど貧乏のため一番あとから市場に到着したが、他に品物をととのえることもできないので、すでに他人の素見(ひやかし)済みだが餘り値打ちがないために取り上げられずに断られた品物すべてを買いとる男のようにふるまうであろう。
私はさげすまれ断られたこの商品、数多の買手の残りもの、を自分のはかない荷物のうえにのせよう。そしてそれを大都会ではなく、貧しい村々に配り、かつ自分の提供する相応のお膳をもらいながらあるこう。

(上)p.1

真理ー太陽。
嘘ー仮面。

(上)p.31

老齢の欠乏をおぎなうに足るものを青年時代に獲得しておけ。そしてもし老年は食物として知恵を必要とするということを理解したら、そういう老年に栄養不足にならぬよう、若いうちに努力せよ。

(上)p.35

食欲なくして食べることが健康に害あるごとく、欲望を伴わぬ勉強は記憶をそこない、記憶したことを保存しない。

(上)p.35

織が使用せずして錆び、水がくさりまたは寒中に凍るように、才能も用いずしてはそこなわれる。

(上)p.35

十分に終わりのことを考えよ。
まず最初に終わりを考慮せよ。

(上)p.38

「幸せ」の入る場所に、嫉妬が待伏せしてこれをおそう、そして幸せの去ったあとには苦痛と悔恨とが残る。

(上)p.40

必要であればあるほど拒まれるものがある。それは忠告だ。それを余計に必要とする人すなわち無智な人々からいやがれれる。
こわがればこわがるほど、逃げれば逃げるほど、近くによってくるものがある。それは貧窮だ、逃げれば逃げるほど、君は悲惨になり安らぎをうしなう。

(上)p.41

自分に害なき悪は自分に益なき善にひとしい。

(上)p.46

おお寝坊ものよ、眠りとは何であるか?眠りは死に似たものである。おお、それではなぜおまえは、生きながらいやな死人に似た眠りをむさぼるのをやめて、死後に完全な生き姿をのこす作品をこしらえないのか?

(上)p.56

あたかもよくすごした一日が安らかな眠りを与えるように、よく用いられた一生は安らかな死を与える。

(上)p.72

執拗な努力よ。宿命の努力よ。

(上)p.73

これと同じことは、稽古のかわりに怠惰に身をまかせている天才にもおこる。彼らは、上に述べた剃刀と同じく、そのきれ味のよい鋭さを失い、無智の錆で形態をそこねてしまう。

(上)p.91

智慧は経験の娘である。

(下)p.9

……立派な作品、それによってわたしは将来の人々にわたしが……であったことを証明することができたでしょう……

(下)p.300

苦労せざるものは幸運に値せず。
大きな苦痛なくして完全な褒美はもらえず。
徳を究めるものこそ至福なれ。

(下)p.332


感想

レオナルドダヴィンチは万能の天才と呼ばれているが、努力の天才、自分を制御するのが上手い人という印象を受けました。

手記を読んでいると、知識の幅が半端なく広い。知的好奇心が旺盛で、恐らく本に書かれていることを実験して検証していった結果このような、幅広い知識を身に付けることができたのだと考えられる。

更に知的好奇心が半端ない。この時代に、解剖を実践し、血管・筋肉・心臓の仕組みまで解き明かしてしまっている。

上巻については、時間、人生について、自分なりの哲学が書かれていた。
下巻については、学術論文のような専門的な内容が多くあった。

……立派な作品、それによってわたしは将来の人々にわたしが……であったことを証明することができたでしょう……

(下)p.300

この言葉はまさに実現している。彼の残した作品により、何百年経った今でもレオナルドダヴィンチの名は世界中の誰もが知っており、今なお絵画・手記から私たちに語りかけて来る。

若いうちの努力について、時間の使い方について改めて、意識し直そうと思いました。

終わりをまず考えること。まず最初に終わりを考えること。
安らかな死を得る為に、毎日、努力して理想の自分になる計画を立てること。

を意識します!!!!


岩波文庫15、16冊目読破!!


書籍情報

レオナルド・ダ・ヴィンチの手記(上・下)
杉浦明平訳
岩波文庫
上 2013年7月5日 第64刷発行
下 2012年11月15日 第55刷発行


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