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身近なツールで業務改善!チャットツールを活用した事例から

「ECサイトで注文を受けやすくなったが、発送まで時間がかかってしまう」
「WEB注文システムを導入したのに、店内はいつもバタバタしている」
こんなお悩みはありませんか?新たなシステムの導入によって一部は効率化しても、その他の部分には非効率さが残ることもあるでしょう。
このような課題は、自社システムと既存のツールとの連携によって解決できる場合があります。この記事では、現在広く流通しているチャットツールを用いた業務改善の事例を紹介します。

チャットツールの活用方法


多くのチャットツールには、社内のコミュニケーションを円滑にする「チャット機能」「ファイル共有機能」などに加えて「通知機能」があります。チャットの通知はもちろん、連携しているシステムで情報の更新があった場合にも、チャットツールに通知が届きます。
この仕組みを用いて業務を改善したB社の例を見てみましょう。


事例:B社の場合


<B社の事業概要>
大学生に向けた教科書の販売を行っている。

<背景とB社の想い>
・教科書を購入するのは学期が始まる前が多く、学生は何かと忙しい時期
・初回の授業に間に合わず困ることのないように早く渡したい
・お渡し当日は混雑するため、なるべく待たせずスムーズに渡したい

■受け取りカウンターとバックヤードの連携に課題があった
学生への教科書販売にはWEB上の販売システムを利用していた。注文時に受取日時を指定してもらい、指定日に注文者が来店して教科書を受け取るというもの。時間は10分単位で指定でき、混雑の緩和を図っていた。
バックヤードでは注文者ごとに教科書をピックアップしておき、来店時には確認して渡すだけになるよう準備。受取当日までの準備はスムーズだった。
指定時間に学生が来店したら、カウンターからバックヤードへ「○○さん来たよー」と大声で伝えていた。カウンターからバックヤードまでは距離が遠く、聞き取りにくいこともあったりと、この連携方法には課題が残っていた。販売シーズンにはカウンターに行列ができ、学生を待たせてしまう状態だった。

コロナによって課題が深刻に
業務改善のきっかけは新型コロナウイルスの流行。「黙ってお渡し」が必須となり、声で伝える従来の方法ができなくなった。カウンターからバックヤードに学生の来店をどのように伝えるかがネックに。
お渡し番号のメモをバケツリレー形式で渡すという案も出たが、効率的な解決策がなかなか見つからず悩んでいた。

チャットツール導入でお渡しがスムーズに
あるときB社は教科書販売システムの制作会社と話す機会があり、この課題について雑談で触れる。すると「チャットツールの通知を試してみませんか?」との提案があった。どうやら既に使っている教科書販売システムとチャットツール「Slack」をシステム連携することで、バックヤードのスタッフに通知ができるという。業務がスムーズになりそうな提案に「そんなことできるんだ!」と嬉しくなり、システム改修をお願いすることにした。

結果、学生の来店からお渡しまでの流れは以下のように改善された。

・学生の提示する注文時のバーコードを受け取りカウンターで読み取り、学生情報を呼び出してバックヤードへ通知する
・来店した学生の氏名とお渡し番号がバックヤードの端末に通知される
・バックヤードでは通知をもとに教科書を棚から出し、受け取りカウンターへ渡す
・受け取りカウンターから学生に教科書を渡す

業務改善のポイント
・受け取りカウンターは受付業務に専念できるように
・バックヤードは余裕を持って探せるように
・同じ時間内に渡せる人数が1.5倍に

従来の方法では、立て続けの来店への対応に時間がかかる、聞き取りにくい場合は確認し直すなど、小さなことが積み重なりタイムロスが出ていた。
チャットツールによる通知の活用で、スマホやタブレットに一瞬で通知が入るように。そのため連携がスムーズになり、従来は10分間で20人に渡せていたが、現在では10分間で30人に渡せるようになった。
改善の効果はB社内の体感だけでなく、実際の数字としても表れた。

事例から読み解くポイント


今回の事例のポイントは、既存システムと世の中で広く一般的に使われているサービスをシステム連携することで業務改善に成功したという点です。

  • システムの大がかりな改良や導入をしなくても業務を改善できた

  • チャットツールは簡単に使い始めることができるため0から開発するより短期間・低コストで開発が可能

結果、社内の業務効率化に伴い、顧客である学生の満足度も高まりました。
B社の事例は、チャットツールの導入によって業務を効率化した好例です。仕組みを変えたい場合には大がかりなことをしなければいけないと思いがちですが、活用しやすいツールによって実現できる場合もあります。

ビジネスヒント💡
「思いもよらない解決策」があるかもしれない


業務改善や経営課題の解決に対して、思いつく解決策に無理がなければいいでしょう。しかし、誰かの負担が増えたり、時間がかかったり、費用的に継続できないなどの「現実的でない策」は良いとは言えません。
今回の事例に登場したB社もチャットツールでの通知は選択肢にありませんでしたが、ベンダーからの提案で道が開けました。その道のプロに相談するとあっさり解決することがあります。
しかし、提案してくれるベンダーばかりではないのも事実です。

ビジネスデザイン研究所では、より多くの企業さまが「損をしない選択」ができるよう有益な情報発信をしていきたいと思っています。今回の事例がみなさんのヒントになれば幸いです。


ビジネスデザイン研究所は、企業の成長と継続のためのヒントとなる情報を発信しています。

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