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本とくらしを行き来する──なぜ読書が好きなのか

わたしの日常は、毎日いやになるほど、あくせくと忙しない。

子どもたち三人を育てて、フルタイムでそれなりに責任のある仕事をし、友だち付き合いだって近所付き合いだってけっこうちゃんと楽しむ。

忙しない。
忙しないけど、そんな現実世界の日常があるからこそ読書が楽しいのだと、最近思うようになった。


読書は逃げ場

生きていると、「ままならないな」と思うことの方が多い。
自分が描いた理想のストーリー通りになることなんてない。
まず一本道でないし、曲がりくねったり分岐したり、雑然としていて、オチすらない。

私は「(暫定的なゴールまでの)見通しが立っていること」「整っていること」がなによりも好きだから、その曖昧すぎる事態にイライラすることが多い。(つまり生きていること自体にイライラしているのかもしれない笑)

本に書かれる世界は、固定されていて、破綻がない。
ままならなさも含めて、美しく収束に向かう。

現実世界では「見えた!」と思った一瞬後に崩壊する安定が、本の中にはある。

崩れない、静的な、安心する空間。
だから、私は読書が好きだ。


読書は自分を見つめ直す鏡

生きていると、一番見失いがちなのは「自分」なのではないか。
ほぼ40年生きてきて、私は自分をいつまでも理解できない。

でも最近、こうやってnoteで読書記録をつけ始めて、なんとなく自分の今のありようが見えてきたような気がする。

記事を書いていて、前にも同じような意見を書いたな、とふと思い出す。
そういう風に考える思考の傾向が自分は強いのだなと気づく。

読書を介して自分を振り返り考えることは、自分に自分が近づいていく行為だなと実感する。

まだ知らなかった自分と出会える。
だから、私は読書が好きだ。


読書は他者理解の羅針盤

生きていると、腹が立つことが多い。

そういう時に「自分が」という視点でなく、「あの人が」という視点で考えることの大切さを本は教えてくれる。

せっかく〇〇してやったのに
どうして〇〇してくれないの

読書を介して、さまざまな人間の感情を俯瞰的に観察することで、
自分の怒りがとても自己中心的な思考回路で成り立っていることに気づく。

それが正しいか正しくないかは置いておいて、他者には他者の思惑がある。
その思惑を無視して、勝手に進めて、勝手に怒るという事態のなんと多いことか。

「自分があの人ならどう考える?」と、人との関係を築くにあたってとても重要な想像力を与えてくれる。
だから、私は読書が好きだ。


読書を現実世界に還元する

読書から得た気づきを通して、私は現実世界の生き方を常に微調整している。

「いいな」と直感的に思ったことを取り入れると、劇的に、もしくは少しずつ目の前の事態が改善していく。

若い頃に比べたら、
他者に自分を正しく伝えようと努力するようになったし、
他者のことをもっと知ろうと考えるようになったし、
回り道は必然だと思えるようになったし、
人生を楽しく生きるにはポジティブな思考転換が必須だと気づいた。

実際そういうふうに振る舞うと、なんだか周囲との関係性もより良くなっているような気がする。

一日一日の進歩は見えにくいけど、十年前と比べれば、
他者に寛容になったと思うし、
自分を許せるようになったと思うし、
自分の欲求、他者の思惑、この世の成り立ち、物事の本質、そして自分が向かうべき道筋がほんの少し見えてきたかも……と思うこともある。

あいかわらず毎日勘違いばかりで失敗もたくさんしているけど、
「まあいいか」と思えるようになったのは、そこから確実に何かを学んで、次の打開策を自分で考えられるようになった──つまり、より自分の人生を自分の裁量で生きられるようになってきたという実感があるからだと思う。

目の前の事態をコントロールできるか、できないか。
それがストレスの寡多に直結するという研究結果があると聞くが、本当にそうだなと思うし、それをできる最大の手助けをしてくれるのが本という存在だと思っている。

それから、
生きていると、もう理性だけではどうにもならないほど悲しくなることや辛いこともある。
そういう時は、固定された美しさのある本の世界へ少しだけ逃げればいいと思っている。

本って、ほんとうに便利(笑)

*   *   *

歳をとって身体が思うように動かなくなっても、
年齢とか立場とか関係なく気の合う友人や家族と、バカな話も真面目な話もできて、出会いの機会があれば、気の合う新しい友だちがいつでもできる。
そんな人生がいいなと思う。

自分自身の人生を豊かにするために、
もっとたくさんのことを知りたいと思うし、得た知識は現実の生活にどんどん還元して、自分の中に定着させていきたいと思う。

本は私の人生に、知恵とバランスをくれる。
だから、私は読書が好きだ。


#読書が好き
#本が好き

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