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本は、友だち。

日曜日の夜

とんかつ屋で外食した後、そう言えば最近、久しく本屋に行ってないことに気づいた僕は、早く帰りたい妻と息子に無理を言って、みんなで駅ビルに入っている本屋に寄り道したのだった。

しかし、何か具体的にお目当てな本や雑誌があるわけではなかった。

そもそも積極的に本を読むタイプじゃないし、あれだけ好きだった雑誌も、老眼が進んでしまった今では、なんだか読むのが億劫であまり買わなくなってしまっていたしね。

しかし、その日の僕は、確かに無性に本を読みたい気持ちになっていたのだった。

こんな感覚は、それこそ本当に一日中何もすることがなくて、とにかく暇つぶしに古今東西の小説を乱読していた高校の引きこもり時代以来かもしれない。

というわけで、あてもなく本屋をふらふらと彷徨っていたら、表紙を表にして本棚に立てかけられていたある単行本に目が止まった。

最初は装丁が素敵だと思った。

そして、その本のタイトルに目をやると、

そこには、

ひとりだと感じたとき あなたは 探していた 言葉に出会う

と書かれていた。

これを見た瞬間、僕は思わず

「うむむ、完全に僕の気持ちを見透かされているな・・。」

と唸ってしまった。

そう、僕は自分がどうしようもなくひとりぼっちだと感じたときに、まるで友達を探すみたいな感覚で、本を、そして、言葉を探す旅人だったのだ。

高校時代のあの頃も

そして、

今の僕だってまさに、ね。

そのことに気づかせてくれただけでもう十分元は取れたと思った僕は1ページも開くことなく、その本をレジに持っていった。

するとレジの店員さんは、この本にお似合いなとても品のいい素敵なデザインのブックカバーをかけてくれたのだった。

僕はそれを小脇に抱えて、ちょっとウキウキした気持ちになりながら、妻と息子たちの待つ漫画コーナーに向かった。

そして、このとき、実は僕は何となく読書好きのある友達のことを思い出していた。

その人は、例えば二人で喫茶店でお茶をしていたとき僕がトイレで中座したそのわずか数分の間でも、必ず自分の好きな本を引っ張り出して熱心に読んでいる、というくらいのブックワームだった。

あのときの読書中の彼のなんとも嬉しそうなムフフ…な表情を思い出すと、彼の方が僕なんかよりずっと本のことを大切な友達だと思っていたことが分かる。

そして、そういう人たちがきっとこの世界には無数にいるのだろうな、ということを僕が自然とイメージできるのは、きっとこのnoteを始めたおかげなのかもしれない。

そして、そんな風にどうしようもなく切実に本や言葉を求めてしまう人々が

たくさん暮らすこの世界は、

もしかしたら

僕が思っているほど

悪くはない

のかもしれない。

なんて、こんな僕が柄にもなくやさしい気持ちになれてしまったのは、

おそらく

「僕もまたそんなみんなと同じなんだ。」と、

(少なくともこのときばかりは)思えてしまったからに違いない。







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