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ダダダイアリー、主に映画。2024/4/17ー4/30

4月17日
ヴァージニア・ウルフ「オーランドー」読了。 
美少年から美女へ生まれ変わり36歳のまま360年生きたオーランドーの生涯をユーモラスに饒舌に描いたメタ伝記。荒唐無稽なファンタジーでありながら忠実なモデルがおり、歴史文学、フェミニズムの観点からも読み解ける訳者による巻末の解説「隠し絵のロマンス」含めて面白すぎた。

池袋の生ドーナツ&セレクトショップのOLDへ。前回オリジナルタグをカスタムしてもらったシャツが着て一回でタグ外れてしまったのでお直しで再訪。ついでにでかいソーセージのやつとイチゴのドーナツとアイスコーヒーをいただく。両方とも見た目以上に濃厚でボリュームあって美味しかった。

その後は池袋駅西口前で開催のパレスチナ人囚人の日デモに参加。
今回は囚人の日にて因んだ詩の朗読やダンスパフォーマンスも有りたくさんの人が集まって盛り上がった。まさかこんなに暖かくなる季節までデモに参加する事になるなんて。即時停戦をあらためて強く願う。

4月19日
「あさイチ」プレミアムトーク鑑賞。
ゲストの東京スカパラダイスオーケストラ全メンバーによるトークとライブは歴代イチ豪華で贅沢でハッピーだった。朝の8時から全力スカの生演奏。田島貴男がサラッと登場するわ、トークあるわ、貴重映像あるわ、メドレー含めた計5曲のてんこ盛り。朝からブチ上がり嬉しくて何度も感極まった。

イメフォにて、オ・セヨン監督「成功したオタク」鑑賞。
ある日推しが性犯罪を犯した。その時ファンはどう現実と向き合うのか。成功したオタクと呼ばれた監督が失敗したオタクとして自分と同じ想いを抱くファンのその後を訪ねる。二次加害と二次被害。ファナティックな心理の探究。傷付いてもただでは起きないセヨン監督の行動力と誠実さに惹き込まれるドキュメンタリー。

続いてヒュートラ渋谷で本日より開催ジャック・リヴェット傑作選にて、「パリでかくれんぼ」鑑賞。
サスペンスとロマンスとアクション。踊りまくる女たちとまとわりつく男たち。俳優の身体性をフル活用したリヴェット真骨頂なミュージカルコメディ。待望の初鑑賞にトキメキまくったが、完全にこちらの体調面での落ち度で後半失速してラストにまさかの寝落ち。悔しい。
上映後にはアンスティテュの坂本安美さんによる解説付き。制作の経緯なども知れて、仮眠してからでも直ぐに観直したくなった。コレは絶対にリベンジしないとな。

4月20日
江戸川橋の「コ本や」に久々に行って来て、内田裕也「俺はロッキンローラー」、「SAVE GAZA」缶バッジ、「すべての夜を思いだす」チラシ青柳菜摘バージョンをゲット。

そのまま神楽坂へ移動。神楽坂セッションハウスにて開催「トーキョーミコシプロジェクトVIVA!lationvol.02望郷」へ。01のランウェイスタイルから一転、今回はマドモアゼルシネマとシュンカン現在によるダンスとMAKI codeMのピアノ演奏によるザ・コンテな演目。生演奏とダンスの即興の緊張感とライブ感を満喫。03、そして7月へとどう変貌するのか楽しみだ。上演後は2階ギャラリースペースで使用された衣装の展示と試着と撮影会&懇親会を開催。そのままシュンカン現在(奈須一葉、櫛田祥光)一行とワイン酒場で打ち上げに参加。最後は皆んなでコンビニでアイス買って帰るという流れで今日もぶち上がって来た。

マドモアゼルシネマ
MAKI codeM
シュンカン現在

4月23日
MXテレビで再放送されてた「もう誰も愛さない」全話鑑賞。
ジェットコースタードラマとして当時話題となった作品で、懐かしいから観てみたが、ホントに酷い話だった。目まぐるしい展開に笑いときめくのは4話位迄で、後はもうただ最悪の人間しか出てこないどうでもよさ。観月ありさだけが唯一の良心だった。

4月24日
ポレポレ東中野にて、熊谷博子監督「かづゑ的」鑑賞。
元ハンセン病患者で作家の宮崎かづゑさんを追ったドキュメンタリー。10歳の時に岡山県の離島にある長島愛生園に隔離されて80年。彼女は人生をどう切り拓いたのか。天国の様に美しく地獄の様に残酷な長島。全てを晒し生きる事の根源的なものを見せる画の強さと言葉の重みに打たれた。

急いで日比谷へ移動。
日比谷コンベンションホールにて、チアラ・アヴェザニ、マッテオ・デルボ監督「医学生ガザへ行く」鑑賞。
イタリア人医学生リカルドが奨学金を経てガザの大学で留学生として体験する天井の無い監獄での日々。BS世界のドキュメンタリーで短縮版を観た事あるが、やはりスクリーンで観ると衝撃や感動が違う。2020年頃のガザの風景の貴重な記録と1人の青年の成長と友情を描いた青春ドラマとしても沁みるドキュメンタリー。
上映後にはユナイテッドピープル関根健次氏と田中好子(パレスチナ子どものキャンペーン)さんによるトークとQ&A付き。主演リカルドの現在のインタビュー映像なども観れて貴重だった。またリカルドの友人たちが奇跡的に全員無事である事が知れてホッとした。

関根健次さんと田中好子さん

4月25日
ヒュートラ渋谷のジャック・リヴェット傑作選にて、「地に堕ちた愛 完全版」鑑賞。
予め提示された虚構性が孕むサスペンス。リヴェットが繰り返すこのゴールが見えないモチーフの更なる実践。行き当たりばったりで不条理で退屈でなかなか終わらない人生そのものみたいな作品だった。

渋谷の無機質カフェのカフェモノクロームへ。本日は定番のシフォンケーキとブラックコーヒーを。久々のオーナー奥さんと再会したら危うくシフォンケーキ10個オーダー通されそうになった。相変わらずだな。

その後はPARCOへ。
QUATTROLABOにて開催「アナログばか一代 ー80年代特集Vol.2ー」へ。
これも80年代だったのかというアナばからしいマニアックでエッジの効いた選曲が中心となる中、谷口雄のみ1人ベストヒットUSAな選曲で誰もが思い浮かべる80年代音楽の実践をしておりウケた。ボンジョビとか笑。そしてあの波動水も久々登場。直枝さんがレコード拭きまくる回となった。

樋口泰人さん、湯浅学さん、谷口雄さん、直枝政広さん

4月26日
国立映画アーカイブで開催中の特集上映「生誕100年高峰秀子」にて、小津安二郎監督「宗方姉妹」鑑賞。
古さと新しさ。隠と陽。対極的な姉妹を田中絹代と高峰秀子が演じる文芸作。緻密に設計された小津ワールドで1人のびのびと振舞う様に魅せるデコちゃんの緻密に計算された奔放ぶりにしびれる一本。しかし山村聰のバイオレンスはエグい。ドン引きした。

4月28日
東中野にある梅若能楽学院会館にて開催の「アートサイト神津島2024opening performance」へ。
来月神津島で開催されるアートフェスのプレイベント。能楽堂という特殊な空間に影響されながら独自の世界観を紡ぐ豪華出演者たち。特に青柳菜摘/だつお+メグ忍者による「地騙りの決戦もしくは不戦」がヤバすぎて永遠に観てられた。能楽堂フェス毎年やって欲しい。

メグ忍者とだつお


須藤健太郎「作家主義以後 映画批評を再定義する」読了。
2017年から2023年半ばにかけて発表された文章をまとめたものだが、単なる寄せ集めではなく新たに章立てをして再構成して書き下ろしを加えたベストリミックス集となっている。ユスターシュで締め括る事で一周回り切った様な達成感に浸れる一冊。

4月29日
下高井戸シネマにて開催中「ウィメンズ・ムービー・ブレックファスト出版記念上映イベント」にて2本鑑賞。

クローディア・ウェイル監督「ガールフレンド」 
カメラマン志望のスーザンは親友のアンと同居してたがアンが突然結婚して……。上手くいかない毎日、恋愛、友情、人生に訪れるあれやこれ。元祖「フランシス・ハ」と言える展開の1978年の作品。グレタ・ガーウィグ、レナ・ダナムらに継承された語り継ぐべき名作。観れて良かった。
本作の後続への影響や、日本公開時の資料や大ヒットしたのにその後のキャリアが続く事なく歴史に埋もれた事情やあらすじ丸ごと掲載などボリューム満点なZINEも最高。

アベル・フェラーラ監督「天使の復讐」
レイプリベンジの定型を取りながらそこからどんどんはみ出していくバイオレンス。PTSDやフェミニズム的要素を入れながらも復讐とはかけ離れた場所からゾー・タマリスが一言も喋らずに銃をぶっ放す。取って付けた様なラストを含め救いが無いのに痛快な作品。
上映後には鈴木史さん&上條葉月さんによるトーク付き。1人きりになりたかっただけなのにそうさせてはくれなかった女性の話という考察やフェラーラの他作品との比較やフェラーラ的な切り口についてなど、とても参考になった。

4月30日
内田裕也「俺はロッキンローラー」読了。
1976年頃に出た幻の書籍を2008年に忠実に文庫化したもの。その時点でのキャリアを総括した集大成的自伝。オレの知らない若き日の内田裕也はオレの知ってる晩年の内田裕也と何も変わらなかった。このブレなさ。「サンキューロケンロール」という言葉を贈りたい。


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