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特別企画②:心に残る最強悪役BEST3『レオン』『ブラック・レイン』『ストリート・オブ・ファイヤー』(『ノーカントリー』

悪党ばかり出てくる「悪党映画」の悪役ではなく、あくまで正義?があってそれに対峙する悪。レクター博士やダース・ベイダー、サノスなど有名どころやジェイソン、フレディなど悪が主役のものは外した。
選出に難儀したが、選んだ3作品(+1)の悪役たちは共通して登場シーンが素晴らしく一気に心をつかまれてしまった。良い悪役は映画を引き締め、時に主役をも喰ってしまう。映画には欠かせない要素であろう。

『レオン』(1994年フランス・アメリカ映画)

監督:リュック・ベッソン
悪役:ノーマン・スタンフィールド

ノーマン・スタンフィールド

ノーマン・スタンフィールド(演:ゲイリー・オードマン)
「ベートーヴェンは好きか?」ドラッグをキメて鼻歌まじりで銃をぶっ放してからのこの科白。スタンの動向から目が離せない。
もちろんレオン(ジャン・レノ)とマチルダ(ナタリー・ポートマン)は素晴らしく良いのだがそこにスタン(ゲイリー・オールドマン)が加わったことで映画『レオン』を名作たらしめた。

ベートーヴェンは好きか?

常にらりっていて残虐なヤバイ人物なのだが頭のキレが良く次第にレオンを追い詰めていく。しかしながらどこかとぼけていて憎み切れない悪役だ。いまや善人も悪人もこなし名優となったゲイリー・オールドマンの出世作。何度観ても面白い、自分の中ではベッソン映画のNo.1である。


『ブラック・レイン』(1989年アメリカ映画)

監督:リドリー・スコット
撮影監督:ヤン・デ・ボン
悪役:佐藤浩史

佐藤浩史

佐藤浩史(演:松田優作)
ニューヨークのレストランに佐藤(松田優作)が現れた刹那、物語は佐藤のものとなった。狂気の演技ですべての俳優を喰った優作の映画だ。
アフターストーリーも相まって鬼気迫る演技に圧倒される。

全てを喰った優作。左はガッツ石松だな

「ブレードランナー」よろしく大阪の街を近未来的に魅せたスコット監督の手腕。実際は様々な国で撮影したらしいが、フィルム・コミッションの無い時代によくぞここまで仕上げたと思う。
優作フリークとして願わくば今作後のハリウッドでの活躍を見てみたかった。40歳、早すぎるよ。


『ストリート・オブ・ファイヤー』(1984年アメリカ映画)

監督:ウォルター・ヒル
悪役:レイヴェン

ボンバーズのリーダー、レイヴェン

レイヴェン(演:ウィレム・デフォー)
炎の中からリーゼント頭に青白い蛇顔、革のツナギ姿で現れるレイヴェン。今でこそベタな演出、ベタな物語だが当時はなんともかっこよかった。ヒット曲満載の80年代のサントラ映画。ロックンロールの寓話、どこかの物語。

well…

人気ロック歌手エレン(ダイアン・レイン)の地元凱旋ライブ。大胆にもレイヴェン(ウィレム・デフォー)率いるボンバーズはライブの最中にエレンを攫って行く。エレンの元恋人トム・コーディ(マイケル・パレ)が救出のため街に戻り相棒の女兵士マッコイ(エイミー・マディガン)と共にボンバーズと対峙する。
クライマックスのハンマーを使ってのタイマンは必見。主役のマイケル・パレがひたすらカッコいいのだが、それ以上にウィレム・デフォーの存在が映画を支配していた。


次点『ノーカントリー』(2007年アメリカ映画)

監督:ジョエル・コーエン
   イーサン・コーエン
悪役:アントン・シガー

アントン・シガー

アントン・シガー(演:ハビエル・バルデム)
 何といっても殺し屋アントン・シガー(ハビエル・バルデム)の顔面力だ。あの髪型にあの笑顔、怖すぎる。誉め言葉だ。あと普通じゃない武器(キャトルガン:家畜銃)、怖すぎる。独自のルールを持った狂人。彼の顔を見て生き延びた人間はいないという。

この笑顔、怖すぎる

ジョシュ・ブローリンでもトミー・リー・ジョーンズでもなくハビエル・バルデムの狂気の映画。アカデミー賞助演男優賞を受賞したのも納得。因みに奥さまはペネロペ・クルス。
テーマ的に名作とは呼びづらいが好きな作品。
何をしでかすか分からない恐怖、どこに着地するのか分からない緊張感、そこにユーモアを絡めてくる。コーエン兄弟こういうのうまいですよね。


                     (text by電気羊は夢を見た)


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