文徒インフォメーション vol.63

Index------------------------------------------------------
1)【Book】蓮實重彦の「ジョン・フォード論」(文藝春秋)は期待を裏切られることのない内容
2)【Publisher】ハースト婦人画報社はセクシュアルウェルネスに特化した情報を発信するプロジェクト「WeSAY」を始動
3)【Advertising】広告費、22年度1.1%増に下方修正 日経広告研が予測
4)【Digital】ウェブライターの葛藤、1文字1円はさらに値崩れ
5)【Magazine】学研の科学、12年ぶり復刊
6)【Marketing】日販はスターツ出版と「Popteen」とのコラボでキャストオーディションを開催
7)【Comic】カミムラ晋作が目黒考二と椎名誠を主人公に「本の雑誌」の創刊を描くマンガ「黒と誠」
8)【TV, Radio, Movie, Music & More】五輪組織委元理事、大会スポンサーにAOKIを後押しか―五輪資金提供疑惑
9)【Journalism】メディアは、もっと冷静になるべきだ。しかし、それは報じないということではない。
10)【Person】「特攻の紀谷理馬」が朝日新聞の甲子園商法を批判
11)【Bookstore】トーハン「西台雑誌センター」で漏水事故―書店配送に遅れ
----------------------------------------2022.7.25-7.29 Shuppanjin

1)【Book】蓮實重彦の「ジョン・フォード論」(文藝春秋)は期待を裏切られることのない内容

◎本田靖春ノンフィクション賞は、鈴木忠平の「嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか」(文藝春秋)と秦融の「冤罪をほどく “供述弱者”とは誰か」(風媒社)に決まった(ね、講談社を削除するとスッキリするでしょ!もちろん勝手に取っちゃったけれど・・・)。この毎日新聞の記事も見出しでは講談社を削除している。
https://mainichi.jp/articles/20220722/ddm/012/040/105000c
秦融は中日新聞編集委員だが、「冤罪をほどく」は中日新聞に連載された企画ではない。Web「Forbes JAPAN」の連載「供述弱者を知る」に加筆された作品だ。風媒社は名古屋の出版社だ。
讀賣新聞が2月25日の紙面で堀川惠子による書評を掲載しているが、堀川はこう書いている。
《罪なき人が「自白」し、その調書に署名までする。昭和の昔話ではない。事件の解明に取り組んだ報道チームのデスクが「供述弱者」という新たな視点から、正義の天秤が狂うさまを浮かび上がらせた。》
https://www.yomiuri.co.jp/culture/book/review/20220221-OYT8T50058/
1月23日付東京新聞には青木理による書評が掲載されている。
《本書は、滋賀県の病院を舞台として二〇〇三年に起きた冤罪事件の真相を追い、捜査当局が冤罪を作り出してしまう構造問題に迫ったルポルタージュである。と同時に本書は、調査報道でそれに肉薄する新聞記者たちの取材活動を描いたメディアの内幕ドキュメントでもある。》
《願わくば、メディアを志望する学生や若きメディア人にこそ本書を読んでほしい。新聞を筆頭とする既存メディアは斜陽が指摘されているが、こうした記者たちの存在がなければ、歪みは放置されたまま社会は闇に包まれてしまうのだから。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/155714

◎「ブックバン」は7月23日付で「10冊中5冊が和田秀樹氏! 高齢者向け新書が爆発的ヒット[新書ランキング]」を発表している。これによると7月20日に発表されたトーハンの週刊ベストセラーの新書部門ではベストテンのうち5冊を和田秀樹の著書が占めた。1位は「80歳の壁」(幻冬舎)で、3位「70歳が老化の分かれ道 若さを持続する人、一気に衰える人の違い」(詩想社)、4位「老いの品格 品よく、賢く、おもしろく」(PHP研究所)、6位「70代で死ぬ人、80代でも元気な人」(マガジンハウス)、8位「80歳の超え方」(廣済堂出版)。
https://www.bookbang.jp/article/737107
7月は幻冬社新書から和田秀樹の「70 歳の正解」が刊行された。これも売れそうだ。和田はこれまでいったい何作の本を世に出しているのだろうか。和田秀樹の本にはさして興味は湧かないけれど(正直に告白すると不勉強な私は一冊も読んでいない)、和田秀樹という人物には興味が湧くよなあ。映画監督までしてんだよね、「受験のシンデレラ」というんだけど。
「80歳の壁」は18刷、43万部突破!
https://twitter.com/gentoshas/status/1550324097850101760

◎日本文芸社は、著作累計80万部を誇るキャメレオン竹田の最新刊で8月22日発売となる「龍神さまとつながる方法 『願いがものすごく叶う龍王』NFT特装版」の予約を開始した。「神さまとつながる方法」「お金が増えすぎちゃう本」「モテすぎちゃう本」に続く、キャメレオン竹田氏の超開運シリーズの最新作であり、神さまパワーを注入したご神水・聖水で描く、大人気の書き下ろしパワーアートの中から、描き下ろしの作品をNFT(非代替性トークン)デジタル特典で楽しめる特装版を数量限定で販売する。通常版が1,320円(税込)、NFT特装版が2,200円(税込)だ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000300.000041489.html

◎大阪ほんま本大賞は高田郁の「ふるさと銀河線 軌道春秋」(双葉文庫)に決まった。高田は宝塚市の出身だ。「NHK NEWS WEB」が7月25日付で掲載した「『大阪ほんま本大賞』に宝塚市出身の作家 高田郁さんの作品」は次のように書いている。
《実行委員を務める紀伊國屋書店の百々典孝さんは「受賞作は短編で、うち2編が大阪の物語なので景色や街のにおいが伝わってくると思います。小説を読んで、楽しみながら関西のよさを味わってほしいです」と話していました。
関西の書店では、25日から半年間、受賞作を広くアピールしていくということです。》
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20220725/2020018963.html
料理研究家・土井善晴の「一汁一菜でよいという提案」(新潮文庫)が特別賞を受賞した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000625.000047877.html

◎蓮實節炸裂というか、蓮實節全開というか。蓮實重彦の「ジョン・フォード論」(文藝春秋)が店頭に並ぶのを待っていた読者にとっては全く期待を裏切られることのない内容だ。「節」にはアジテーションとルビを振っても良いだろうし、誤解を恐れずにいえばポルノとすらルビを振っても良いはずだ。そのくらい蓮實の文体は私たちを官能の世界に引きずりこんでしまう。しかも、癖になるのだ、この文体。私の場合でいうと、松田政男の「映画批評」で、蓮實重彦の名前を見つけて以来、蓮實重彦の映画評には、殆ど目を通して来ている(私の記憶が間違いなければ、川本三郎や千坂恭二も松田政男の「映画批評」でデビューしている)。
「ジョン・フォード論」で蓮實が狂言回しとして最初に登場させるのは、何とジャン=マリー・ストローブなのである。周知のようにジャン=マリー・ストローブはゴダールやロメールとはシネマテーク仲間であり、アルジェリア戦争に反対する立場から徴兵を拒否し、西ドイツに亡命し、「アンナ・マグダレーナ・バッハの日記」や戦後も継続する軍国主義や反ユダヤ主義を告発した「妥協せざる人々」(「和解せず」のタイトルでDVD発売されている!)などの作品でニュー・ジャーマン・シネマの旗手と評価されている映画作家にほかならない。
ジャン=マリー・ストローブがジョン・フォードの戦争映画ファンであったとは!初っ端から読者のハートを鷲掴みしてしまうのである。
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163915746
それにしても今年は映画本の当たり年ではないか。抱腹絶倒極まりない佐伯俊道の何故か雑誌コードで刊行された上下二巻からなる「終生娯楽派の戯言」(マルヨンプロダクション)、上野昂志の「黄昏映画館」(国書刊行会)も刊行されている。おっと、来客、現る。千坂恭二だ。今日の「文徒」はここまでとしよう。

◎小野不由美「十二国記」の30周年を記念して、「『十二国記』30周年記念ガイドブック」が8月25日に発売された。
https://twitter.com/12koku_shincho/status/1551401864960233474
https://www.shinchosha.co.jp/12kokuki/log/140.html

◎「NHK『100分de名著』ブックス 太宰治 斜陽 ~名もなき『声』の物語」が発売された。著者は高橋源一郎。高橋は「斜陽」に、太宰文学の核心を見ているようだ。これは「買い」だね。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000511.000018219.html

◎「Yahoo!ニュース | 本屋大賞 2022年ノンフィクション本大賞」のノミネート作品が次のように発表された。
「朝日新聞政治部」鮫島浩/講談社
「嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか」鈴木忠平/文藝春秋
「さよなら、野口健」小林元喜/集英社インターナショナル
「ソ連兵へ差し出された娘たち」平井美帆/集英社
「妻はサバイバー」永田豊隆/朝日新聞出版
「目の見えない白鳥さんとアートを見にいく」川内有緒/集英社インターナショナル
https://news.yahoo.co.jp/nonfiction/
大賞は「妻はサバイバー」か、「目の見えない白鳥さんとアートを見にいく」だろう。▲で「ソ連兵へ差し出された娘たち」というところか。

◎新堂冬樹の新作「嫌われ者の矜持」(光文社)の主人公は写真週刊誌の編集者だ。「Smart FLASH」は「作家・新堂冬樹氏が『写真週刊誌』を舞台にした小説を発表!『編集者に取材してリアリティを追求しました』」を発表している。新堂は次のように語っている。
《「みなさん、ふだん写真週刊誌を読んで、『他人のこんなことを暴くなんて、ひどい!』と思っているかもしれません。でも、その裏には写真週刊誌で働く記者、カメラマンの苦労とか、葛藤とか、思いがあるわけです。彼らが善人だとはいわれないと思うんですよ。どちらかといえば、ヒールでしょう。でも、タイトルに『嫌われ者の矜持』とあるように、彼らなりのポリシーや信念があるんです。そのあたりを、まずは先入観なしに読んでいただきたいな、と思います」》
https://smart-flash.jp/entame/192960/1

◎読者はこの美人尼僧の家庭崩壊、一家離散、高級ソープ嬢、離婚、再婚、出家を経て、現在は二児の母というキャリアに惹かれる。ハナからベストセラー狙いの出版であることは見え見えである。光文社は野寄覚令の「だから、あなたは愛されないの。」を7月21日に刊行した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001335.000021468.html
荒川祐二がツイートしている。
《いよいよ明日!!初の本格プロデュースとなる、『令和の瀬戸内寂聴』こと野寄覚令さんの処女作『だから、あなたは愛されないの。』が、全国発売されます!!
すべての女性の悩みを解決する本なので、ぜひみなさんお買い求めよろしくお願い致します!!》
https://twitter.com/arakawayuji/status/1549723470199922689
こういう奴が一枚も二枚も噛んでいる企画なのか。
《大阪の中学、高校を卒業し、上智大学に入学。その後、大学時代に「自分を変えたい!」という思いで、毎朝6時から日本一汚い場所新宿駅東口の掃除をたった1人で始める。『背中に一緒に掃除してくれる人募集!』と書かれた看板を背負って始まった活動は、周りの人の心を動かし、ホームレスから始まり、1人、また1人と仲間が増え続けた。半年後の2007年5月3日(護美の日)には、全国で一斉にゴミ拾いを開催。
全国27か所、総勢444人の人を集める。その活動は現在も継続され、2009年5月3日には全国200か所、全世界26カ国、総勢15,534人、2010年5月3日には、全世界30カ国以上、総勢10万3,036人、2013年5月3日には環境省と官民一体で行うプロジェクト 『GOMIファンタジスタプロジェクト』として全世界300箇所以上、15万3,894人という全世界ムーブメントに広がっていった。
現在は本業として作家、小説家業を行う一方で、上記のゴミ拾いの活動、ニートや引きこもり、定時制に通う若者たちを積極的に採用する飲食店の経営、書のアーティストとしての活動、通算300回以上に及ぶ全国の学校を中心とした講演活動、イベント、メディア出演等、様々な活動を行っている。
これまでの著書に「半ケツとゴミ拾い」(地湧社)、「ゴミ拾いから見えてきた未来」(美健ガイド社)、「伝え屋」(廣済堂出版)、編集担当作品「BREAKpoint 人生が変わる瞬間」(サンクチュアリ出版)、「NO BORDER 世界を1つに繋ぐ歌」(サンクチュアリ出版)、「奇跡の紅茶専門店」(マガジンハウス)、「あの時やっておけばよかったと、いつまでお前は言うんだ?」(講談社)がある。》
http://arakawayuji.com/profile.html
う~ん、私は苦手だ。しかし、いくらなんでも「令和の瀬戸内寂聴」という言い方は「美は乱調にあり」や「遠い声」の作家に対して失礼だろうよ。荒川祐二ってのは、そんなこともわからずに「作家」を名乗っているのか。

◎朝日新聞デジタルは7月27日付で「読み手の人生変える力も 見田宗介『気流の鳴る音』が放つ危険な魅力」(太田啓之)を掲載している。見田宗介の著書も、真木悠介名義の著書も私は商業出版社から刊行されたものに関して言えば、総てを読んできたといって良い。また、見田の合宿に参加することを最大の楽しみとしていた版元の経営者とも親しくさせてもらっている。この経営者は今は引退しているが、恐らく合宿には参加しつづけていることだろう。更に私が尊敬していた文芸評論家の加藤典洋も晩年、見田宗介に着目していた。
《この書物は決して社会学「だけ」の本ではない。副題の「交響するコミューン」が示すように、理想的な社会やそこでの人間の欲望のあり様を巡る考察、古今東西の思想や宗教への言及、旅のエッセーなどが混在する不思議な一冊だが、すべての言葉が「どのように生きたらほんとうに歓びに充ちた現在を生きることができるか」(真木の著書「自我の起原」から)という、シンプルで本質的な問題意識に照準している。》
https://digital.asahi.com/articles/ASQ7T4CV1Q7RUCVL00D.html
この書物とは「気流の鳴る音―交響するコミューン」のことだ。私も何回かは読んでいるし、文体も含めて、同書ほど読んでいて心地よい本はそうはあるまい。しかし、心地よいのだけれど、その快楽を全面的には飲みこめないのである。喉にひっかかってしまう部分があるのだ。何故なら、そこで展開されて、私を快楽に誘うのは、行ったきりの思想にほかならないからだ。私が否応なく身を置かざるを得ない日常に戻ってくる回路を切断してしまっているからだ。

◎宝島社は、岡崎琢磨による「珈琲店タレーランの事件簿」シリーズから、最新刊「珈琲店タレーランの事件簿8 願いを叶えるマキアート」を8月4日(木)に発売する。 同書の発売をもってシリーズ累計250万部を突破した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001532.000005069.html

◎高瀬隼子の芥川賞を受賞作「おいしいごはんが食べられますように」(講談社)が、トーハン週間ベストセラー文芸書部門で1位になったと日テレニュースが報じている。テレビが報じることがアナウンス効果となって更に売れ行きに拍車がかかるだろう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5755e4224d30de6803ea75cdaf7cf27dfd8611a5
受賞が決まってから単行本化するのでは遅いのだ。今後、ノミネートされた段階で単行本化して発表を待つというパターンが増えるに違いない。

◎竹内明彦の「疾走!暴走!逆走!文人たちの江戸名所」が世界書院から刊行された。著者の竹内明彦は「週刊ポスト」の元編集長だ。実は版元の世界書院の社長は二木啓孝。元日刊ゲンダイの記者だが、二木はもともと「週刊ポスト」の記者だった。記者労組結成などに動いたが、やがて日刊ゲンダイに入社している。そして、この本の担当編集者は、これまた「週刊ポスト」元編集長の坂本隆だ。「週刊ポスト」三人組の揃い踏みである。で、内容は?これが滅法、面白い。江戸時代に花開いた江戸文化の魅力の一つは諧謔性だが、竹内はこれを再現してみせるのである。
https://www.hanmoto.com/wp/wp-content/uploads/2022/05/6b8df5f2e646e07ffe6797b1ebf31cfa-1.pdf
きっと竹内は本格的な文学少年だったんだろうな。もしかすると大手に入ったことが間違いだったのかもしれない。もう定年しちゃっているから言っても詮無いことだけどさ。

2)【Publisher】ハースト婦人画報社はセクシュアルウェルネスに特化した情報を発信するプロジェクト「WeSAY」を始動

◎千葉商科大学と毎日新聞出版は、包括的な連携・交流・協働に関する協定を7月21日に締結した。具体的には・・・
1.千葉商科大学のデジタル教材の共同開発研究
2. 毎日新聞出版のメディアを活用した教育研究活動の発信
3. 千葉商科大学へのメディア視点での協力・アドバイス
4. 毎日新聞出版が開催するキッズ起業塾等の共同開発
5. 千葉商科大学学生へのインターンシップを通じた人材育成
https://kyodonewsprwire.jp/release/202207214145

◎ドワンゴおよびKADOKAWAは、岐阜大学、名古屋大学を設置する国立大学法人 東海国立大学機構と提携し、東海国立大学機構が掲げる「デジタルユニバーシティ構想」に基づいて、高校生を中心とした次世代へのSTEAM教育や社会人を中心とした専門性の高いリカレント教育を展開することを中心に、大学機能の拡大に共同で取り組むことに合意した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000063.000096446.html
出版社と大学の提携は増えそうだ。

◎KADOKAWAは、7月で、乙女向けコミック誌「シルフ」のWEB化5周年を迎えることを記念して、なかやまきんに君とコラボした交通広告を新宿駅に掲出する。また、連載作品の試し読み範囲の大幅増量に加え、キャンペーン・フェアを実施する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000010895.000007006.html

◎ハースト婦人画報社は、同社の媒体を横断してセクシュアルウェルネスに特化した情報を発信するプロジェクト「WeSAY」を始動し、7月26日よりプロジェクトサイトをローンチした。
「WeSAY」はハースト婦人画報社が運営する各メディアが取材を重ねて得たセクシュアルウェルネスに関する知見を、複数の媒体で横断的に発信するプロジェクトであり、「WeSAY」という名称には、「We = わたしたち」「SAY = 性、言う、生きる」というメッセージが込められている。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000435.000008128.html
https://wesay.hearst.co.jp/
こういう企画を日本の女性誌はタブーとしてはいないだろうか。

◎「ORICON NEWS」は7月28日付で「KADOKAWA・集英社・小学館の大手出版3社、『漫画村』運営者に総額19億円の損害賠償求め提訴」を公開している。
《一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)の会員であるKADOKAWA、集英社、小学館の3社は、出版コンテンツの海賊版サイト『漫画村』の運営者に対し、3社が共同して総額19億円の損害賠償を求め提訴したことを28日、都内で行われた記者説明会で発表した。》
https://www.oricon.co.jp/news/2243685/full/
KADOKAWAの名前が最初に出て来るのか。また講談社は名前を連ねなかった。

3)【Advertising】広告費、22年度1.1%増に下方修正 日経広告研が予測

◎「DIGIDAY日本版」は、8月1日(月)リッツ・カールトン東京にて、デジタル広告領域において影響力のあるエージェンシーのエグゼクティブを集め、パブリッシャーやブランドのキーパーソンと共にメディアバイイングにおける課題を共有する招待制のイベント「DIGIDAY MEDIA BUYING FORUM」を開催する。
パナソニック コネクト 執行役員 常務・CMO 山口有希子、電通ジャパンネットワーク 社長執行役員 CEO 榑谷典洋、博報堂DYホールディングス 取締役常務執行役員 安藤元博、集英社 常務取締役 田中恵らが登壇する。
https://digiday.jp/agencies/dentsu-panasonic-digiday-media-buying-forum/
こういうイベントに呼ばれるのは集英社である。マンガのみならず、広告の領域においても出版界で最強のプレイヤーは集英社にほかならないということだ。

◎電通は7 月 1 日付で、新たに取締役 1 名を選任した。
取締役(新任)服部 克彦(現 いちご株式会社特別顧問、フロンティアコンストラクション&パートナーズ株式会社顧問)
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2022/0707-010533.html

◎日本経済新聞は7月26日付で「広告費、22年度1.1%増に下方修正 日経広告研が予測」を掲載している。
《日経広告研究所は2022年度の広告費が前年度に比べ1.1%増えるという予測をまとめた。2月時点の見通し(3.7%)から下方修正した。世界的なインフレが企業収益を圧迫する懸念が広がり、企業の広告出稿に慎重さがでている。テレビ広告が減少に転じることが影響する。インターネット広告は2ケタ増を維持する。》
《2月時点で3.1%増えると見込んでいたテレビ広告が1.5%減少する。》
《新聞広告は4.3%減少する。》
《雑誌広告は7.5%減、ラジオ広告は0.3%の微増を見込む。》
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC218120R20C22A7000000/?unlock=1
最も深刻なのが雑誌広告である。

4)【Digital】ウェブライターの葛藤、1文字1円はさらに値崩れ

◎「弁護士ドットコムニュース」は「ウェブライターの葛藤、1文字1円はさらに値崩れ『ウェブは紙の半分の原稿料』『頑張ろうとしても苦しくなる』」を発表している。
《Aさんが請け負うSEO案件の文字数は3000~4000ほどで文字単価は1.5円が主流。1記事あたりおよそ、4500~6000円の原稿料となる。これだけで月に30万円を売り上げようとすれば、50本以上の原稿を書く必要があるのだが、発注元によっては、最終的な文字単価が下がるような注文をつけてくる場合もある。
「『句読点は文字数に含まない』といった案件があります。あといろんな口コミを紹介して構成するレビュー記事なのに『クチコミは文字数に含めません』というところもある。かなり大変です。そんな怪しいクライアントは、SEO案件を請け負うライターの間で話題になりますね。
実際に文字単価0.5円でマニュアルも厳しく、修正依頼も多い案件を受けたことで、ライターに向いてないと思い、諦めてしまった方もいます。文字単価が高い方が仕事内容が厳しいというイメージを持たれがちですが、全然そんなことはないんです」》
https://www.bengo4.com/c_5/n_14732/
ウェブの場合、原稿料が1~2円であることは知っていた。私を驚かすのは、この記事を書いているのが高橋ユキであるという現実だ。「木嶋佳苗 危険な愛の奥義」(徳間書店)「つけびの村 噂が5人を殺したのか?」(晶文社)「逃げるが勝ち 脱走犯たちの告白」(小学館)の高橋ユキである。

◎講談社が運営する30代共働き女性向けWEBメディア「共働きwith」は、結婚や出産というライフステージの激動期にある読者が今一番関心のある「住宅購入」を基礎から学ぶ、読者参加型のウェビナー企画「住まいを学ぶプロジェクト」を立ち上げた。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000004354.000001719.html
https://withonline.jp/tomobataraki
https://withonline.jp/tomobataraki/pj_sumai
発想が広告でしかない。そこが問題だ。女性誌の連中って天動説を捨てきれないのではないか。

5)【Magazine】学研の科学、12年ぶり復刊

◎毎日新聞は7月22日付で「♪まだかな、まだかな~と思っていたら… 学研の科学、12年ぶり復刊 子どもに本物の体験を」(大沢瑞季)を掲載している。私は「学習」「科学」世代といって良いだろう。1963年に創刊された「学習」と「科学」は通学する学校に売りに来た雑誌である。私も小学生だった1964年からの6年間は「科学」を買いつづけた。そう「科学」の付録を団塊の世代に属する連中は知らないのである。
《小学1~6年生の学年ごとの月刊誌で年間72号を作り、最盛期の79年には、兄弟誌の「学習」と合わせて670万部を記録。当時の小学生は約1000万人だったので、約3分の2が愛読していたことになる。》
毎日新聞の取材に応じたのは「学研の科学」編集長の吉野敏弘だ。
《冊子と実験キットがセットの復刊号(税込み2970円)は、学研グループの「学研プラス」から7月7日、全国の書店やネット書店で発売された。復刊号のテーマは、次世代のエネルギーとして注目される「水素」と「宇宙」。キットは、手回し発電機をぐるぐると回し、水を電気分解することで、水素を発生させて飛ばす「水素エネルギーロケット」。爆発は発射管の中だけで起きるので、屋内で安全に実験できる。元素の中で一番軽い水素が、ロケットから漏れないようにするのに苦労した。
量産段階でも、精度を保ちつつ安全性も確保するのは、キットの開発過程で一番難しいところだ。「子どもたちが大人になる頃は、水素が身近なエネルギーとなっている可能性がある。今、最先端の研究機関や企業が取り組んでいることと、原理的に同じことを小学生がやり、ロケットを飛ばして遊ぶ。子どもの体験で一番大事なのは楽しさです。でも楽しさの裏に、どこか“本物”が入っていて社会とつながっている。それが普通のおもちゃと違う部分で、『学研の科学』で伝えたいことです」》
https://mainichi.jp/articles/20220722/dde/012/040/002000c
実は学研のお家芸である「科学」の付録もまたデジタルシフトできない商材である。

◎月刊「Hanada」9月号は240ページに及ぶ追悼大特集 「 安倍総理よ、永遠に」を掲載した安倍晋三元総理追悼大特集号!巻頭を飾るのは安倍の絶筆。小川榮太郎、百田尚樹、山口敬之が揃い踏みするのは「Hanada」において他はあるまい。売れるだろうな、これ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000125.000052297.html

◎スポーツ報知は7月21日付で「香川照之の長男・市川團子、メンズノンノでのイケメンぶりが話題『超かっこいい』『凛々しい』」を掲載している。
《俳優・香川照之(市川中車)の長男で歌舞伎俳優の市川團子(だんこ、18)が20日までに自身のインスタグラムを更新。男性ファッション誌「メンズノンノ」のアナザーショットを公開し、イケメンぶりが話題となっている。》
https://hochi.news/articles/20220720-OHT1T51096.html?page=1
人気出るだろうな、市川團子。

◎さすが「バイラ」(集英社)の編集者ともなるとゴージャスだ。愛用する時計としてIWCのポルトギーゼ・クロノグラフを紹介しているが、これ安いヤツでも99万円はするはずだ。モノによっては200万円を超えるからね。
https://baila.hpplus.jp/49352
https://eye-eye-isuzu.co.jp/gtime/category/luxe-watch/iwc/portugieser/

◎「女子SPA!」は7月23日付で「安倍氏銃撃事件を当てた?!話題の占い師を直撃。『怒りに任せた人物が…』」を掲載している。
《7月8日に奈良県で発生した「安倍晋三氏銃撃事件」……みなさんもちろんご存じですよね。元内閣総理大臣であり衆議院議員だった安倍晋三氏が銃撃され、死亡した事件です。
今も連日のように報道されている、本事件が、ファッション雑誌「Numero TOKYO 7・8月月合併号(5/27発売)」(扶桑社)に掲載された占いで予言されていて、しかも的中しているのではとSNS上で密かに話題になっているようです。
我々も雑誌を入手して読んでみたところ、確かに。「ムーン・リーの開運占い」という連載内に「国のトップが暗殺されるなどといった世の中の交通マヒ的な大きな事件に見舞われます」と、しっかり書かれているではありませんか!》
https://joshi-spa.jp/1184875

◎「VOGUE」本国版が、10月号の表紙にウクライナの大統領ゼレンスキー夫人、オレナ・ゼレンシカを起用した。撮影は、今月キーウで行われたそうだ。二人へのインタビューも掲載される。
https://www.fashionsnap.com/article/2022-07-27/vogue-olena-zelenska/
雑誌はジャーナリズムを手放したら終わりだ。わが国において、女性誌は実用で埋め尽くせば良いというイデオロギーは男性編集者によって築き上げられた妄想であることに、そろそろ女性編集者は気がつくべきなのではないだろうか。

6)【Marketing】日販はスターツ出版と「Popteen」とのコラボでキャストオーディションを開催

◎日販は、スターツ出版と、ティーン向けファッション誌「Popteen」とのコラボ企画「スタ文映像化総選挙&キャストオーディション~主人公、探してます。~」を8月15日(月)より開催する。
このコラボ企画は「この1冊が、わたしを変える。」をコンセプトとするスターツ出版文庫と、「Popteen」がコラボした、読者参加型の企画。書店店頭やWEB上での読者投票によって「映像化してほしいスタ文作品」の第1位に選ばれた作品はドラマ化され、2023年春に動画配信サイトにて放映される。このドラマの制作にあたっては、キャストオーディションも実施し、グランプリや特別賞に輝くと、ドラマの主演として俳優デビューするだけでなく、「Popteen」のレギュラーモデル起用など、様々な特典が受けられる。
日販は、読者投票サイトの運営を行うとともに、この企画と連動したフェアを全国の取引書店の協力のもと実施し、企画を盛り上げる。
スタ文映像化総選挙の対象となるのは次の10作品だ。
・君のいない世界に、あの日の流星が降る (いぬじゅん)
・君が僕にくれた余命363日(月瀬まは)
・海に願いを 風に祈りを そして君に誓いを (汐見夏衛)
・一瞬を生きる君を、僕は永遠に忘れない。 (冬野夜空)
・きみが明日、この世界から消える前に (此見えこ)
・余命一年の君が僕に残してくれたもの (日野祐希)
・明日、君が死ぬことを僕だけが知っていた (加賀美真也)
・天国までの49日間 (櫻井千姫)
・今夜、きみの涙は僕の瞬く星になる (此見えこ)
・君はきっとまだ知らない (汐見夏衛)
https://www.nippan.co.jp/news/sutabun_sosenkyo_20220726/

7)【Comic】カミムラ晋作が目黒考二と椎名誠を主人公に「本の雑誌」の創刊を描くマンガ「黒と誠」

◎白泉社は1日限定で投稿してからデビュー決定まで、たったの1週間という「ラララボ!1dayハイスピードマンガ賞」を7月31日に開催する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000844.000046848.html

◎コミックス累計600万部突破となった「orange」はこれまでTVアニメ化、アニメーション映画化、実写映画化されたが、「双葉社公式コミックチャンネル」でフルボイスコミック化され、7月21日よりYouTube で公開された。
https://newscast.jp/news/1170408

◎毎日新聞は7月23日付で「14歳で日本兵に 白色テロと拷問経験 91歳台湾人の歩みを漫画に」(鈴木玲子)を掲載している。
《一人の台湾人の生涯を通して、激動の台湾現代史を描いた異色のノンフィクション漫画「台湾の少年」(岩波書店)の翻訳本が刊行された。主人公の蔡焜霖(さいこんりん)さん(91)は、日本統治下だった戦時中に旧日本陸軍2等兵となり、戦後の国民党政権下では「白色テロ」と呼ばれる弾圧で「政治犯」とされ、10年間服役した。度重なる苦難を不屈の精神で乗り越えてきた姿は、まるで台湾現代史そのものだ。焜霖さんは「台湾が暗い時代を乗り越え、非暴力によって民主化を達成し、世界から称賛されている。その素晴らしさを日本にも伝えたい」と話している。》
《漫画化は、焜霖さんの経験を聞いた台東大児童文学研究所の游珮芸(ゆうはいうん)所長らが手がけた。全4巻で、翻訳本は今回、第2巻まで発売された。翻訳は倉本知明・文藻外語大准教授が取り組み、日本語、台湾語、北京語など複数の言語を日本語で示すため、日本語の字体や色を変えるなど工夫を凝らした。社会背景の解説や年表を加え、複雑な歴史を丹念にひもといた労作だ。》
https://mainichi.jp/articles/20220723/k00/00m/030/057000c
https://tanemaki.iwanami.co.jp/categories/971
翻訳家・阿明がツイートしている。
《民主主義とは何かが問われている今、植民地から独裁体制を経て、アジア随一の民主国家となった台湾の近現代史が一人の少年の人生を通じて描かれる『台湾の少年』が発売されました。戒厳体制がいかに人間の尊厳を犯し、人々がそうした暴力に抵抗してきたのか、今隣国から学べることは沢山あると思います》
https://twitter.com/KURAMOTOTOMOAKI/status/1545739767261777926
これは斎藤真理子のツイート。
《濱田麻矢先生が『台湾の少年』(游珮芸・周見信作、 倉本知明訳、岩波書店)と『韓国文学の中心にあるもの』を同時に読んでくださっているそうですが、それ本当に臨場感あるわ・・・
朝鮮半島と台湾の1940ー50年代の状況を両側から浴びる感じになってたまらない、すごい。》
https://twitter.com/marikarikari/status/1549511651354824704
神保町の東方書店 東京店7月9日の平台には漫画「台湾の少年」(岩波書店)、野間文史「論語注疏訓讀」明徳出版社、宝樹「三体X 観想之宙」早川書房、「中国民衆玩具」大福書林といった作品が並んだ。
https://twitter.com/toho_jimbocho/status/1545599646894288898
台湾の太台本屋が東方書店 東京店をリツイートしている。
《今週の神保町・東方書店さんの店頭平台に #太台好書 が6点も! うれしいです!
(1)(2)游珮芸 周見信 『台湾の少年』1&2
(3)何敬堯『[図説]台湾の妖怪伝説』
(4)莫理斯『辮髪のシャーロック・ホームズ』
(5)紀蔚然『台北プライベートアイ』
(6)焦桐『味の台湾』
ありがとうございます!》
https://twitter.com/taitaibooks/status/1545958709280460802

カミムラ晋作が目黒考二と椎名誠を主人公に「本の雑誌」の創刊を描くマンガ「黒と誠」を私は毎回楽しみにしている。双葉社の運営する「COLORFUL」に連載されている。
https://colorful.futabanet.jp/articles/-/1509
雑誌の創刊は、こうありたかった。ここを過去形にしていることに着目してもらいたい。
カミムラ晋作がツイッターで最初に読んだSFとして絵本「宇平くんの大発明」(岩崎書店)の名前をあげ、絶賛している。
《#SFなんでもランキング最初のSF
私はたぶんこれ。
『宇平くんの大発明』北川幸比呂/田島征三
https://kosho.or.jp/products/detail.php?product_id=313278275…
天才少年の宇平くんが人類史に残る大発明をするも、大人の複雑な事情でその発明が売れない…という風刺の効いた内容。SFの魅力と大人の世界を知ったような喜びを教えてくれた。》
《児童文学とは思えないほど過激な資本主義社会批判を含みつつも子供をワクワクさせるストーリーに、田島征三氏の力強い絵がなんともミスマッチで最高なんだよね。なんでも長持ち機「フメツ」(壊れないと商売にならないので売れず)、立体複写器「マルコピイ」(3Dプリンターよね)…今でもよく覚えてる》
《トゥイラー検索したら自分今まで5回くらい宇平くんの話してたけど、毎回ほぼリプもいいねもつかない。もしかしてかなりマイナーな児童文学なのか…?と思ったが他の人の思い出ツイは検索でそれなりに出てくる。単に絶版で今は手に入りにくいってことかね。》
https://twitter.com/kamimurake/status/1551616560732651521
https://twitter.com/kamimurake/status/1551617255342952450
https://twitter.com/kamimurake/status/1551621816359145472

◎京都精華大学は、学生に対するキャリア支援の一環として、全学部の学生を対象とした「マンガ編集部合同講評会」をオンラインにて開催する。開催日は8月8日(月)、8月7日(火)の2日間で、「週刊少年ジャンプ」、「少年ジャンプ+」、「月刊少年マガジン」、「少年サンデー」、「別冊マーガレット」など10誌以上の編集部が参加を予定している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000049.000011014.html

8)【TV, Radio, Movie, Music & More】五輪組織委元理事、大会スポンサーにAOKIを後押しか―五輪資金提供疑惑

◎毎日新聞は7月21日付で「元理事、大会スポンサーにAOKIを後押しか 五輪資金提供疑惑」(二村祐士朗、井口慎太郎、松尾知典、島袋太輔)を掲載している。
《関係者によると、組織委内でスポンサー集めを担当していた部局は、高橋元理事が専務を務めた大手広告会社「電通」(東京)からの出向者が責任者を務めていた。AOKIHDは2018年10月に五輪・パラのスポンサー企業である「オフィシャルサポーター」に選ばれており、元理事はこれ以前に責任者らに同社を紹介したという。》
https://mainichi.jp/articles/20220721/k00/00m/050/347000c
組織委内でスポンサー集めを担当していた部局の責任者が電通からの出向者がつとめていても不思議ではないが、AOKIが「オフィシャルサポーター」に選ばれる以前に高橋がこの責任者にAOKIを紹介したのは、何のためだったかである。
ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」は7月20日付放送で東京オリパラ組織委員会の元理事・高橋治之がAOKIから現金を受領していた疑いがあるとの報道を取り上げた。辛坊治郎は次のように語ったそうだ。
《今回、事件化するかどうかは、まだ分かりません。ただ、検察がこうしたリークをするときの狙いは、2通り考えられます。1つは、事件化は不可能だが、とにかくマスコミで騒いでもらって社会的制裁だけを与えるという意図です。これは、立ちが悪いですよ。先述の森友学園問題の文書改ざんのケースと同様です。もう1つは、近く事件化するので「先にスクープさせてあげる」というケースです。今のところ、私は後者の意図があるのではないかと感じています。》
https://news.1242.com/article/374764
日刊スポーツは7月22日付で「五輪組織委・高橋治之元理事の資金受領問題、スポンサー選びで「古巣」電通への影響力行使焦点に」を掲載している。共同通信の配信。
《高橋氏は取材に対し、AOKI側とのコンサル契約について「経営全体や新規事業への提案」とし、組織委とは無関係と強調した。ある検察幹部は「表でやりとりした金に見えて、実際の思惑が違うことはよくある。コンサル料について、AOKI側、高橋氏側の双方がどんな認識だったか、詳しく調べる必要がある」と話した。》
https://www.nikkansports.com/general/news/202207220001513.html

◎NHKのEテレの「100分de名著」のセットで司会者の背後の本棚のセットに文鮮明の自叙伝「平和を愛する世界人として」が並べられていたそうだ。私が最初に目にしたのは7月16日にツイートしていた「ミカエリ微塵」が添付していた画像である。これがそう。
https://twitter.com/mikaelimijin/status/1547985493744578561
もっとも、今から7年前のハナシであることが判明する。世田谷区議会議員の上川あやが次のようにツイートしている。
《NHKの100分de名著と言う番組で、司会者の後ろ本棚に文鮮明の自叙伝があるという話。ええっ!と驚いて調べたら、2015年11月のこの記事での指摘が発端みたいですね。》
https://twitter.com/KamikawaAya/status/1549748617153757184
「やや日刊カルト新聞」は2015年11月19日付で「NHKの番組セットに統一教会(家庭連合)教祖の自叙伝が陳列」を発表している。
《この番組に於いて、本紙で確認できただけでも2013年4月から2014年8月に掛けて、MCの背後のセットに問題の教祖本が並べられていた。 当初、件の教祖本は2箇所に陳列されていたことが判っている。》
《名著番組のセットに並べられた文鮮明の自叙伝『平和を愛する世界人』、恰もこのトンでも本が「名著である」とNHKが箔付けしているかのようにも取れる。》
《現在、当該本は番組セットから撤去されている。》
この記事の著者は鈴木エイト。鈴木はNHKに何故、こんなことが起きてしまったのか問い質している。NHKは、こう答えている。
《「2013年度にスタジオセットのリニューアルがあり、背景の本棚に飾る本を選ぶため、美術担当者が専門業者を通して比較的安価な古本を大量に調達しセットとしました。特定の意図で選んだわけではありません」》
https://dailycult.blogspot.com/2015/11/nhk.html
フリーランスITジャーナリストの星暁雄がツイートしている。
《NHK Eテレ「100分de名著」に統一教会教祖の自伝が映り込んでいた件、「やや日刊カルト新聞」が2015年に記事にしていました。統一協会信徒は見つけて大喜びだったとか。
2013年4月から2014年8月にかけ、セットのため調達した"比較的安価な古本"に混じっていたという説明。》
https://twitter.com/AkioHoshi/status/1549706915441430529
有田芳生は驚いている。
《▼国会議員にこの本を配布したように、NHKにも届けたのか、意識してここに誰かが置いたのか。「空白の30年」に統一教会は各界に相当浸透していたのでしょう。ビックリ。》
https://twitter.com/aritayoshifu/status/1549757022295699456
中島岳志がツイートしている。
《NHK「100分de名著」がスタジオセットのことで批判されているようですが、何度か出演させていただいた者として言っておきたいのは、番組スタッフとの打ち合わせ・進行において、特定の宗教団体への配慮・支持などを感じたことは一度もないということです。大変良質な番組で、私は心から信頼しています。》
https://twitter.com/nakajima1975/status/1550125854222856192

◎毎日新聞は7月26日付で「組織委の元理事は『実務に無関係』の声も 受託収賄容疑、捜査の焦点」(松尾知典、井口慎太郎、倉沢仁志)を掲載している。
《また、ロイター通信は20年3月、高橋元理事が「招致委から約820万ドル(同約8億9000万円)を受け取り、IOC委員らにロビー活動をしていた」と報じた。報道によると、高橋元理事は支払いの一部をスポンサー集めに協力した「手数料」として受け取ったと説明し、「接待」の他にマーケティングなど招致関連の活動費に充てたとロイター通信に回答。ディアク氏に腕時計やデジタルカメラを贈ったと認めた。
当時の毎日新聞の取材に高橋元理事は「真実ではない」とロイター通信の報道を否定し、当時の招致委事務局長は「経済界から寄付金を集める作業を任せ、(高橋元理事に)手数料として数億円単位を支払っていた」と答えた。》
https://mainichi.jp/articles/20220726/k00/00m/040/327000c
同紙同日付「電通にも捜査のメス 組織委元理事の古巣、スポンサー選定の解明は」(小林悠太、田原和宏、二村祐士朗)にも目を通しておこう。
《AOKIHDは2018年10月、「ビジネス&フォーマルウエア」の業種でスポンサーとなった。関係者によると、この業種で目立った競争相手はおらず、大きな異論もなくAOKIHDの独占契約が決まったという。電通関係者は「高橋元理事が動いても動かなくても、自然とAOKIに決まっていたのではないか」と首をかしげる。》
一方、高橋元理事は電通のスポーツ分野をビジネス化させた立役者とされ、スポンサー契約に強い影響力を及ぼしたのではないかとの疑念も消えない。
電通関係者は「電通という会社は、上からの指令は絶対という“上意下達”の組織。退社してもなお絶対的な存在の高橋元理事が現幹部に『スポンサーはここにしろ』と言えば、そうなるだろう」と推測した。》
https://mainichi.jp/articles/20220726/k00/00m/040/319000c
「特攻の紀谷理馬」が次のようにツイートしているけれど、本当なのだろうか。
《電通がNHKのインタビューに少しだけネガな発言で答えた社員を戒告処分したそうですが、どこか新聞社も週刊誌の取材に応じた時点で懲戒処分をするという通達を出したと聞きました。マスコミがメディアによる浄化作用を否定するという…当然自浄も出来ないので沼組織はさらに濁るのみ。》
https://twitter.com/motokisha/status/1552150925867118594

◎毎日新聞は7月26日付で「五輪組織委元理事・高橋治之氏を強制捜査 東京地検、収賄容疑か」(二村祐士朗、井口慎太郎、松尾知典、島袋太輔)を掲載している。
《東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の高橋治之元理事(78)が代表を務める会社が、大会スポンサーだった紳士服大手「AOKIホールディングス(HD)」側から計約4500万円を受領していた疑惑で、東京地検特捜部は26日、東京都世田谷区にある高橋元理事の自宅に家宅捜索に入り、強制捜査に乗り出した。五輪を巡り、AOKIHD側から賄賂を受け取ったとする収賄の疑いが強まったと判断した模様だ。
また特捜部は、関係先として大手広告会社「電通」の東京都港区にある本社にも家宅捜索に入った。》
https://mainichi.jp/articles/20220726/k00/00m/040/029000c
讀賣新聞オンラインは7月26日付で「五輪組織委・元理事めぐる疑惑、刑事事件に発展…橋本聖子氏『非常に残念』」を掲載している。
《「東京地検です」
26日午前9時30分頃、東京都世田谷区にある高橋氏の自宅では、係官ら4人がインターホン越しにそう言い、門から敷地内に入っていった。その後、大きなスーツケースなどを持った別の係官ら6人が加わった。》
《特捜部は東京都港区にある電通本社も関係先として捜索。電通は高橋氏が11年まで顧問を務めていたほか、スポンサーの募集を担い、組織委に多くの出向者を出していた。電通本社ビルには、テレビクルーなど約20人の報道陣が集まった。》
https://www.yomiuri.co.jp/national/20220726-OYT1T50155/
一方、朝日新聞デジタルは7月26日付で「組織委元理事の会社などを捜索 五輪事業めぐる資金提供 東京地検」を掲載している。朝日新聞は電通の名前を出さないで記事を書いている。電通に配慮してのことだろう。
《東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の高橋治之元理事(78)が代表を務めるコンサルタント会社が、大会スポンサーだった紳士服大手「AOKIホールディングス」(横浜市)から計約4500万円を受け取った問題で、東京地検特捜部は26日午前、高橋元理事の会社や自宅に家宅捜索に入った。》
https://digital.asahi.com/articles/ASQ7V0G5HQ7NUTIL003.html
東京地検特捜部が本気なのは間違いあるまい。

◎7月30日午後10時よりNHK FMの「FMシアター」で「染井吉野にピンクのリボン」が放送される。サブタイトルが「漫談?違う!スタンダップコメディだ!レニー・ブルースだ!!」。あらすじには、こうある。
《9月末、東京郊外にある団地の長い坂道。台風接近による暴風雨の深夜。老夫婦が大きめの台車をガタゴト押しながら、段ボールに詰め込んだ家財道具を運んでいる。夫婦喧嘩とも怒鳴り合いともつかぬ会話のなか、どうやら引っ越しを自らの手で敢行しようとしている。かつては東京で働くニューファミリーたちのあこがれの夢であり、理想の住まいだった団地が、古びて高齢者ばかり目立つところになってしまった。時代に取り残されながら、なおも自分らしく生きる人間を哀しくもユーモラスに描く。》
https://www.nhk.jp/p/rs/M65G6QLKMY/episode/re/J99N8WXL8R/
この台本を書いているのが高谷信之。私がお世話になったのは、高谷の奥さんということになる。彼女は私がつとめていた会社でネガ編集を東洋現像所に詰めてしていたのだ。

◎毎日新聞は7月28日付で「AOKI、五輪スポンサー契約は5億円 五輪汚職、経緯を捜査か」(二村祐士朗、松尾知典、井口慎太郎、島袋太輔)を掲載している。
《東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の高橋治之元理事(78)が大会スポンサーの紳士服大手「AOKIホールディングス(HD)」側から資金提供を受けたとされる事件で、AOKIHDと組織委の間で結ばれたスポンサー契約は5億円前後とみられることが関係者への取材で明らかになった。東京地検特捜部は、高橋元理事が契約に関する一連の経緯の中で便宜を図っていなかったか、慎重に調べている模様だ。》
https://mainichi.jp/articles/20220727/k00/00m/040/300000c
朝日新聞デジタルは7月28日付で「『審査遅い』五輪事業の迅速手続きを依頼か AOKI、元理事に」を掲載している。こういう記事は匿名ではなく署名を入れて報道すべきだろう。
《スポンサーに選ばれると五輪エンブレムを使うなどした商品を公式ライセンス商品として販売でき、当時AOKIはスーツやブレザーの販売を計画していた。
販売には組織委の承認が必要で、組織委ではマーケティング局が販売計画や商品使用を審査する仕組みだった。AOKI社内では「審査手続きが遅い」といった意見があった。
このため、高橋元理事への依頼に迅速な審査などを盛り込むことにし、内容を紙にまとめて青木前会長に渡したという。
結果的にAOKIは19年8月から公式商品の販売を始め、スーツやブレザーなど約3万着を売り上げた。さらに、審判ら運営スタッフの制服も製作した。》
https://digital.asahi.com/articles/ASQ7W6QRFQ7WUTIL022.html
日刊スポーツが7月27日付で掲載している「【政界地獄耳】疑惑の最中にも札幌五輪招致活動続けるJOC 来春札幌市長選は経費問題が争点化」は、書いている。電通に対する風当たりも強くなっている。
《昨年8月、朝日新聞は竹田の弁護費用が「20年度までの3年間で約2億円に上り、その全額を日本オリンピック委員会(JOC)が負担していることがわかった。捜査終結まで負担するという」と報じた。多くのほころびが見えてきているが、9月27日に予定される元首相・安倍晋三の「国葬」は捜査対象の「電通」が執り行うという。辞退はしないものなのか。》
https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202207270000074.html

9)【Journalism】メディアは、もっと冷静になるべきだ。しかし、それは報じないということではない。

◎弁護士の楊井人文はFIJ事務局長としてファクトチェックや報道検証に取り組んできたが、7月22日付東京新聞の「こちら特報部」の記事には呆れたようだ。こんな連ツイを発表している。
《今朝の東京新聞こちら特報部、#統一教会(国際勝共連合)が「こども家庭庁」名称変更に影響を与えたかのように印象づける見出し構成。だが、全文読んだ限り「家庭」重視の思想的類似性以外に何一つエビデンス示せず「影響がないわけではない」との識者コメントを載せる。これは報道機関がやることか》
《この特集の契機は、明石市長の投稿(7/17、3.5万RT)などのネット情報と思われる。公人がまとめサイトを拡散させた行為の問題性を検証するのが、本来のメディアの役割。東京新聞はそれを果たすどころか、逆に、広まった"陰謀論"的言説に加勢するような記事を出してしまった》
《こちら特報部は国際勝共連合サイトで山田太郎議員が「子ども家庭庁設置の立役者」と紹介されていたことには触れず、「こども庁のままでいいと今でも思っている」との同議員コメントを紹介。この矛盾は指摘しない。なお山田議員は統一教会との関係についてコメントを出している》
《こちら特報部の記事では、勝共連合の言う「心有る議員」は誰かと問い、ただちに山谷えり子議員の名前を挙げている。同議員は「家族」重視派、名称変更賛成派だが、名称変更が決まった自民党会合に出ていたのか、12/14の会合に出て何か発言していたのか。2頁に及ぶ特集で、事実確認をした形跡もない。》
《事実確認した上で触れなかっただけの可能性もある。山谷議員はFBで12/14空手議連に出席との報告のみ(https://facebook.com/yamatanieriko/posts/2304764409673215)。当該会合のニュース動画でも出席は確認できないが、党内保守派だけでなく(同じ名称を公約にした)公明党への配慮があったと報道されていた→》
《こちら特報部の記事を改めて読むと、事実経緯の説明も極めて不自然。山田議員らの「子ども庁」設置提言(昨年4月)と公明党の「子ども家庭庁」設置提言(5月)の順序を入れ替えて説明している。2頁もあるのに、公明党が同庁実現を強くリードしたと誇示していることやその影響にも言及がない》
https://twitter.com/yanai_factcheck/status/1550310034235568130

https://twitter.com/yanai_factcheck/status/1550344481568063490
立岩陽一郎がリプライしている。
《こういう記事は政治的な立ち位置を超えて批判しないといけません。》
https://twitter.com/YoiTateiwa/status/1550638194697596928
日本中が浮足立ってしまっている。

◎メディアは、もっと冷静になるべきだ。しかし、それは報じないということではない。赤旗社会部長・三浦誠のツイート。
《全国紙が統一協会と自民党の関係をほとんど取り上げない。「しんぶん赤旗」や週刊誌の独擅場になっている。
「権力監視」をうたうなら、反社会的勢力との癒着は追及すべき重大なテーマ。なぜ取り上げないのか。
大した問題でないと考えてるのか?それとも腰がひけてるのか?いずれにせよ理解できない。》
https://twitter.com/redbear2014/status/1549897192026284033
朝日新聞のツイッター記者はいつもの「おしゃべり」好きはどこへやら。東京新聞労働組合が呟く。
《朝日新聞社内で起きている言論抑制を/憂慮します。》
https://twitter.com/danketsu_rentai/status/1550711383217827840

◎毎日新聞は7月24日付で「『政治と宗教 日本の恥部にふたをするな』平野啓一郎さん」(上東麻子)を掲載している。
《平野さんは事件の真相解明には「手段」と「なぜ起こしたか」を分けて考えるべきだと話す。「容疑者が教団の悪を告発し、自身の憎悪を表現する手段として、殺人を選んだことは間違っています。しかし、彼がなぜ事件を起こすに至ったのかは、日本の社会が構造的に抱えている問題をはらんでいます。それを理解することは手段を肯定することにはなりません。彼を単純に『悪魔』化して、問題に蓋をしてしまえば、カルトの被害者の救済も再発防止も不可能です」》
《「・・・近年はカルト宗教の問題を報じてこなかった大手メディアの責任も大きい。今後の追及を願っています」。未然に防げたはずの事件だったという平野さんの言葉が、耳の奥で重く響いた。》
https://mainichi.jp/articles/20220724/k00/00m/040/027000c
平野啓一郎は「本心」(文藝春秋)で主人公の同僚が前財務相をドローンで暗殺しようとする場面を描いている。
https://k-hirano.com/honshin

◎NPO法人「報道実務家フォーラム」(東京都新宿区、理事長:瀬川至朗)と、スマートニュースの子会社でノンフィクション、調査報道の新しいエコシステムづくりを目指すスローニュースによる「調査報道大賞」は「国土交通省の統計不正問題をめぐる一連の調査報道」(朝日新聞)に決まった。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000043.000073405.html

◎「文春オンライン」が7月26日付で発表している【『「安倍川柳」大炎上に質問状 朝日新聞の言い分』とは…夕刊フジ、日刊ゲンダイが報じた“2つの炎上”】でプチ鹿島は次のように書いている。いや、おっしゃる通り意思も覚悟もないのであれば朝日新聞は「川柳」の連載など止めてしまえば良いのだ。
《続いて夕刊フジの『「安倍川柳」大炎上に質問状』にいきます。これは朝日新聞が「安倍晋三元首相の事件や国葬を揶揄するような『川柳』を複数掲載して、ネット上で“大炎上”している」(夕刊フジ7月20日)ことについてです。
これに対し朝日新聞は、川柳の選者は「元社員」で「様々な考え方や受け止めがあることを踏まえ、今後に生かしていきたい」などと回答してきた。
私はてっきり朝日は「川柳に 質問状送ってくる 無粋」などと返して皮肉野郎の真骨頂をみせるのかと予想していたのですが、そこまでの意思と覚悟は朝日新聞には無かったよう。そんな程度なら川柳コーナーなんてやめちゃえば?》
https://bunshun.jp/articles/-/56118

◎2021年5月に朝日新聞を退社した元編集委員・論説委員の小森敦司が7月28日にツイートしている。
《今朝の朝日新聞朝刊。統一教会と政治をめぐる記事はほぼなかった。岐阜県が教会関連団体のイベントを後援していたことを小さく伝えるものだけだった。あとは銃撃経緯の分析とか林香里・東大教授の控え目なメディア批判。肝心の自民党政治家らの追及は皆無。朝日新聞、国民・読者を裏切る日々が続く。》
《いま、私(たぶん、国民・読者の多くも)が最も知りたい統一教会と政治の話を伝えない朝日新聞。単なる「びびり」なのか。何か隠し事があるのか。とにかく報道すべきものの基準が壊れている。私はもう他の記事を読む気力さえ大きく減退した。本来2番手3番手の記事を無理やり読まされるような感覚だ。》
https://twitter.com/AtsushiKomori/status/1552435325884309505
https://twitter.com/AtsushiKomori/status/1552462775448117248
こちらは「原発はやっぱり割に合わない」(東洋経済新報社)の大島堅一のツイート。
《昨日も今日も反社会的団体である統一協会についてまともな記事を出せない朝日新聞。一般人が相手してられないくらい(クズ)新聞になってしまったようです。私はしばらく様子見て、結果的に朝日新聞の死去を見届けることになりそうでうすが、皆様は、購読停止を検討されたほうがよいかもしれません。》
https://twitter.com/kenichioshima/status/1552075933494165505
7月28日付朝日新聞デジタルが掲載した論壇時評で林香里は次のように書いている。
《画一化された見出しの付け方や、すでに周辺取材で明らかになっていたであろう団体名を報じない態度。ネット時代には、こうした態度こそ、陰謀論や誤情報を呼び込むことになりかねない。デジタル時代に期待される情報のスピードと、新聞社が培ってきた「紙の伝統」とがどんどん乖離してしまっていると感じる。重大事件では知り得た情報は確認状況も含めて随時出すことを原則とし、市民を信頼して判断を委ねるなど、発信のしかたを見直さないと乖離は埋まらないだろう。》
https://digital.asahi.com/articles/ASQ7W6QVSQ7SUCVL01S.html
林は「民意が反映されない歪んだ政治運営を止めるためにも、ジャーナリズム本来の権力監視機能を研ぎ澄まし、巻き返しを図ってほしい」なんて期待しているけれど、それは無理だろう。新聞というメディアのビジネスモデルでは、仮にデジタルシフトを遂げたところで、新聞社が培ってきた「紙の伝統」をぶっ壊すことはできないのである。

10)【Person】「特攻の紀谷理馬」が朝日新聞の甲子園商法を批判

◎「まっとうな人生」(河出書房新社)が話題の絲山秋子のツイート。
《このところ1ヶ月くらい欝っぽくて、寝る時間増やしたり人と会わないようにしたりして、なんとかなんとか生きています。人やイベントを回避するジムカーナみたいなイメージ。夏には弱いけれどもう少しだけ、なんとか凌いでいこうと思います。凌いでいきましょう。》
https://twitter.com/akikoitoyama/status/1550798181583437824

◎「骸骨 ジェローム・K・ジェローム幻想奇譚」(国書刊行会)の翻訳家として知られている中野善夫のツイートが味わい深い。
《あの頃は夏も冬も何時間も書店を渡り歩いて本を探して買っていた。そしてそれを読むことすらあった。それが今のこの態度は何だ。冷房の効いた部屋で画面をぽちぽちクリックして本を買い、そして読まない。》
https://twitter.com/tolle_et_lege/status/1550463645888684032

◎杉田俊介が次のように指摘している。
《自分の誤りや間違いには一切触れず、自分は感情的な左派のリンチや吊し上げの被害者だというポーズをとり、冷静に客観的になりましょうと訴え、にもかかわらずその言動は誤認と矛盾と強弁だらけで、結果的に明らかに大きな権威やお金にすりよっていく。これすごく多いがマニュアルでも出回っているのか》
《三浦ルーリーのみならずいっぱいいる。「中立気取りエビデンス権威主義」みたいなのとか。》
https://twitter.com/sssugita/status/1550748162934988800
https://twitter.com/sssugita/status/1550763238102487040
対話の弁証法が成立しないのである。

◎「特攻の紀谷理馬」が朝日新聞の甲子園商法を批判している。
《甲子園を食い物にする朝日新聞。甲子園の入場券を自社のプラットフォームで販売。IDや手数料をかすめ取る作戦。無料会員を辞める代わりに、こういう方法でIDをかき集めるつもりなんですかね・・・。》
https://twitter.com/motokisha/status/1550317381977010176
高校生の健康を優先的に考えれば8月開催は無謀きわまりないはずだ。事故が起きてからでは遅いのだ。

◎リサイクルショップ素人の乱5号店店主・松本哉のツイート。
《先日、杉並新区長の岸本聡子氏が中古洗濯機を買いに来た。すると「消費電力が一番低いやつちょうだい」という前代未聞の選び方。急いで調べてみたところ、なんと国産メーカーのは軒並み350~390Wほどだったけど、中国メーカーHaierのは250W程度。
「国産は高性能だから省エネ」ってのはもう過去の話か~》
https://twitter.com/tsukiji14/status/1550443903932702720

◎小佐野賢治を大伯父に持つ歌人であり、小説家でもある小佐野彈と、芥川賞を受賞した高瀬隼子は、ともに「すばる」(集英社)でデビューした作家である。小佐野がツイートしている。
《高瀬隼子さんは才能もさることながら、僕の文壇の付き合いの中で、小説のデビューは同期で同じ「すばる」デビューで飲んでて楽しい上に泥酔した鴻池と小佐野の支離滅裂な電話にも応対できる稀有な人物で、数少ない「友人」と言える作家仲間なので高瀬さんの芥川賞受賞はめちゃ嬉しいです。》
https://twitter.com/dantpe/status/1550308028347719681

◎辺見庸は国葬に反対だ。こうツイートしている。
《「国葬」なるものと死刑には同質の闇が流れている。》
https://twitter.com/R1zZu/status/1551730387764006912

◎ノンフィクション作家の高野秀行は将棋の高野秀行六段と間違えられることがあるとツイートしている。
《以前より将棋の高野秀行六段をよく間違えられ、「将棋もできるなんて凄いですね!」などと感心されたりした。そんなわけないだろ!と思うのだが、この前、間違えて高野六段の原稿料が私の口座に振り込まれてきた。こういう間違いなら大歓迎!!(ちゃんと返金したけど…)》
https://twitter.com/daruma1021/status/1551809141219287040

◎「ORICON NEWS」は7月26日付で「瀬戸内寂聴さん『お別れの会』しめやかに 林真理子・加藤登紀子・南果歩ら約290人参列」を公開している。
《昨年11月9日に心不全のため、99歳で死去した作家・瀬戸内寂聴さんの『お別れの会』が26日、東京・内幸町の帝国ホテルで行われ、287人が参列した。》
https://www.oricon.co.jp/news/2243506/full/
献杯の音頭をとったのは林真理子。弔辞は平野啓一郎。加藤登紀子、南果歩、寺島しのぶ、島田雅彦があいさつをしたそうだ。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220726/k10013737271000.html
村山由佳がツイートしている。
《瀬戸内寂聴さんのお別れ会。大きな遺影の中の笑顔が素敵でした。もう八ヶ月か…。
招待状にご自由な服装でとあったのを真に受けたら、九割がた喪服やん!(涙)
でも寂聴さんならあの世の知り合いのほうが多かろうし、般若湯もお好きだったし、これっくらいの洒落は許して下さるんじゃないかと思うの。》
https://twitter.com/yukamurayama710/status/1551874074930196481

◎日本テレビの特別解説委員でもある清水潔が呟く。
《国会中継をしないNHKは国葬中継など絶対やるなよ。》
https://twitter.com/NOSUKE0607/status/1552326528523849728
清水は、こうもツイートしている。
《常日頃、韓国が何をやっても大騒ぎをし、わーわと責めたてる人たちが、大切な元首相が殺されるきっかけになった韓国カルト宗教についてはだんまりを決め込む不気味さ。》
https://twitter.com/NOSUKE0607/status/1552275506535415809

11)【Bookstore】トーハン「西台雑誌センター」で漏水事故―書店配送に遅れ

◎《福家書店の跡地を通る度に、寂しく思っていましたが…。そんな「アリオ北砂」に本屋さんが戻ってきます!「くまざわ書店」、2022年7月23日(土)オープン》とな。書店が開店するニュースは嬉しい。
https://koto.goguynet.jp/2022/07/22/ario-kumazawa-shoten/

◎日本経済新聞は7月23日付で「1冊から仕入れできる取引所 出版社と個性派書店結ぶ」(西原幹喜)を掲載している。
《出版社ミシマ社の関連会社「一冊」が手がける書籍のウェブ受発注システム「一冊!取引所」が盛況だ。このシステムを利用すると、出版社によっては1冊単位で書店が直接仕入れることができ、参加は100出版社・1000書店をそれぞれ超えた。主として大手取次会社と取引がない、あるいは少ない小規模書店が利用している。今年1月にはクレジットカード決済サービスも始め、年内に200出版社・1200書店の参加を目指す。》
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD15AQ50V10C22A7000000/?unlock=1
厳密にいえば参加出版社は105。インプレスや河出書房新社の名前も入っている。これが参加出版社。
https://1satsu.jp/publisher/?page=1
参加書店はこれ。個性派の書店は大半が利用している。
https://1satsu.jp/bookstore/

◎トーハンの「西台雑誌センター」で7月21日深夜に漏水事故が発生した。
https://www.tohan.jp/topics/upload_pdf/20220722_01.pdf
BOOKプラザ文華堂がツイートしている。
《書店員を20年以上やってますが、初めての大事件です 本日発売の雑誌やコミック新刊をお求めの方はご注意ください 被害は当店だけではなく、全国各地に波及しているようです》
https://twitter.com/bunkadou_bp/status/1550646282011967490(この投稿は削除されてしまった!)
くまざわ書店東海荒尾店がツイートしている。
《【7月23日(土)発売雑誌についてのお知らせ】
取次店のトーハンにて漏水事故が発生した関係で、7月23日発売の月刊誌の入荷が遅れております。
7月23日(土) ⇒ 7月25日(月) の入荷に変更。
お客様には大変申し訳ございませんが、お待ちいただきますようお願い致します。》
https://twitter.com/kbc_toukaiarao/status/1550655797457485824

◎「J-CASTニュース」は7月25日付で「トーハン物流拠点で漏水事故、約2万冊汚損 書店配送に遅れ」を公開している。
《 7月21日深夜、施設内のスプリンクラー水道管が破裂。設備は22日午後までに復旧したものの、23日発売の雑誌など約2万冊の書籍が水に濡れた。書籍の汚損と復旧作業の影響で、書店への配送遅れや配送冊数の変更などが生じた。22日以降、書店側には事故の影響について個別に連絡。また、汚損した雑誌分については、出版社から新たに仕入れるなどの対応をしている。》
https://www.j-cast.com/2022/07/25442448.html?p=all

◎昨日も報じた件だが、丸善の「商魂」の水準がわかる結末を迎えたようだ。「J-CASTニュース」は7月26日付で「書店の安倍氏追悼コーナー、選書巡り議論に 写真拡散も全体見れば問題なし?」を公開している。
《「追悼 安倍晋三元首相」と書かれたコーナーに平積みになった書籍が並び、旧統一教会に関する複数の本や暗殺された宰相に関する本が置かれている。安倍氏に関する書籍はほとんど映っていなかった。》
《複数の投稿によれば、同日までに旧統一教会関連の書籍は追悼コーナーとは別の場所に移された。》
https://www.j-cast.com/2022/07/26442530.html?p=all
丸善の「商魂」は、その程度だったようだ。


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