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迷いの中にいるまひろと邁進する道長/大河ドラマ『光る君へ』第14回・15回

久しぶりの感想になってしまった。
(以下、ドラマの内容を含みます)

第13回は道長とまひろが4年ぶりに再会したところで終わり、さて、第14回はどうなるのかと思いきや……。

まひろに再会後の道長は、倫子に話しかけられても心ここにあらず。倫子に自分を触れさせず、「よい風だ」と言ったのはどういう意味だろう。まひろに会えてうれしかったと捉えていいのか? 従者から「為時の娘」と説明を受けたからなのか?(つまり、まひろが婿を取らずにいることを理解した)

道長の行動は、進むべき道が定まらないまひろが足早に屋敷を後にするのとは対照的。彼はまひろとの約束を果たそうと、やるべきことをやっている。マイペースだった道長が、率先して前に進んでいる。ただ、彼は倫子にも明子にもやさしいが、それは愛情というよりも職務をこなすためのように見える。

賢い倫子が気づくのは時間の問題では……と思っていたら、第15回のラストで流れた予告で何やら不穏な倫子の声が(汗)。いや、そもそも予告、これ、まひろが疫病にかかっちゃうのでは? でもって、それを道長が助けるという風にしか見えないのだが……、今夜は見逃せない。

ついに兼家が逝ってしまった。その亡骸を抱いたまま慟哭する道長は、涼やかないつもの彼と別人だった。「家」のために政治をするのだと言った兼家に、彼は何を思ったのだろう。兼家と明子との対面時、道長が老いた父親の姿に耐えられずに席を外してしまったことを思い出す。政治の中心に居ても、道長にとって兼家は父親なのだなあと感じさせた。

兼家亡きあと、跡目を継いだのは長男の道隆。当然と言えば当然だが、ここで、こじらせ道兼の怒りが爆発。道長は、荒れた生活をする道兼に「もう己の意志で好きにしていいのです」と語り、父親の呪縛から兄を救う。ようやく道兼が正気に戻った。何しろ初回がアレだったので、狂気と孤独に支配されたままなのかと思っていた。荒れ放題の道兼と正気の道兼のギャップが凄まじい。

兼家や道兼に対する道長の行動には、彼のやさしさが感じ取れる。そこは三郎の頃から変わらない。

第15回では、まひろがさわと一緒に石山寺へ参拝。よかれと思って子どもに字を教えても、庶民である彼らの親から見れば自分たちは「貴族の慰みもの」に映る。道長と同じ志で動くまひろが見たのは、厳しい現実だった。

何者にもなれていない彼女にとって、『蜻蛉日記』の作者・藤原寧子に言われたことば「心と体はうらはら」「書くことで己の悲しみを救った」は、心に強く響いただろう。さまざまなシーンで、紫式部が『源氏物語』を書くきっかけが少しずつ積み上げられていく。

この回では、昔から読みふけっていた書物の作者本人に出会って感激のまひろと、初めて定子に出会って感激のききょうの「推しに遭遇!」「推しを発見!」の様が興味深かった。私も自分の推しに旅先で出会ったら、まひろと同じく喋り倒すかもしれない。『虎に翼』もそうだが、この大河も現代にリンクするネタ(と軽く言っていいのか分からないが)がたびたび出てくる。

道綱の夜這いは現代にリンクしてはいないけれど、あの時代、宿坊でも普通だったのかしら……。まひろに恋した道綱くん、もしかしてそれ道長に言うの? せっかく仲良くなれたさわが、再び笑顔でまひろに会う日は訪れるのだろうか。そこが心配。

今夜、再びザワザワ、ヒリヒリ、ヒヤヒヤになりそうな内容なので、早くお風呂に入ってスタンバっておきたい。まひろとの決別で、道長のことをちょっと嫌いになりかけていたけど、佑@道長はやっぱりいい。ほんとに、いい。

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