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【詩】コインの裏

家へと向かう夕暮れの小道
ちょっとした段差に気づかないまま
足を引っかけて前のめり
投げ出された体は
膝を打ちつけ手の平で止められず
頭から突っ込み頬を打って倒れた

猛獣の牙に咬まれたような激痛に
膝を抱えてしゃがみ込む
頬も痛いがとにかく膝が痛い
溢れ出す血で服が赤く滲むのを眺めながら
どうするべきか考える
助けを呼ぶべきか? しかし……

この場所の地理には明るくない
助けを求めたとして
ここがどこかを説明できる自信がない
痛みで頭が回らない
地図を開くということを思いつかないまま
取り合えず再び歩き出す

脱衣可能な場所に辿り着き確認した負傷部位
曲げると大きく裂ける膝部分
これは自力でどうにかできるものじゃない
意を決し夜の町中を賃走車で移動
負傷から2時間後
無事7針の施術を受けるに至った

今回のことは運が悪かっただけだろうか?
しかし確認した暦に厄日の記載はない
因果応報か? しかし何の因果か覚えがない
あるいは細かいことならあり過ぎる
もしくは
行き先を転換させるための兆しだろうか?

起きる物事には何らかの意味があるはず
しかし汲み取る力なき者がそれに気づくのは
大抵全てが終わった後のことだ
人生はコインの裏表
今裏を味わう必要があるというのなら
心静かに味わうとしよう






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