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ブランドの強みを最大化する方法 [リサーチ編]

ブランドの価値というのは、いろいろな視点から捉えることができます。いままで語ってきた自社目線のブランドの強みを、以下のものから捉え直したとき、それが「劣るのか」「優るのか」が、新たな視点で見えてきます。

・「顧客」視点から
・「業績」視点から
・「競合会社」視点から
・「市場」視点から
・「マクロ経済」視点から

ブランド価値とは受け手の主観で変わる曖昧なものです。この相対的価値をとらえるには、自社視点だけではうまくいきません。
そのために、リサーチをしましょ。というお話で始めていきます。

そこで、以下のリサーチについて簡潔にお話します。

市場リサーチ
競合リサーチ
顧客リサーチ
業績リサーチ

[3つの視点]
◯ 強みに「独自性」はあるか
◯ 強みに「ニーズ」はあるか
◯ 強みに「将来性」を見込めるか

上に掲げた3つの視点はどのリサーチにおいても必要な視点となり、常に意識するものとしてとらえてください。
まずここで大切なことを。以下が今回の一番お伝えしたいことです。

リサーチの深さ = ブランディングやPR施策の成功度

何かの事業を始めるにあたり、事前に下調べを行うか、あるいは行わないかで、その後の結果は異なります。見切り発車で進め、動きながら軌道修正を図るやり方はおそらく小規模事業においては機能するかもしれません。ただ多くの従業員を抱える企業において、のちの軌道修正にかかるストレスは計り知れません。可能であれば事業ローンチ前にしかるべきコストと時間の許す限りついやしてリサーチを行っていただくとよいです。



市場リサーチ



以下の例では、みなさんが何かの実店舗創業すると仮定します。

① とりあえず人通りが良さそう立地に決める。
② その土地の人口動態を調べる。
③ 土地の人口動態と、ターゲット層の人口比率を見極める。
④ ③に加えてターゲットのセグメントにアンケートリサーチを実施して、実店舗のニーズをさぐる。
など

場合によっては、希望のエリアを行自分の足で歩いてみるのは当然ですし、競合店があれば片っ端から客として入ってみて、体験してみる。上記で上がってくる数値だけで終わらせない。実際に感覚をつかって感じてみるなどできる限りのことをしてください。

ここで大前提として、データはあくまでデータですからそれがみなさんの知りたいことを100%表現してくれるものではないということを踏まえてください。専門家のマーケッターでも数字は読み違えますし、データでは見えてこないものは多くあります。矛盾はしますが、逆に数字を信じすぎるのも危険です。

自分でも動く、リサーチもコストをかけて行う。事業を確実に進めたいのであれば、広告やプロダクト開発、実店舗ローンチ、あるいはデジタル上でもECサイトローンチ、SNS施策。あらゆる施策を行う前に、以上の様な案件に最適だと想定されるリサーチは行っていただくと良いかと思います。



競合リサーチ



当社POROROCAの立地は神宮前というのもあり、1km以内の周辺はヘアサロンの激戦区となっています。日本では実店舗数はコンビニよりも多いとされるヘアサロンを例にとります。以下ではAサロンという、実店舗から100m範囲内商圏にあるサロンを仮で競合とみなします。

① Aサロンのサービス内容を調べる。
② Aサロンの客層を調べる。
③ Aサロンの人気の理由や強みを調べる。
④ 一方で、Aサロンにない強み「B」を調べる。
⑤ 「B」の中から、新規事業にあるという強み「C」を調べる。
⑥ 強み「C」が事業ブランドのコンセプトに合うかどうかを考える。
⑦ 強み「C」の市場ニーズをさぐる。
⑧ 強み「C」の将来性(事業拡大や、マクロ経済の影響など)を考える。

など

これはAサロン以外にも商圏内にあるすべてのサロンを対象に調べあげます。ここでポイントとしては、

「自社にあり、他社にないもので、それが市場ニーズを喚起できるもの」

これを強み「C」としています、このCを多角的視点でとらえることがブランディングには求められます。⑦は特にリサーチ会社をつかう必要がでてくるでしょう。
テーマから脱線しますが、上のようなニーズを考えるビジネスフレームワークは巷に多くでていますが、バリュー・プロポジションなどを参考にされるとより理解が深まると思います。

このほか、BMC(ビジネスモデルキャンバス)も合わせてご紹介します。
以上のバリュープロポジションとはいわば、「顧客セグメント」と「独自の価値提案」部分にのみフォーカスしたフレームワークです。


ここでは簡単にしか触れませんが、以上の「自社にあり、他社にないもので、それが市場ニーズを喚起できるもの」に対して、「独自性」が入れば最強です。
独自性とは、いわば「となりの店舗」との差別化を超えたもっと広い商圏でも戦えるものです。独自性、オリジナリティに対して、便宜をはかるニーズが重なれば、コミュニケーションアイデア(広告施策)をこることなく、勝手に人が広めてくれ、認知度があがっていき物はより売れやすくなります。これがいわゆる口コミというものです。



顧客リサーチ


既存顧客から得られる情報は大切です。
購買データがあればその売れ行きから販促を検討していけます。新規事業への顧客の反応を知る必要がある場合は、アンケート形式の意識調査を行います。自社でリサーチを完結できない場合は、リサーチ会社に依頼をします。一方で、自社のロイヤル顧客(最もサービスを購入している層)に直接聞いてまわるやり方も効果的でしょう。新規サービス開発において、マスに対しての調査より、実際サービスを買ってくれる人に直接聞いた方が、よりよい改善点がみつけやすいのは敢えて説明するまでもありません。

では、ここで「顧客」というのは、何かということですが、
「顧客」はひとまとめに表現できるものではない。
という前提に立つことが求めれます。

たとえば、ブランド事業で特に「30代の女性」を対象にするプロモーション施策があったとします。以下がこの範囲内で想定される顧客のセグメントというものです。

A 「毎月サービス購入者」30代の女性
B 「半年に一回サービス購入者」30代の女性
C 「サービス購入者。別ブランド品に代替中」30代の女性
D 「サービス未購入。ブランドは認知」30代の女性
E 「ブランドは未認知」30代の女性

これに対して、さらに「ブランドの愛好度」を入れたとき、この5つのセグメントはさらに以下のように増えます。

A-1 「毎月サービス購入者 +ブランド愛好度が高い
A-2 「毎月サービス購入者 +ブランド愛好度が低い
B-1 「半年に一回サービス購入者 +ブランド愛好度が高い
B-2 「半年に一回サービス購入者 +ブランド愛好度が低い
C-1 「サービス購入者。別ブランド品に代替中 +ブランド愛好度が高い
C-2 「サービス購入者。別ブランド品に代替中 +ブランド愛好度が低い
D-1 「サービス未購入。ブランドは認知+ブランド愛好度が高い
D-2 「サービス未購入。ブランドは認知 +ブランド愛好度が低い
E  「ブランドは未認知」30代の女性

つまり、一重に顧客リサーチと言っても、「30代女性」というデモグラフィックからは何も見えてきません。したがって、顧客へのリサーチを行う場合は、上記のセグメントを踏まえて、セグメント別にリサーチを検討することが求められます。この理由はたとえば、なにかの意識調査で「このブランド品を購入する理由はなんですか?」という設問は、Aに対して行えますが、Cのブランド離脱者に対しては見当違いになるからです。



業績リサーチ


顧客へのリサーチは、いわゆる、購買データの「定性的側面」を見ていくことが中心になる一方で、購買データの「定量的側面」を分析していくのが業績リサーチです。

自社ブランドのサービスの売れ行きから、事業にとって

・「利益率の高い」事業は何か
・「利益率の低い」事業は何か

の二つを探り不採算事業の整理と、採算の取れる事業への注力などに役立てられるリサーチです。
たとえば売れている商品があるとします。その商品は事業の中でも一番の売れ行きだったとします。ただし経費がかかりすぎて利益率からみると、事業の中では3番目だとしたら、以下のような対策が考えられたりします。

・原価や経費を抑えて生産性をあげられるか。利益率をあげられるか。
・利益率ベスト1かベスト2のサービスをさらに注力できないか。

限られた時間とリソースの中で業績をあげるには、売れ行きがいい事業の実態はどうか、不採算事業が何かを見極めることは事業を継続する意味でも必要です。これらは、業績データからこそみえてくるものとなります。


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