幸せと呪い

ある日のバイト帰り。

私はバイト先の近くのガストでサラダうどんを食べていました。

隣には可愛らしい女の子が二人。どうやら二人で大学の課題をしていました。

「めんどくさいこれぇ」「終わらないわ、これ…」

そんな光景を横目で見た時、あることを思い出したのです。

かつて専門学校時代の講師の先生の言葉を。

「あなた達は幸せですよ。だってやりたい事が見つかっているんだから」


その時はそんなもんか、と思っていましたが今なら違うセリフが言えてしまうんです。

「そんな訳ねーだろ」

って。



見つけてしまったから戻れない


時々オーディションに落ちたり、真っ暗な将来に不安になった時に自分を鼓舞するためにやりたい事に向かって走ってる自分は幸せ者だ、と思っています。

ですが最近は自分の中の小さな化け物が囁くんです。

やりたいことを見つかっても結果に出てなかったらただ苦しいだけじゃん、と。

人はその道中が大切と言います。もちろんそうだと思います。

でも苦しいのが積み重なると人は前が見えなくなってくるんです。

私はその瞬間がたまらなく怖いです。

表現者でいたいけどそれが目に見える結果を出せないと自己満足で終わる。独りよがりで終わってしまう。

つまらなくてどうしようもなくて、泣きたくなって吐きたくなるような、そんな日々がまたやってくるのかと。

今の私は涙を流して唇を噛むしかできない、そんな無力さに苦しくなります。

ならばいっそ夢を諦めたら?

誰しも思うでしょう。私も思いました。

諦めてしまえば違う道を選べば楽になれるんじゃないか。

そもそも狭き門なのにそこに入り込む才能も実力もないと思ってしまえばいい。


2度目の養成所から不合格通知をもらった半年前。

私は全力で挑み、どんなことにも食らいつきました。それでもダメだった。

もうダメかな、もういいんじゃないか、と帰りの電車でリュックを抱えながら考えていました。

家に着き、扉を閉めた瞬間、涙を流していました。

不合格通知を破り捨て、タブレットで好きなアニメを見ました。

どうせこの涙は一時のもの、なんて言って。

だけど養成所に通わなくなって数ヶ月が経ち、何をするにも、何を見たあとにも出てくる言葉は悔しいでした。

それは今も。自分が追いかける先で活躍している人を見ると嫉妬に狂いそうになります。

実に醜いと思いながらも私はまたオーディションに応募するのです。

だから私はこれを呪いだなと切り替えました。

解放されるには走り続けるしかないらしいです。


それでは。


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