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富士には月見草がよく似合う~『太宰治全集2』~


印象に残った言葉たち

私の欲していたもの、全世界ではなかった。百年の名声でもなかった。タンポポの花一輪の信頼が欲しくて、チサの葉いちまいのなぐさめが欲しくて、一生を棒に振った。

二十世紀旗手 p.45

私は、それを見とどけ、また、ゆっくりからだを捩じ戻すとき、娘さんを、ちらと見た。きめた。多少の困難があっても、このひとと結婚したいものだと思った。あの富士は、ありがたかった。

富嶽百景 p.142

、夜の次には、朝が来る。

懶惰の歌留多 p.236

青春というものは、ずいぶん大事なものなのよ。あたし、病気になってから、それが、はっきりわかって来たの。

葉桜と魔笛 p.244~245

人生の出発は、つねにあまい。まず試みよ。破局の次にも、春は来る。桜の園を取りかえす術なきや。

花燭 p.320


感想

1巻に比べては死のかおりが少なくなった印象を受けた。

『女生徒』『富嶽百景』『二十世紀旗手』に関しては新潮文庫の方で2回ぐらい読んだ気がする。なので、2巻はどこかで読んだことある作品が多かった。

『富嶽百景』はやはり名作。『火の鳥』という未完の長編が収録されていた。天才でも完成させることができない作品もあるんだな~、と感じた。


収録作品

創世記
喝采
二十世紀旗手
あさましきもの
燈籠
満願
HUMAN LOST
黄金風景
姨捨
富嶽百景
I can speak
女生徒
懶惰の歌留多
葉桜と魔笛
愛と美について(秋風記 新樹の言葉 花燭 愛と美について 火の鳥)
[初版本収録]
創世記
HUMAN LOST


書籍情報

太宰治全集2巻
太宰治
1988年9月27日 第一刷発行
ちくま文庫


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