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長くなっちゃったわよ、パート①

早めの時間に街中の温泉に行って、夜ご飯まで済ませたので、時間に余裕ある家での夜。

旦那がバランスボールを抱え、長男と次男が代わる代わるパンチとキック。

長男が珍しく、腹を抱えて笑う。
それを見て、私も声を上げて笑う。
長男は、旦那がボールを抱える姿がツボらしい。

そうそう、旦那は踊ってもそうだけど、どこかどじょうすくいのフォルムが纏わりつく。
腰が退けてるのか…すっとんきょうな感じ。

転ぶ時も、漫画の人物が転ぶみたいに、宙に舞い上がって転ぶ。

「すっとこどっこいだね!」とよく言ったものだ。
そんなあなたのこと、好きだったんだよね。


あなたへ

人の体温がこんなにもあたたかく、それは心まで穏やかに伝わると、それを私に知らせてくれたのはあなたです。

初めて大きな手に包み込まれたとき、安心感が沸いてきたのをおぼえています。

子どもみたいにキャアキャア言いながら甘えたり、甘えられたり。あるがままの2人でも、楽しく、ネガティブなことも許し合いながら過ごしていける気がして。

よく笑ってくれること、私にとっての安心できる条件で、お見合いした人とどちらを選ぶかというとき、よく笑うあなたを選びました。

恋愛経験もなく、5歳も年上の私と結婚してくれて、感謝です。

人に頼ることが苦手で、うまくできないと話したとき、「これからは何でも言っていいよ」と言ってくれて。
だからといって、いつでもすぐに頼ろうと思ったわけではないけれど、少し大変なときは話してみようと思うことができた。

けれどもさ。
長男の産後、病院へ1日2回毎日通い、親戚を代わる代わる連れてくる義母に参っていると、単身赴任のあなたに相談したら、「しかたないんじゃない」と言われて、胸がギュッと少し苦しくなりました。

完全母乳がこんなに大変で、病院も預かってくれなくて…
みんな、こんな風に大変なんだって思いました。

単身赴任先に暮らし始めて、あなたが赤ちゃんより会社の勉強に関心があることがわかりました。
そして、セックスしようと誘う。
ごめんね。
一番欲求が満ちるだろう時期に、私はあなたとすることができなくなってました。
あなたの洗濯物を干すことも嫌だし、義実家へ行って仲のいい振りをするのも吐き気がしたものです。
それから15年のレス。キスも絶対できない。
隣に立たれることは、最近少し慣れたけどね。

毎週末の義母の誘い、うちの予定よりそれを 優先するあなたに、夫というより子どもなんだなと思うようになり、私は仕事をすることにしました。

あとで「産んでいたらな…」って後悔しそうで、次男をもうけました。
裸ではセックスできなかったけど、何とかね。
あなたも大変だったよね、私は胸触らせるだけで精一杯だった。

「今度は協力する」
そう言ったあなたは、産後退院してすぐの私に
「長男がかわいくない。何もしてあげたくない」と言ったね。

自閉症の長男と、夜中泣きまくる次男と、こんな状況で生活の不満ばかり言う私の実母。(実母との同居を承諾してくれたこと、ありがとう)

どうやっていいかわからなくてさ。
苦しんで怒って暴れる長男をどうにか助けたいけど、何もわからなくてさ。

夜中に1時間も寝ないで泣きわめく次男を一晩中あやしたり抱っこしたり。
眠るということが何だったか、忘れました。

実母は私をいつも監視しているようで、励ますことも味方になることもなく、テレビを見ている。

どうしたってあなたにしかいなくてさ。
「助けてほしい」って言ってみた。

「邪魔しないで」
「なんなの、おまえら。ふざけんなよ」
あなたは冷たい目で言う。

あぁ、やっぱり、人ってこんなものか…
と気を失いそうだった。
真っ暗な穴に1人、落っこちた。



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