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【NYY】2023年に向けたヤンキースの現状について

ALDSを突破したヤンキースは満を持してアストロズと衝突。かねてから「NYY劣勢」とされてきたリーグ優勝決定シリーズ。それでも”ワンチャン勝てるかも!”という淡い期待がなかったといえば嘘になります。
しかし結果は『アストロズのスイープ勝ち』という残酷なものに終わりました。シリーズ通して打撃力で大きく差を付けられたのは言うまでも無く,三振の山を築きあげることに。

残念なことに,もう半年もすれば2023シーズンが到来。ストーブリーグのことも加味すれば,ヤンキースに与えられた悔恨や反芻の時間はあまりにも少ないと思います。いまのチームに必要なのは一体どんなことなのでしょうか。

①補強を阻む債権たち

2023年度において,既にサラリーが確定しているのは以下の陣容。金額はすべて贅沢税を計算するにあたってのAAVです。(年数は直近のチームオプションまたは契約終了まで)

Gerrit Cole  36.0M (残り6年)
Josh Donaldson 25.0M (残り1年)
Giancarlo Stanton 22.0M (残り5年)
Anthony Rizzo 16.0M (残り1年)
DJ LeMahieu 15.0M (残り4年)
Aaron Hicks 10.0M (残り3年)
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計6人の来季サラリー 124.0M
2023年度贅沢税しきい値
 233.0M

いわずものがな,現在のヤンキースは不健全な長期契約を複数抱えており,すでに来季の年俸の半分以上は6名の選手で逼迫。贅沢税を回避する場合には残り109.0Mで34名の給与(選手年金含む)を賄う必要があります。実際にはここに,チームオプション行使が確実となっているSeverinoの15.0Mも考慮するのが適当。もちろんRizzoがPO行使の可能性もありますし,Rizzoの現在の市場価値は16Mを悠に超えるんじゃないかね。

シーズン途中に補強したBenintendiや,ローテを守り抜いたTaillonがFAとなる中で,上記のサラリー状況は柔軟性に大いなる影響を与えることになるでしょうね。

②史上最高のFAイヤーを迎えるJudge

あえて触れませんでしたが,BeniやTaillon以上に大きな穴が存在します。レギュラーシーズンにAL新記録となる62本塁打を放ったAaron Judgeです。
当然ながら市場価値も全盛を迎えており,年平均38M-40Mの8-10年契約はあくまで「最低ライン」になってくると予想。2023年のヤンキースに組み入れると109.0M-40.0M=69.0Mという悲惨な数字に。ここに年俸調停の選手が入ってくるとなれば,,
もちろん,現チームにおいて精神的支柱を果たしているJudgeの慰留は当然でしょうが,長期的にみてもCole-Stanton-Judgeの3人だけで2027年まで100Mを拘束するのは極めてリスキー。とはいってもJeter以来のスター性を備えた大選手を手放す勇気は持ち合わせていません。(これはチームだけでなく,ファンベースにおいても)

2022年から贅沢税のしきい値は上昇する一方,ヤンキースにおけるPayrollの肥大化はそれを超える勢い。ATLのように,若手に積極的なエクステンションを持ちかけることは夢のまた夢でしょうね。

③Cashman体制の終焉は?

今回のPS敗戦含め,「Cashmanの解任」が多く囁かれ始めています。もちろん素晴らしい手腕があることは確かですが,ここ13年間ではポストシーズンで敗戦を重ねていることを無視した登用は見直すことも必要かと思います。
個人的な見解ですが,2022年度という短期的な観点からすれば中々にいい動きを見せてくれたなと思います。昨オフの絶望的なチーム状況をTDLまでで,ある程度形にしてくれたなとは感じました。また,TDLで獲得した選手が軒並み離脱するといったアクシデントは『不運』の一言に尽きるかと。(ただ一点,Monty放出でBader獲得は見事でしたが,それならWesneski出すなよと。これはSkubal獲得に失敗したのが原因らしいですけど)

一方で,2017年オフのStanton獲得から続く長期契約失敗の責任は地球よりも重いと強く思います。昨オフ時点において書いたとおり,52HRを放ったJudgeにエクステンションを持ちかけず,同じスペ外野手のStantonを引き取ったためにペイロールと指名打者枠を占有。追い打ちをかけるように守備指標の優れないベテランHicksに6年契約を渡した動き。極めつけはCashman自ら開けた傷口を塞ぐためのGallo獲得。散々言ったように,NYY再建のラストチャンスはここで絶たれたのでは?(別にGallo獲得のために放出した4人が惜しかったと言ってるのではなく,債権処理に回せたでしょとしか思わん。)
結果論に終始して申し訳ないですが,私にはこれが取るべきリスクだったと思えません。

ただ新GMが就任したとて,一存で「再建!」「コンテンド!」の舵取りを決められるはずもなく,この燃費の悪いチームをCashman以外が運用できる光景もなかなか浮かびませんね。

④若手のデビュー

2019-2021年の3年間は目立ったルーキーがいない時期を過ごしましたが,今季はRon MarinaccioJP SearsGreg Weissertといった上質なリリーバーがデビュー。そこにOswaldo Cabreraというパワーポテンシャルのあるポリバレント野手が登場。ここ数年トッププロスペクトであったOswald Perazaのコールアップも忘れてはいけませんね。

SearsはMontas獲得のチップとなりましたが,他の4人は持ち味を十分発揮できたと言えますし,来季の構想に入っているでしょうね。思えばCabreraとPerazaはFlorial以来の野手デビューでありましたし,初打席のワクワクは印象的。

そして2023年には更に楽しみな野手有望株らがデビューする見込みです。

MLBの中でもトッププロスペクトとされるAnthony Volpeは3Aで開幕を迎えるでしょうが,遅くとも夏にはMLBの舞台で見られるのではないでしょうか。年間ヒッティングプロスペクト賞を受賞した2021年からは成績を落としましたが,シーズン中に上位階級へアジャストする能力はあるなと感じました。Perazaだけでなく,IKFが遊撃手にいますが,Volpeをセカンド起用すればいいかな~と。
問題はTorresとLeMahieuの行き場でしょうか。

そしてSanchez以来となる打撃型捕手のAustin Wellsのデビューにも胸が躍ります。正直2Aでやることはないレベルなので,さっさと3Aで開幕させてやれよと。今季は打撃だけでなく捕手守備においても飛躍を遂げており,Higashiokaと上手く世代交代してほしいですね。しかし,Volpe同様にドラ1がここまで上り詰めてきたのはチームディベロップメント的に健全ですね。口ひげそのまま残してくれねえかな。

大穴でAndres Chaparroのコールアップなども予想してみたり。昨年のAFLで117mphの二塁打を放った際に注目が集まりましたが,今季も2Aを中心に20HR OPS.962のスタッツを残し,40人枠入りも有力。問題は体型によるポジション問題ですかね。そんでもDonaldsonの衰えを見続けるくらいならChaparroの三塁守備を我慢する所存です。

というかね,Dermis GarciaやEzequel DuranみたいなExitVelocityモンスターが移籍先で出場してるのが単純に羨ましいんだわ。Chaparroはその2人よりヒッティング・ツールある気がする。

Wells・Chaparroと同じく2021AFL組のElijah Dunhamも両翼での起用があるかもしれません。もしくは,Baderが離脱した際に中堅手起用があるかも。さすがに「Fの者」のほうが安心だろうけど。特段好みという訳ではないですが,コロナ禍でのドラフト外入団の経緯に鑑みると,MLBデビューしてほしいなぁと思っちゃいます。

列挙しましたが,この4名は誰も40人枠に入っていないという点がネック。特にChaparroはすでにRule5対象なので,このオフにロスター入りしないとMLBフェーズでの流失は必至なんじゃないかなと思ってます。
まあ活躍したところで,Judge残留なら若手へのエクステンションも望み薄ですかね。

ところで,僕が「AFLでも活躍すれば来季デビューあるぞ!」と騒いでいたDominguez君,アリゾナで案山子やってます。サボテンの方がまだ役に立つぞ。

最後に

とりあえず2022年シーズンお疲れ様でした。ALCSでのスイープ敗戦は受け入れられるものではありませんが,ぶっちゃけシーズン前はPS出場すらムリだと思っていたのでトントンですね。
今季は3月からKZillaさんと「ヤンキースラジオ」を10回以上に渡って放送して参りましたが,嬉しいことに沢山の野球ファンのかたに支えられてシーズンを見届けることができました。改めて,御礼申し上げます。
Dの意志を継ぐ者がDFAになるなどの波乱もありましたが,楽しいシーズンでありました。
またシーズン振り返りのラジオをどっかでやりたいですね!


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