見出し画像

【MLB】2023年殿堂入り候補者のおさらい&展望!

11月22日(日本時間)に,来年1月末発表の「2023年アメリカ野球殿堂」の対象選手が発表されました!それに伴い,MLB30球団ファン合同noteでは,30球団note担当者とMLBファンによる模擬投票を実施します!

実はNYY担当とともにHoF担当も拝命していますので,今回のnoteでは,上記の模擬投票で対象となる主要選手の内10名の紹介や,投票を受ける上での懸念点,展望等を自分なりにまとめられればと思っています。

★アメリカ野球殿堂の選出に係る基本ルール

・ 殿堂入り選考の対象となるのは、MLBで10年以上プレーした選手のうち、引退後5年以上が経過した選手。
・ 選考対象となった選手は全米野球記者協会(BBWAA)の適性審査委員会殿堂入り候補者とするか否かが議論される。候補者として認められると、殿堂入りの可否を問う投票にかけられる。
・ BBWAAに10年以上所属している記者に投票資格が与えられ、通常25~40人の候補者のうち最大10人までの名前を書いて投票する。
得票率75%以上の候補者が殿堂入りとなる。
・ 得票率5%以下の候補者はその回限りで候補から外される。得票率5~75%の候補者は次年度の審査・選考に持ち越されるが、10回目までに75%の得票が得られなければ11回目からは候補から外される。この候補者については一定期間を経た後、ベテランズ委員会(いわゆる時代選考)で殿堂入りが審査されることになる。

大まかなフロー図

■今回の投票における特異点

2023年のアメリカ野球殿堂投票は,過去10年の投票と大きな違いがあるかもしれません。それぞれ2007年に引退し,2013年から殿堂入り候補者となった歴代最多762本塁打のBarry Bonds,CY賞7度受賞の大投手Roger Clemens,60HRを3度記録したSammy Sosa,通算200勝&3000奪三振のCurt Schillingといった超ビッグネームたちが10度目となる2022年投票においても落選し,今回の投票からは姿を消すこととなります。
これはいままでの10年間で票を奪い合う要因となっていた4枠が空くことを意味し,得票率を大きく上げる選手の台頭が期待されます。恐らく,これまで得票率が40%程度で伸び悩んでいた後述の選手らが一気に殿堂入りの門戸をくぐり抜けるのではないでしょうか。

■有資格2年目以降の主要選手

主要選手の定義は様々ですが,まずは2022年までに殿堂入り候補者となり,2023年も投票対象となっている選手の中から,前回の得票率が25.0%以上(4人に1人が投票している)となっている8人をピックアップしたいと思います。前回の得票率の降順で紹介していきます。

■用語集
rWAR(Baseball Reference算出のWin Above Replacement)
oWAR(  〃  のOffensive WAR)
dWAR(  〃  のDiffensive WAR)
AS(All-Star Gameへの選出)
GG(Gold Glove賞の受賞)
SS(Silver Slugger賞の受賞)

(1)Scott Rolen(スコット・ローレン)

2038試合 打率.281(7398打数 2077安打) 316本塁打 1287打点 118盗塁 899四球 出塁率.364 長打率.490 OPS.855 rWAR70.1
【受賞歴等:新人王,AS×7,GG×8,SS×1】
投票6年目(前回63.2%)

☆殿堂入りすべき理由
・通算rWARは歴代69位であり,RolenとrWARが同等(±3.0)の選手34人中,殿堂入りを果たしていないのは7名のみ。(内3人は現役&今回から被投票)
・三塁手としてのゴールドグラブ賞8度受賞はナショナル・リーグ歴代4位という記録。通算UZR107.1は歴代4位だが,これはUZR導入前の2002年までの6年間を省いた数字のため,実際には更に高い数値を積算できたはず。
・今回の殿堂入り候補者の中で,前回の得票率が最も高かったのがRolen。先述の4枠の兼ね合いから見ても一番票が集まる公算が高い。

★殿堂入りを妨げる理由
・故障などによって,年間140試合以上の出場を果たしたのは7年のみ。通算17年という長い年数の割りに2077安打はやや少ないか。それでもJohnny  Bench(2048安打)やGary Carter(2092安打)というRolenとrWARも同等かつ安打数も同等の選手が殿堂入りしている中,これを理由にRolenが妨げられるとはやや考えにくい。

(2)Todd Helton(トッド・ヘルトン)

2247試合 打率.316(7962打数 2519安打) 369本塁打 1406打点 37盗塁 1335四球 出塁率.414 長打率.539 OPS.953 rWAR61.8
【受賞歴等:首位打者×1,打点王×1,AS×5,GG×3,SS×4】
投票5回目(前回52.0%)

殿堂入りすべき理由
・通算OPS.953は歴代23位の数字であり,歴代30位までの中で殿堂入りを果たしていないのは現役選手&ステロイド疑惑者及びLance Berkmanのみ。
・rWAR61.8は歴代一塁手の中で17位の数値であり,1位から18位の中で薬物疑惑&現役選手を除けば,殿堂入りを果たしていないのは誰一人としていない。
・単一シーズンでの400塁打達成は歴代でも29度しか達成されておらず,複数回達成したのはHelton含めても僅か7名のみ。

★殿堂入りを妨げる理由
・17年間のキャリアをコロラド・ロッキーズで全うしたこと,すなわち超が付くほどのヒッターズパークで恩恵を受け続けたことはLarry Walker同様に票を集めにくいか。それでもアウェイでの通算OPS.855は素晴らしく,PF(球場補正)を加味したrWARにおいても傑出していることは見逃せない。
・影響は不明だが,2013年と2019年に飲酒運転で逮捕されていることは品行方正を求めるアメリカ野球殿堂においてマイナスに働く可能性も。
・rWARが10以上優れるWalkerが10年かかったことを考えると,すんなりとは行かなそう。

(3)Billy Wagner(ビリー・ワグナー)

853登板 47勝 40敗 防御率2.31 WHIP0.99 422セーブ 903.0回 300四球 1196奪三振 rWAR27.7
【受賞歴等:最優秀救援投手×1,AS×7】
投票8回目(前回51.0%)

殿堂入りすべき理由
・通算422セーブは歴代6番目に位置し,400セーブ以上を挙げた選手もMLBの歴史で6人のみ。
・打者有利のステロイド時代全盛に160km/h超えの直球で真っ向勝負を挑み,ERA+200超えのシーズンを複数叩き出した偉業は無視できず,現代野球であれば更に成績を積み上げられた可能性も。

★殿堂入りを妨げる理由
・Wagnerよりセーブ数が上の5人のうち,殿堂入りを果たしているのはMariano Rivera(652 SV),Trevor Hoffman(601 SV),Lee Smith(478 SV)の3人。Smithは中継ぎのみで100イニング超えを2回果たしているほどのロングリリーバーであったため,Wagnerとの投球回差は400イニング近くもある。
・Dennis Eckersley(390 SV)やRollie Fingers(341 SV)も殿堂入りしているが,前者は3200イニング・後者は1700イニングを投じているなどやはりインパクト大。500セーブの大台に達しておらず,単年でもセーブ王は未受賞,そして通算イニングも1000回を下回るWagnerの傑出度は,殿堂入り済みの選手と比較するとやや低いとの見方も。
・それでも先発登板なし&通算300セーブ&1042.1回のBruce Sutterがギリギリ殿堂入りしているのを見ると,Wagnerにもチャンスはあるはず。

(4)Andruw Jones(アンドリュー・ジョーンズ)

2196試合 打率.254(7599打数 1933安打) 434本塁打 1289打点 152盗塁 891四球 出塁率.337 長打率.486 OPS.823 rWAR62.7
【受賞歴等:本塁打王×1,打点王×1,AS×5,GG×10,SS×1】
投票6回目(前回41.4%)

☆殿堂入りすべき理由
・歴代№1の中堅守備を誇り,センターにおける通算dWAR24.4は他に大差を付ける圧倒的1位。(全ポジションで見ても歴代22位)
・UZRが導入されたのが2002年であり,キャリア最初の6年間が計上されていないのにも関わらずUZR118.2は歴代2位。
・捕手~右翼までの各ポジションdWAR1位の選手は一応現役のBrett Gardner(LF)を除けば全員が殿堂入り済み。各守備位置のスペシャリストとしての歴史的な価値は相当大きいはず。(つまりGardnerもHoFになり得るのか?)
・Jones以上のrWARを稼いだ中堅手13人のうち,殿堂入りできなかったのは現役&未資格者を除けばKenny Loftonのみ。(Loftonがなぜ殿堂入りできなかったかについてはこちらの記事を参照してください。)
・通算434本塁打も歴代センターの中では6位。1位のWillie Maysから7位のDuke Sniderのうち,JonesとBeltran以外の全員が殿堂入り済み。

★殿堂入りを妨げる理由
・本塁打数に比べると通算OPS+111は傑出したものではなく,やはり守備での功績がメインとなりそう。
・通算17年(日本時代を除く)打率.270を超えたのは4度のみであり,通算安打も先述のRolenより少ない1933安打。最低ラインとなる2000安打には到達せず。

(5)Gary Sheffield(ゲイリー・シェフィールド)

2576試合 打率.292(9217打数 2689安打) 509本塁打 1676打点 253盗塁 1475四球 出塁率.393 長打率.514 OPS.907 rWAR60.5
【受賞歴等:首位打者×1,AS×9,SS×5】
投票9回目(前回40.6%)

☆殿堂入りすべき理由
・Sheffieldがデビューした1988年以降において,彼より本塁打・四球・打率・打点の全てを上回る数字を記録したのはBarry BondsとFrank Thomasのみ。それだけ傑出した打撃能力の持ち主。
・Offensive WAR80.7は歴代36位であり,歴代1位~35位で殿堂入りしていないのは現役選手を除くと3人のみ。(Barry Bonds,Pete Rose,Manny Ramirez)

★殿堂入りを妨げる理由
・2003年に発覚した「バルコ・スキャンダル」にて筋肉増強剤(ドーピング)の使用が発覚。本人は「Bondsとともに実施したトレーニングの際,Bondsのトレーナーから提供されたビタミン剤やクリームを使用したがドーピングとは知らなかった」と供述。しかしBondsが殿堂入り出来なかった今となっては,Sheffieldに票を投じる意義は非常に希薄。
・筋肉増強剤の使用を結果的に認めた選手が殿堂入りを果たしたした前例は一度もない。
・キャリア序盤から守備タイトルとは全くの無縁で,oWARとは対象的にdWARは▲27.7と歴代最低クラス。

(6)Alex Rodriguez(アレックス・ロドリゲス)

2784試合 打率.295(10566打数 3115安打) 696本塁打 2086打点 329盗塁 1338四球 出塁率.380 長打率.550 OPS.930 rWAR117.6
【受賞歴等:MVP×3,首位打者×1,本塁打王×5,打点王×2,AS×14,GG×2,SS×10】
投票2回目(前回34.3%)

☆殿堂入りすべき理由
・通算rWAR117.6は歴代16位,通算696本塁打は5位,通算2086打点は4位,通算3115安打は22位という屈指の成績。この大半を遊撃手というプライマリポジションで稼ぎ出した稀代のバリューブル・プレーヤー。
・遊撃でも2002-03年には2年連続でUZR10.0超えを果たしている名手。(その後NYY移籍後に3Bへ転向。)
・歴代最高クラスの5ツールプレイヤーであり,600本塁打-300盗塁はBarry BondsとWillie Mays,そしてA-RODの3人のみしか達成していない。
・実績だけを勘案すれば「時代を代表する」というくくりではなく,「MLB史を代表する」選手に相応しい。

★殿堂入りを妨げる理由
・2003年及び2013年に筋肉増強剤を使用していたことが発覚し,2014年シーズンの全試合を出場停止処分に。
・2013年の「バイオジェネシス・スキャンダル」の際には,証拠のもみ消しや,チームメイトの薬物使用情報(Francisco Cervelli)を故意に流して捜査を攪乱させるなど,擁護の余地がないほどの悪質な立ち回りを見せた。
・薬物使用による出場停止処分を受けた選手が殿堂入りとなった前例は0名。Sheffield同様に,BondsやClemensという前例がいる以上はA-RODに票を投じる意義は極めて希薄か。2回目の薬物使用は出場停止処分を受けているという点で見ても,彼らより望みは薄い?

(7)Jeff Kent(ジェフ・ケント)

2298試合 8498打数 2461安打 377本塁打 1518打点 94盗塁 801四球 打率.290 出塁率.356 長打率.500 OPS.855 rWAR55.4
【受賞歴等:MVP×1,AS×5,SS×4】
投票10回目(前回32.7%)

☆殿堂入りすべき理由
・二塁手としてのoWAR60.1は歴代13位であり,Kent含む上位17位のうち12名が殿堂入りを果たしている。
・通算1518打点は二塁手の中で歴代3位の数字であり,屈指のクラッチプレイヤー。
・安打数およびrWARが同等かつDH専任であるDavid Ortizが初年度で殿堂入りしていることは斟酌すべき。

★殿堂入りを阻む理由
・チームメイトと連む性格ではなく,一部のチームメイトからは「白人至上主義者」との見方もされてきた。”差別主義者である”としてSchillingが落選したことに鑑みると,このような噂は得票率に大きな影響を与えているかもしれない。現代においてはよりセンシティブなファクターなため,最終年度であっても”お布施”は少ないかもしれない。
・二塁手としては傑出している打撃成績も,「400本塁打-2500安打」の大台には到達しておらず,インパクトに欠けるか。
・守備指標はプラスではなく通算dWAR▲0.1。二塁手の中でoWAR75.0以下&dWAR0.0以下の選手は誰一人殿堂入りを果たしていない事実を見るに,「もう少し打撃or守備で結果を残せていれば」という印象も。

(8)Manny Ramirez(マニー・ラミレス)

2302試合 打率.312(8244打数 2574安打) 555本塁打 1831打点 38盗塁 1329四球 出塁率.411 長打率.585 OPS.996 rWAR69.3
【受賞歴等:首位打者×1,本塁打王×1,打点王×1,AS×12,SS×9】
投票7回目(前回28.9%)

☆殿堂入りすべき理由
・通算OPS.996は歴代12番目に位置し,規定打席到達かつOPS.900未満であった年は僅か3年のみ。
・555本塁打も去ることながら,打率3割超えは11回というハイアベレージ・ヒッター。oWAR81.8は先述のSheffieldすら上回る歴代33位。
・dWAR▲21.7と壊滅的にも関わらず,名手Rolenと同等のrWARを積算。

★殿堂入りを妨げる理由
・2003年,2009年,2011年に筋肉増強剤を使用していたことが発覚しており,2度の出場停止処分を受けている。
・特にドジャースを騙す形で契約延長を迫った2009年のいざこざは非常に悪質。後に著名となるバイオジェネシスクリニックに師事した最初期の人物であり,擁護の余地なし。
・出場停止処分も受けており,A-ROD同様に彼へ投票する意義は希薄か。2003年の匿名前提検査で引っかかっているため,3度の薬物使用発覚にも関わらず永久追放されていないだけマシという捉え方すらも聞こえてくる。

■今回の投票で初登場となる主要選手

ここでは「主要選手」といいつつも,殿堂入りに届く可能性があると感じている『rWAR40.0以上』『2000本安打』『300本塁打』『200勝』『400セーブ』といういずれかの基準を1つでも満たす選手をピックアップ。なんとたったの2選手しか該当しませんでした。

(9)Carlos Beltran(カルロス・ベルトラン)

2586試合 9768打数 2725安打 435本塁打 1587打点 312盗塁 1084四球 打率.279 出塁率.350 長打率.486 OPS.837 rWAR70.1
【受賞歴等:新人王,AS×9,GG×3,SS×2】
投票1回目

☆殿堂入りすべき理由
・筋肉増強剤使用者を除けば「2500安打&400本塁打&1500打点」を達成している選手で殿堂入りを果たせなかった前例はない。
・2002年のUZR計測以降,中堅での通算UZR32.1は歴代5位。2003年のDRS計測以降,同通算DRS38は歴代3位。
・史上8人目の「300本塁打-300盗塁」達成者であり,近代でも屈指の5ツールプレイヤー。

★殿堂入りを妨げる理由
・引退時点においては「殿堂入り確実」と目されていた選手。それだけに2019年オフに発覚した「アストロズサイン盗みスキャンダル」の主犯格として名前が挙がると大バッシング。まだまだ野球ファンの記憶に新しい一件であることからも,初年度での得票率は低く出る可能性。
・一方で,現役選手に罰則はなく,引退したBeltranのみが贖罪となるのは合理的ではないとの見方も。今後10年も75%以下を推移するとは考えづらく,Beltranの露出増加に伴ってHoFの扉は開かれていきそう。(今季はYESネットワークの解説者としてNYY戦の中継に登場)

(10)Francisco Rodríguez(フランシスコ・ロドリゲス)

52勝 53敗 防御率2.86 WHIP1.15 948登板 437セーブ 976.0回 389四球 1142奪三振 rWAR24.2
【受賞歴等:セーブ王×3,最優秀救援投手×2,AS×6】
投票1回目

☆殿堂入りすべき理由
・単一シーズン最多となる62セーブ含む6度の40セーブを記録した歴代トップクラスのストッパー。
・ポストシーズン通算で防御率10.00超えのWagnerとは対象的に,ルーキーイヤーからWSで躍動するなどPS成績も安定。
・既出のとおり,Bruce Sutterにイニングしか劣っていないK-RODが落選するとはやや考えにくい。

★殿堂入りを妨げる理由
・やはり次回8回目となるWagnerと連動しそう。冒頭の4枠が空くことを考えても動きは読めない。
・その他の理由はWagnerとほぼ同様ですので省略。

■投票率の展望

◎冒頭の4枠に加えて,昨年だけで見ればDavid Ortizに投票された78%の得票分も空くことになりますから,Rolenのように10%程度の押し上げで75%に到達するような選手には大いにチャンスがありそう。しかし,HoFトラッカー(394人中309人の投票結果がまとめてある)を見てみると,「2022年投票でRolenに入れなかった」かつ「最大人数となる10人に投票した」というのは集計された309名中わずか9名のみ。つまりRolenに票を投じなかった90名程度のうち,80名はRolen投票する余地があるにも関わらず,彼をスルーしていたことになります。単純にRolenの票数が激増するとはいかないのかもしれません。

Heltonに関しては,BondsやClemensに投じていた記者からの支持が厚く,彼らが推移していた60%前半くらいはたたき出せそう。やはり争点となるのはクアーズフィールドだけではなく,「rWARが10.0程度上回っているWalkerが10年目までかかった」ということでしょうかね。

WagnerとK-RODについては表裏一体というか,Wagnerに入れる人はK-RODにも入れるし,K-RODに入れる人はWagnerにも入れそう。ただ,実績からみてK-RODには入れるけどWagnerには入れない人が居ても驚きません。両名ともに60%程度の得票と予想。

AJはステロイド時代の雄たちのスタッツに割りを食っている感じなので,彼らが消え去った今回投票では結構票を伸ばしていくのかなとも。すでに6回目の投票ということを考えると,50%~60%まで伸ばせないと今後厳しいような気もします。

A-ROD,Sheffield,Ramirezについては上で散々書きましたが,Bondsらが落選した今,票を伸ばすことはないと思います。Bondsらのように,「1回目では入れなかったけど5回目からはいれるよ」みたいな人もごくわずかだと予想しています。40%で頭打ちじゃないでしょうか。A-RODの印象アップ効果はそこまでプラスにならないとも思います。

◎Beltranは本当に読めません。ただ,1回目投票は様子見的なところもあると思うので伸び悩むと予想。30%-40%程度に収まるのではないでしょうか。そして2回目以降で5-10%ずつ得票率を伸ばしていくと思います。いずれは殿堂入りするでしょうね。

結論として,今回殿堂入りを果たすのはRolenのみと予想!これもギリギリ75%に達すか達さないかのレベルで均衡すると思っています!!

■筆者の投票結果

【12月1日更新】

今回私が模擬投票にて殿堂入りに票を投じたのは以下の陣容。10人ではなく8人としました。

迷わずに票を投じたのはScott Rolen,Todd Helton,Andrew Jones,Bobby Abreuの4人ですかね。
Rolenは安打数や出場試合数という懸念点を打ち消すほどの守備成績があることを勘案。rWAR70超えの選手がHoFとならないのはおかしな話です。
Heltonもロッキーズであったことはもちろん考慮しましたが,反対にあの時代クリーンであったことも考慮。一塁手でrWAR60はHoFに相応しいかと感じます。
AJは守備。圧倒的までな守備。「歴代№1の守備力を有した中堅手」として語り継がれるに相応しい実績かと思います。
Abreuは本記事にて取り上げることができませんでしたが,2000年代有数の走攻で高い水準のアプローチができた選手だと思っていますし,少なくともいままでの得票率が妥当とは思えません。

次点で「票を入れても問題ないよね」となったのがMark Buehrle,Francisco Rodriguez,Billy Wagnerの3人。
BuehrleはERAだけみれば平凡に感じるものの,ERA+は常に100超え。なによりキャリア16年で大きな故障をしなかったことで,デビューイヤー&引退年を除く14年全てにおいて年間200.0回超えを果たしている歴代屈指のワークホース。勝ち負けが薄れつつある中であっても,通算214勝という数字が輝きを失うことはありません。
K-RODとWagnerについては,400SVを超えているので自動通過させてやれよという感想しかないです。

そしてBeltranについては,文中に書いたとおりですかね。電子機器やリプレイルームを用いたサイン盗みはあくまでキャリア最終盤の出来事であって,彼が2000年代に残した実績は不変と思っています。それだけに,そんなくそつまらんことやめときゃよかったのにね。若手達が掴んだリングにアスタリスクを付ける後押しをしたのは間違いなくBeltranなので。

また,A-ROD・Ramirez・Sheffield・Pettitteといった禁止薬物使用歴のあった選手には一切票を入れませんでした。昨年の模擬投票においてはBondsらに投じていましたが,ここ1年の情報収集を元に「彼らはステロイド時代の被害者であるか」という観点から分析。結果として,どう論理立てても僕にはステロイダー達を擁護できないというところに着地しました。したり顔で「Bonds,Clemensらのいないクーパーズタウンなど虚構(キリッ」とか抜かしてたのが恥ずかしくなりますね。絶対掘り返すなよ。

このことから分かるようにHOUの2017年サイン盗みはドーピング使用より軽量な部類と思っています。

以上が私の模擬投票結果となります。

最後に

ここまでお読みいただきありがとうございます!今回,取り上げる上で全員の詳細なモーメントという面ではあえて全く触れることはしませんでしたが,実際には数字だけではない様々なファクターで投票が行われると思っています。
投票において「正解」は存在しないと思っていますので,投票にチャレンジされる方は色々な観点から投票してみてください!(因みに・・最大で10人選べますが,別に5人だけでもいいし極端な話1人だけでも投票は可能です。私も今回は人数を絞って投票しました。)

BBWAAの記者のように投票結果をツイートしてみると反応も得られると思いますので是非!

<参考>


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?