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【短歌エッセイ】渋谷ハロウィンについて思うこと

 2018年、今から5年前の話。
 ハロウィンのコスプレをして東京渋谷のスクランブル交差点付近に集まったたくさんの人々。その中の酒に酔った若者によって、軽トラックが横転させられたという報道をテレビで見た。
 酔って騒いで盛り上がった結果、軽トラックを横転……。
 どうしてそんなことを? それ、ハロウィンと何の関係があるの?
 そう不思議に思ったものだ。



 ハロウィンとは、元々は秋の収穫を祝い、悪霊などを追い出す宗教的な意味合いのある行事だった。
 古代ケルト暦ではこの日は大晦日にあたり、死者の霊が戻って来る日とされていた。霊の中には悪霊もいるわけで、悪霊などに悪さをされないように、仲間である死者のような仮装に身を隠し、目を欺こうとしたのだ。
 それがやがて、かぼちゃをくり抜いて火を灯して飾ったり、子供達が魔女やお化けに仮装して近くの家々を訪れ、「トリック・オア・トリート」(Trick or treat. 「お菓子をくれなきゃ悪戯するよ」)という可愛い脅し文句でお菓子をもらったりする風習に変わった。
 日本では、コスプレや仮装のイベントとして定着しつつあるようだ。

 ゾンビやバンパイヤや怪物のコスプレをして、酒を飲んで酔って騒いで暴れても、それも広義的な仮装の範囲として許される、と思うのだろうか?
 それはもはやハロウィンの名を借りただけの、ただ酔って騒ぎたい人による迷惑行為に過ぎないように思われる。
 そもそもハロウィンとはそういうものではないのだし、文化は人々によって生み出され変化して行くものだとしても、どんな迷惑行為も容認されるカオスなイベントなど、ありえるはずがない。
 今年渋谷では、「ハロウィン目的で渋谷駅周辺に来ないでほしい」という自治体のトップによる異例のメッセージが発せられ、史上最大規模の警戒態勢が取られているそうだ。
 大量にゴミを捨てられ、物は壊され、もはやハロウィン目的で来られること自体が迷惑になっているのだろう。
 人ならざる者の格好をしたとしても、人としての理性まで捨て去り、迷惑行為や犯罪に走るような、そんな楽しみ方はしないでほしいと願うものだ。


仮装して 馬鹿騒ぎする 若者は     
     ハロウィンの意味 多分知らない





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