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『休職を決めた日』どうしよう、が止まらない 〜双極性障害だって働きたい 9

みなさん、こんにちは。
双極性障害2型+強迫性パーソナリティ障害のフツーの会社員です。

前回の記事の続き、5年前の6月、ついに休職を決意した時のことを回想します。
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「眠い」ってどんな感じだっけ?

当時、大きなイベントを企画しており、私はリーダー的な役割をしていました。
開催日まで2週間を切っていました。
主治医に休職を勧められても「大丈夫だ!」と半ギレしたのはこのイベントがあったことも大きな理由です。

しかし、あの頃はすでにほとんど寝ておらず、もはや『眠気』なるものの感覚が完全に麻痺していました。
睡眠導入剤を無理矢理飲み、電気つけっぱなしの明るい部屋でベッドに座ったままうつらうつらして、朝が来る。
まるで毎晩ミステリー小説が如く、食事に睡眠薬を盛られているような有り様でした。

人間の脳には睡眠が必要です。
当然ですが、私の脳ミソはもはや限界でした。


“どうしよう”が止まらない

現れたのは暴力的な焦燥感です。

まるで頭の中の超高性能レーザープリンターがA4サイズ“どうしよう”をセットして勝手に1,000枚入力してガーガー猛スピードでプリントアウトしてるような感じ。
「止まれ!止まれ!」とブッ壊す勢いで停止ボタンを押してるのに、オート機能がついているのか“どうしよう”が止まらないのです。あまりの“どうしよう”の量に、いったい何に対して“どうしよう”なのかもわからないような状態でした。

仕事はみな、マルチタスク。
パソコン作業に熱中してても固定電話が鳴る。
電話対応した後やっとパソコン作業に戻ったら、誰かに話しかけられる。
一体どうやって今までそんなことが出来ていたのか分からない。
中断されるたびに元の作業がなんだったのか思い出すのに時間がかかり、ものすごく効率が悪いのです。

「私、こんなにアタマ悪かったっけ?」
まるで夢の中で走っているみたいに、全然前に進めない。
そしてついに休職を決定づける“3つの異変”が起きました。



①探しものが見つからない

朝出勤したら、デスクトップで作業中だったファイルがどうしても見つからない。
つい昨日の夜まで作業していたのに。

「どうして⁈」「どうしよう⁈」

その日私は、1時間以上ずっとファイルを探し続け、独り言のように「どうしよう!」「どうしよう!」とブツブツ言っていたそうです。
見かねた隣の席の同僚が「ちょっと落ち着きなよ。アプリから“最近開いたファイル”で見てみたら?」と冷静に声を掛けてくれました。

「あぁ、なるほど。そうだよね?その手があったわ…ありがと…」

『なんか、ヤバイかも知れない』
やっと深刻さにひとつ気付きました。



②本が読めない

これは“抑うつ状態”あるあるですよね。
私は元々読書が好きです。
主治医に「寝る前はなるべく仕事のコトを考えないようにリラックスしなさい」とアドバイスされていたので、毎晩本を読んでいました。

ところがある日、1時間かかって2ページしか読めませんでした。
ちゃんと目で文字は追ってるのですが、全然アタマに入ってこないのですぐに手前の行に戻る。
何度読んでもずっとその繰り返し。まったく先に進まないのです。
「どうして??」自分でもおかしいなと気づいた2つ目です。



③うまく喋れない

私は元々お喋りです。
それまで弾丸トークだったはずの私が、何故だかうまく喋れないのです。

普段のミーティングなら率先して意見を言うのに、話そうとしても上手く口から言葉が出てこない。
「あの……」まで言って止まってしまう。
みんなが喋っている声も、プールの水の中みたいに遠くに聴こえる。  

これは私にとって“本格的にヤバイかも知れない”と自覚する決定的な出来事でした。


『お休みしましょう』

6月27日、火曜日の診察日でした。
主治医にこの1週間で起こった3つのコトを回らない口でどうにか話し、

「ひょっとしたら…もう、ダメかも知れないです…」

と初めて自分から弱音を吐きました。
先週「休職なんかしない!」と啖呵を切った手前、本当に主治医には申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
しかし主治医は穏やかに

「もう限界ですね。お休みしましょう。今日は27日ですから、キリ良く7月1日土曜日からでどうです?診断書を書きますから」

と言ってくれました。
「あぁ、ついに仕事を休まなければならない」という無念さと同時に、
「休んでもいいのか…」という安堵の気持ちがあることに自分で驚いたことを覚えています。


続く

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