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ダダダイアリー、主に映画。2024/3/16ー3/30

3月16日
瀬尾まいこ「夜明けのすべて」読了。
パニック障害の山添君とPMSの藤沢さんが互いの事を少し気にかける事で景色が変わっていく細やかな物語。映画版を最初に観てたので比較しながら読んでいたが、映画には無いエピソードなど中盤以降は完全に小説世界に入り込んで楽しく読めたし映画版の凄さも再度実感出来た。

3月17日
ドキュメント72時間「福島 真冬のアイスクリーム店で」録画鑑賞。
福島の山中にある一軒のアイスクリーム店。楽しい時辛い時それぞれの人生の中で句読点の様に佇む地元に愛される店。アイスは絶対冬に食べるのが美味しい。これは年間ベスト10入り決定の素晴らしい回だったな。

北浦和へ。
埼玉県立近代美術館にて開催のミュージアムシアター「女性たちの映像表現」へ。
マヤ・デレン、出光真子、清原惟の作品を上映。

マヤ・デレン監督「変形された時間での儀礼」
跳ねる男と廻る女たち。ストップモーションの多様による運動と停止の反復。これはかなりコンテな感じの映像で楽しかった。

出光真子監督「加恵、女の子でしょ!」理想を目指した芸術家カップルを襲う男女の不公平性。ミソジニー的な父権社会の閉塞を自身の経験をもとに分かりやすく表出させた中編。ホント物事の評価や判断からオッサンたちを排除してほしいと改めて思った。

清原惟監督「ひとつのバガテル」昔一度観た事あったけど完全に内容忘れてた。菊沢将憲は八百屋のおじさんだったのかとか。多重構造な家、集合団地、踊る坂藤さんとか今観ると清原作品の要素が全部入ってる。エンドクレジットが流れ出した途端にまた観直したくなる作品。久々に観れて良かった。

上映後のロビーで「ひとつのバガテル」出演の菊沢さんと上映にギリ間に合った西山真来さんと遭遇したので感想戦の後に記念撮影。これは来週の上映も楽しみだ。

西山真来さん、菊沢将憲さんと。

3月18日
『ドキュメンタリー「解放区」リリアンの揺りかご』録画鑑賞。
植松被告と日本第一党というヘイト集団を中心に不寛容な社会を描く。
自分の未熟さや幼稚さを開き直り肯定するその安易さが、デマを鵜呑みにするその単純さが、他者への不寛容へと繋がる。その最悪の動線は性差別やシオニストによるパレスチナ虐殺へと繋がる。いつも自分の判断を疑い内省しながら行動する事の必要性を実感。

熊井啓監督「黒部の太陽 完全版」録画鑑賞。
黒部ダムの難工事の全貌を描くだけでも充分見応えあると思うが人物たちの様々なドラマパートを広げた事により冗長な印象。黒三ダムへの批判などは熊井啓らしいが。大画面で観たらまた印象変わるかも知れないけど。ひたすら長かったなという感じ。

3月20日
アナザーストーリーズ「ミュンヘン五輪テロ事件」録画鑑賞。
もちろんテロは容認出来ないが悲劇の要因と責任はイスラエルとIOCと西ドイツにある。自分たちの欺瞞を平和の祭典とかスポーツの感動にすり替える西側諸国によるあからさまなダブルスタンダード。それをこのタイミングで放送するNHKの加担ぶり。やはりオリンピックは中止にすべきと強く思った。

ホワイトシネクイントにて、ダーレン・アロノフスキー監督「π〈パイ〉デジタルリマスター版」鑑賞。
数字に取り憑かれた男の妄想の暴走。リンチ、クローネンバーグ、初期コーエン兄弟を彷彿とさせる神経質なユーモア。アッパーでスタイリッシュな編集と音楽に引き込まれ引き摺り回された。誤魔化されたとも言えるけどとりあえず楽しめた。未見の作品を劇場で初めて観るトキメキ。A24のリマスターシリーズ良いな。

鑑賞後、その足で行列の出来る無機質カフェこと、カフェモノクロームへ。「π」コラボ商品のプリンとコーヒーとストーンコースターのセットを注文。
コーヒーフレッシュを忘れずに付けているあたり、
「π」鑑賞者をニヤリとさせて良かった。これこそカフェモノクロームの真骨頂。これでマッシヴアタックとか流れてたらのたうち回ってたところだ。

続いてシネクイントにて、関根光才監督「燃えるドレスを紡いで」鑑賞。
ファッションデザイナー中里唯馬がケニアにある服のゴミ山からドレスを作りパリコレに挑むまでを時系列に追ったドキュメンタリー。要らない服をアフリカに捨てるという差別行為と想像を絶する環境破壊ぶり。作る側だけでなく消費する側にも問われるこれからのファッションの行方。現状を目の当たりにした中里の今後の展開も見守っていきたい。ショー直前のドタバタも含めて面白かったし考えさせられた。

3月22日
冨永昌敬監督によるドラマ「僕の手を売ります」。今頃になってようやく全話鑑賞。
キャストも良かったしロケ地も良かったし七尾旅人の主題歌も良かった。どこにも誰にも何にも似ていない冨永テイスト溢れるドラマ。これは是非とも映画化して貰いたい。

天気が良かったので散歩がてら豪徳寺へ。
旧尾崎テオドラ邸ギャラリーにて開催中の「三原順の空想と絵本展」へ。
絵本「ルーとソロモン トランプランドの旅」発売を記念した原画と三原先生が収集していた絵本の展示。ギャラリー&カフェとして始動したばかりの水色の家で、はみだしっこが飛び跳ねてた。グッズも充実。テオドラ邸は思った以上に水色だった。また来よう。

3月24日
北浦和駅前のパン屋「ボンドール」2階にあるレストランでランチ。カルボナーラのパスタを注文。パン屋のランチは焼き立てパンが食べ放題。小さなパンだが種類が多く思わず10個くらい食べてホットコーヒーで締めて満腹。これはお得で美味しかった。

先週に引き続き、埼玉県立近代美術館にて開催のミュージアムシアター「女性たちの映像表現」へ。
マヤ・デレン、出光真子、清原惟による作品上映と上映終了後には清原監督と国立映画アーカイブ特定研究員の中西香南子さんによるトーク付き。
今だから見えてくるマヤデレンの眼差しや出光真子のダイレクトな現代性と清原作品との類似性などについて。
ラインナップを最初に見た時には随分ざっくりしてるなと思ったが、いざ観てみると見事に横並びに響き合っていて必然的なセレクションだったのだなと感心した。

清原惟監督と中西香南子さん
清原惟監督と

マヤ・デレン「午後の網目」
影を追いかけている自分を窓から見つめている自分が眠った姿を自分に見られる自分が自分追いかける無限ループ。効果的なスローモーションやアングルは今だから顕在化する抑圧への抵抗の表現として効いていた。

出光真子「At Any Place 4:ヨネヤマ ママコ作「主婦のタンゴ」より」元祖中村蓉とも言えるヨネヤマママコのコミカルな踊りと歌にインスタレーション映像を重ねた短編。出光自身が出演した「主婦の一日」と共にビックリするほど現代的な作品だった。

清原惟「わたしたちの家」これ観るのはトータルで6回目かな。ヘンテコな構造の家と2組の女性たちの並行した世界に訪れる軋みと歪み。スリルとサスペンスとユーモア。観るたびに独自性と特殊性が増す、他の追随を許さない発明と革命に満ちた作品だな、としみじみとしながら観た。

3月25日
Dearにっぽん「ともちゃんの無人野菜スタンド」録画鑑賞。
恵比寿のど真ん中にある無人野菜スタンド。激安野菜を販売するそのワケは。殺伐とした社会で疲弊する若者たちに安心と笑顔を込めた野菜を届けるともちゃんとひとり息子の日々。これは沁みたな。今度恵比寿行った覗いてみよう。

林浩平「全身詩人吉増剛造」読了。
詩の向こう側へとズンズン進み続ける吉増剛造という詩の塊を批評、論考、対談、エッセイなどを駆使して近年の活動を中心に凡ゆる角度から掘りまくった一冊。どうか届かないで欲しいと願うデッドレターの概念と灰についての話が刺さりまくった。

ユーロスペースにて、ソフィア・コッポラ監督「ロスト・イン・トランスレーション」鑑賞。
ビルとスカヨハの東京倦怠ホリデイ。ココが変だよ日本人的な無意識に見下した差別意識と見下されてもしょうがない幼稚さに満ちた全然魅力的じゃない東京。20年ぶりに観たけどそれがより明確に感じられた。印象変わるかもと思ったが相変わらず退屈な作品だった。

上映後にはピーター・バラカン氏を迎えて矢田部吉彦氏とのトーク付き。日本人より日本に詳しいピーターの複雑な感情が入り混じる感想は面白かった。本作の唯一好きなラストシーンが実はアドリブだったのだと知れたのは良かった。話題にも上がったサミュエル・フラー監督「東京暗黒街・竹の家」も今特集で上映して欲しかった。

矢田部吉彦さんとピーター・バラカンさん

3月26日
日野啓三「天窓のあるガレージ」読了。
ノンフィクション風な私小説から私が消えていく作者のスタイルの変遷が楽しめる短編集。表題作の乾いたユーモアと特異さは好みなやつ。
コ本やクラファンのリターンで届いた一冊。今まで全く知らなかった本なので、そのチョイスのセンスにも感動した。

3月27日
ホワイトシネクイントにて「NN4444」鑑賞。
4人の監督による女性を主人公にした深層心理の不条理を具象化した内面系ホラーのオムニバス。
トーンが統一されており、程よいモヤモヤと後味の悪さ。グロさやバイオレンスが無くて良かった。特に中川奈月監督×小川あん主演による「犬」の素晴らしさが際立ちこれだけで
単独で上映してもいいと思った。
今のこの社会で普通に振る舞う事の不条理さ。当たり前とされる事のホラー感。その異様な世界に犬は吠えるし、小川あんも吠えて進む。

3月29日
湯澤ひかりCD「星は見える?」と詩集「祈りの流跡」到着。
どちらも厳選されしっかりとした強い意志による構成が伝わる楽曲と詩。丁度良いボリュームとサイズ感。もう湯澤さんには何年も会ってないけど、直接手渡された様な体温が伝わる親密な作品だった。

表参道journal standerdメンズ店で開催の「ジャン・リプカ写真展ビョーク1993」へ。
ビョークをモデルにした写真展のオープニングとコラボグッズ販売を兼ねたレセプションパーティ。80KIDZとMaika Loubte'によるDJ付きのフリーイベント。しかもフリードリンクなんで飲んではしゃいできた。DJなのにライブになってしまうマイカのクールヘッドでウォームハートなプレイは相変わらず素晴らしかった。

マイカ・ルブテさん
マイカ・ルブテさんと

下北沢に移動。
K2シモキタエキマエシネマにて、宮崎大祐監督「MY LIFE IN THE BUSH OF GHOSTS」鑑賞。
未来の世界と大和の世界。こんな感じの展開の作品をこの位の上映時間でとリクエストしたのが遂に叶ったのかと錯覚するオレ好み。ディレクターからミキサーへ。映画の理想を提示した宮崎監督のネクストシネマ。これは全員観た方が良い。

上映後には監督と出演者による初日舞台挨拶付き。監督と俳優がスタッフと宣伝を兼任して物語を皆んなで紡いでいく全員参加のNO権威を目指した制作過程が語られて皆んな良い顔してた。やっぱり理想形だなこの映画。

宮崎監督と出演者の皆さん
宮崎監督と

3月30日
パレスチナ土地の日全国一斉行動新宿のデモに参加。
新宿駅周りを円周で囲み最後は南口に集合。天気が良かった事もあり本当に沢山の人が集まり盛り上がった。会場では冨永昌敬監督と木村文洋監督とも遭遇。
デモ終了後に俳優の柳英里紗にも遭遇してまさかのサシ飲みへ。平山るみこさんも後から駆け付けてのデモ打ち上げも盛り上がった。しかも柳さんの奢り。
2015年以来ちゃんずの端くれとして推してる柳英里紗はいま世界一信頼できる俳優だし、人として最高峰。ホントに大人物だなと改めて感動した。

新宿駅南口前デモの様子
冨永昌敬監督、木村文洋監督と
柳英里紗さんと
平山るみこさんと柳英里紗さんと


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