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『村上世彰、高校生に投資を教える。』 〜投資は私と私たちの未来をつくる〜

『村上世彰、高校生に投資を教える。』を読了。

村上さんが、N高投資部の特別顧問として講義した内容と生徒との質疑応答をまとめた本書。投資をやってる人間としてはやっぱり気になるので読んでみた。

ここで語られているのは、投資のテクニックなんかじゃない。
まず、村上さんの投資方法は、高校生にマネできるものじゃない。てか、一般の人でもムリ。
じゃあ、何を教えているのかというと、もっと基本的なことだ。

例えば、「なぜ投資をするのか?」ということ。

私は漠然と老後に対する不安を感じていたときに、一冊の本を読んで投資信託を始めた。
それからいろいろと関心が広がって、今はちょこっとずついろんなものを試している。
自分の考えたことが、予想通りになれば儲かる。それはもちろん面白いことのひとつではある。でも、世の中の動きがグッと身近に感じられるようになったことが、私にとっては一番面白く感じられた。テレビで見ているニュースは、私の生活に直結している。そんな当たり前のことを、前よりずっと実感できるようになった。

それに、投資をするようになると、どうしても調子が良い時ばかりではない。
特に、調子が悪い時、絶対に「なんでだろう?」って考えるようになる。

これが大切だと村上さんは言う。

上がった下がったに、ただ振り回されるだけじゃなく、自分の頭で考える。それが投資をする上では必要なことだし、常に考える習慣を持つことは、生きていく上でこれからとっても大切なことになるって。

だからこそ、部員たちは投資先を決めるときに、まず徹底的に調べることと考えることを教えられる。実際に、IRに問い合わせの電話をしたり、会社訪問をする積極的な部員もいた。そうやって調べて、自分なりのシナリオをたてる。株を売るときは単純に下がったときじゃない。自分で考えたシナリオが間違っていた時だってことを、部員たちは身をもって学んでいく。

また、部員たちは教えられなくても、実践を通していろいろなことに気づきながら自分自身でやり方をどんどんとブラッシュアップしていく。その過程を経験することで、村上さんからのアドバイスが、自分の体験として肚に落ちる。教えるっていうより、気づかせて、納得させるって、すごくいいと思った。

また、他にもいいなと思ったことは、投資はより良い社会を作るためっていう考え方。
自分が持っているお金は貯めこむんじゃなくて、より良い社会を作ろうっていう人たちに使ってもらう。そう考えると、投資って自分のためにもなって、社会のためにもなる、すごくいいものって思えるようになる。

日本では投資をしている人は、10%くらいしかいないらしい。
アメリカ人みたいに、リボ払いよりリターンが上回ればいいんだから持ち金全額ぶっこむぞ!とまではならなくても(うん、それは極端だ)、もっともっとみんなが投資に関心を持ってやってみたら、日本は変わっていくのかもしれない。
人生100年時代。若い人も、そうでない人も、投資にちょっとでも興味があったら、読んでみるといいんじゃないかなと思った一冊。

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