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冬の香に包まれる。

先週から急な仕事でバタバタしはじめ、部屋にずっと籠って作業している。だが5日も経つと、「アカン! まったく頭が働かん……」という絶望が襲ってきた。年末に飾ったマム(菊)も、正月に実家からたっぷり持ち帰った野菜もそろそろ終わるので、気分転換に買い出しへ出かけた。

たまたま入ったドラッグストアで、いきなり「”恐喝”をご存知ですか?」という物騒なアナウンスが流れて仰天。「ドラッグでそんな注意喚起をするなんて、近所で事件でもあったんだろうか」と思っていたら、”腸活”のことだった。相変わらず聞き間違いが多い。

気を取りなおして直売所へ。正月明けまでマム一色だった花売り場では、いつの間にかスイトピーやフリージア、デルフィニウムなど、色とりどりの可憐な花々が空間を彩っている。

そういえば冬に日南へ行くと、花農家のハウスでスイトピーが直売されていて、よく買って帰ったっけ。日南は全国有数のスイトピーの産地。ハウスがあるのは、北郷という田園風景の広がるエリアで、中心を流れる広渡川では秋になると山太郎ガニも獲れるのだ。この辺りの名物に「かに巻き汁」がある。山太郎ガニの甲羅を外して丸ごとすり潰し、味噌仕立ての汁でいただく。ふわふわとした独特の味わい。カニを余すところなく使った、旨みの凝縮した一品である。

スイトピーの香りに、なぜか食べもののことを思い出していた。

しばらくすると、反対側からかなり強く主張する香りが漂ってきた。少しツヤのある、薄黄色の花をたくさんつけたロウバイだ。ああ、一年ぶりのこの匂い。

どう表現したら伝わるのだろう。少し甘い、気品漂うたおやかな香り。梅に似ているけれど、梅はバラ科サクラ属、ロウバイはロウバイ科ロウバイ属なので、まったく違う植物ということになる。

ロウバイの花言葉は、
「奥ゆかしさ」「慈愛」「先見」

冬から早春にかけては、水仙、ロウバイ、梅、フリージア、沈丁花と、香りに誘われる花がどんどん咲いていく。毎日どんよりとした曇り空の下、「春までもう少し待ってくれ」と言わんばかりで、気持ちが少しだけ華やぐ。

先週から3月並みの暖かさ。あと2週間もすれば、桜が咲く気さえする。なのに、明日からは通常の冬に逆戻りらしい。予想最低気温はマイナス温度。仕事じゃなくても籠りそう。

今週から、デパートで恒例の駅弁&うまいもの大会が開催される。気分転換にちょっと行きたかったが、どうしよう。寒いのは苦手。だけど、福井の鯖寿司や白えびも気になるし、鹿児島嘉例川駅の「百年の旅物語かれい川」も久しぶりに食べたい。福岡の「パンストック」が日時限定で出店するらしいし、北海道のじゃがぽぉも買える。WEBチラシを眺めながら妄想中。

ロウバイの香りに包まれた部屋で、よぎるのは食べもののことばかり。花より団子、色気より食い気。

その前に、今週の締め切りが迫っている(汗)。


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