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NO RULES のためのルール

みなさま、明けましておめでとうございます。

何故正月からビジネス書のレビュー?って感じですが、さっき読み終わったので、ちょっと感想を書いておこうと思います。

この本は、2020年発売、ネットフリックスの特徴的な社内ルールについて、同社の創業者で会長のリード・ヘイスティングスと、「異文化理解力」のエレン・メイヤーがネットフリックスの社員にインタビューしながら説明をしているものです。ちなみに「異文化理解力」は私のバイブルで、USに住んでいたとき、人とのコミュニケーションで困ったときに(文字通り)泣きながら何度も読み返していた思い出深い本です。

で、本作ですが、英語版の "No Rules Rules"(下記) というタイトルそのものの内容でした。NO RULES というルールをどうやって機能させるかという本です。

この本の中では、ネットフリックスはいろんなルール(承認プロセス、社員の休暇規程など)を撤廃するが、そのためにネットフリックスは下記のような組織でなくてはいけないと言っています。

  1. 能力密度を高める(とびきり優秀な人が集まって働いていることをこの本では能力密度が高い状態と表現している)

  2. 率直さを高める

  3. コントロールを減らす

その結果、フリーダム&レスポンシビリティ(自由と責任)というカルチャーが生まれると。

上記2番の詳細で、ネットフリックスは、社員が他のネットフリックス社員に対してめちゃ率直なフィードバックをすることをある意味義務としています。会社や誰かに対して役に立つフィードバックをしないことは背信行為であるとまで言っています。実際本を読んでいくと、そのフィードバックを受けた人たちはフィードバックがとても役に立っていて、その人の行動変容を促すので効果的なのがわかります。確かにとてもいい。しかしスーパー・ハイコンテクスト・カルチャーの日本人にはなかなか難しいですよね。

これを読んでいて、人事のプロで、私が人事の仕事をしていたときの師匠の言を思い出しました。そのときにはUSと日本の人事制度の違いについて話していたんですが、彼は、「ジョブ・ディスクリプション(あなたに期待されている仕事はこれこれですよが書かれている職務概要、いわゆるジョブ型人事制度に使うもの)で仕事を定義して、そこだけで人事評価を行うやり方はよい、人事評価にその人個人の素養みたいなところが入ってくるのは違うと思う。評価側は神様ではないんだから、人が人を評価するのはおこがましい。」と話していました。それを聞いて、「確かに!仕事についてフィードバックするのは、その人自身を評価するのとは違う」と思いましたが、日本では、仕事それ自体に対して、フィードバックをするときにも受け取り側は人格を否定されたように思いがちです。そしてそれは実際日本だけじゃないのでは???と思って、本を読み進めていたんですが、さすがネットフリックス、フィードバックにガイドラインを設けていました。

フィードバックのガイドライン「4A」
与える側
1. 相手を助けようとする気持ちで行う
2. 行動変化を促す内容
受ける側
3. 感謝する
4. 取捨選択(3で心からありがとうは言うけど、受け入れるかどうかは本人次第)

確かに人にアドバイスされたとき、相手が自分のことを考えて言ってくれているのか、そうじゃないのかってわかりますよね。1の心持ちは大切だ。

私もUSで大学院に行っていたときに手痛いフィードバックを受けたことがありますが、実際、それは今でも私の心に深く刺さっていて、自分が日本人以外とコミュニケーションをするときには常に意識していて、とても役に立っています。

一方、この本でリード・ヘイスティングスはネットフリックスという会社はファミリーではなくて、プロ・スポーツ・チームのようなものだと定義しています。パフォーマンスに関わらず一緒にいるのが家族ですが、ネットフリックスはそうではなく、プロのアスリート同士のように、能力密度が高い者同士が協力して高い成果をあげるという組織だと言っているのです。

私は長い間楽しくネットフリックスというサービスを使いながらも、ネットフリックスという会社を好きになれないでいました。理由は知り合い何人かが短期間に入社しては辞め、入社しては辞めするのを見ていたからです。何なんだこの会社?って思っていましたが、この本の「ネットフリックスという会社はファミリーではなくて、プロ・スポーツ・チームのようなもの」というのを読んで納得しました。

さて、ネットフリックスの "No Rules Rules" 、一見すごく天国みたいですが、上記に書いてきたこと以外にも本にはたくさんの「ルールがないことを成立させるためのルール」がありました。やはりフリーダムにはレスポンシビリティが伴うということですね。

結局、何が言いたいかというと、私の感想は、進撃の巨人の最後のエレンの「アルミン、お前が言った通り、オレは自由の奴隷だ。」を思い出したってことですね(結局アニメかい


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