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バターの読書/ナナメの夕暮れ


2024年1月にバターが出会った本たちと感想。
お時間があったら読んでいただけると嬉しいです。

ナナメの夕暮れ/若林正恭

いちごくんからのプレゼント。
もともと読んでみたいな、、と狙ってはいたのですが、お笑い好き×読書好きのいちごくん一押し本だったので、読む前から期待最高潮でした。
こちらの本は、オードリー若林正恭さんのエッセイ。生きづらさから、日々楽しむという考えへと結びついた軌跡が描かれていました。
読んでいくうちに、自分も同じ考え方だなとか、そんな風に世の中を見ている自分いるな、、と自分の内に秘めた気持ちをすごくリアルに言語化していました。あの若林さんと自分が似ているという言い方は恐れ多いですが、きっと近いタイプなんだなと思いました。プレゼントしてくれたいちごくんもこの本に深く共感していて、だからお互い共感し、肯定できるんだと改めて思いました。

ネガティブは、あり余る体力だ。

自分の事を弱いと思っているかもしれないけど、傷と戦っている強くてタフな人間だと自分の事を思って欲しい。

ナナメの夕暮れ

でもこのエッセイを最後まで読むと、近いタイプだと思っていた若林さんが、自分と正反対の強い人間のように感じるのです。
なんでだろうなあと、ここしばらく考えていたのですが、もしかしたら
「続ける」ことが強いと思えた、わたしなりの答えなんじゃないかと思うようになりました。
本の中で若林さんは、ポジティブになるのは諦めたと認め、それでも自分の好きを探し続けること、自分も他人も肯定し続けることで、生きづらさの原因を見つけることができた。どちらも続けることで見つけられたのだと思うと、やっぱり続けるって強さだと思う。
きっとこれからもわたしは、首をかしげて色んなものをナナメに見てしまうだろう。でも、このナナメの夕暮れがそんなわたしの居場所を導き出してくれる1本の線になったのは間違いないです。
読んで良かった!出会えて良かった!
この本で学んだ続けることの強さを活かすため、毎月“ナナメの夕暮れ”を読むことに決めました。
わたしは読むということを続ける。
全部でなくても好きな場面、好きな言葉、いずれ読まなくても頭で覚えてしまうくらいになりたいと思った。若林さんが経験して得たものを、わたし自身に取り込みたい。

この世界にたやすい仕事はない/津村記久子

いちごくんと忘年会をした翌日に購入した本です。
本屋さんで一目惚れしてしまいました。
というのも、あらすじを読んでみると主人公が今まさに自分と同じような境遇にいて、共感できることが多かったからだと思います。
長年働いた仕事を退職して、こんな仕事あるの?というマニアックな仕事を転々とするお話なんだけれど、少々ミステリー要素も入っていてどうなるのこれ!?ってハラハラドキドキで読めたのがすごく斬新でした。
最後の結び方が、経験したからこその答えなんじゃないかなと思うととてもグッとくるものがある。
そして経験だけでなく、タイミングやご縁。仕事って特にこういう、理由をつけることが難しい引き寄せも本当よくあるな、と感じることが多い。
わたし自身は以前の職場を思い出すと、やりがいを感じつつも、正直辛かったり自分の理想とかけ離れていたり、、、結局それが引き金となって退職という道を選んだけれど、プラスなことだけではなくてマイナスなことがある、それこそがまさに人生なんだなと割り切れるような気がしてきた。
タイトルの通り、この世にたやすい仕事はない!ことを教えてくれつつも、不思議と働きたくなるような、力強く背中を押された本でした!

学び続ける力/池上彰

あの池上彰さんの生い立ちがギュッと詰まった本。
テレビや著者としてとても活躍されていますが、大学教授という一面についても特に詳しく残されていました。「池上彰さんって何であんなになんでも知っているんだろう?」「何であんなに教えるのが上手いんだろう?」そんなわたしの疑問が一気にこの本で解決です。その中で印象的な言葉、

「すぐには役に立たないこと」を学んでおけば、「ずっと役に立つ」のではないかとも思うのです。

学び続ける力

決して、すぐに役に立つことが良くないと批判している訳ではなく、どんなことでも学び続けることで自分の糧になって役に立つという池上メゾット。
わたし自身、勉強をしているとどうしても即効性を求めてしまう。だって勉強してるんだもの。すぐに学んだことを活かしたい!とわがまま自分が出てしまいますが、、“学び続ける力”を読むと、今まで持っている知識とこれから学ぶことがどこかで結びつくかもしれない。様々な学びという糸の重なりから結びができて、結果ずっと役に立つものが生まれるのではないか、とこんなに謙虚になれるのです。
さすが池上さん。
この本の中で、池上さんは“勉強は楽しい”と断言されていました。こんなに学のある方でもやっぱり根底にあるのは楽しさなんだな、、、ちょっぴり身近に感じます。
池上彰さんの生い立ち、池上彰さんが考える学ぶということ、興味がある方はぜひ読んで欲しい!

その日のまえに/重松清

第124回直木賞受賞作「ビタミンF」の著者、重松清さんの連作短編集です。
ビタミンFの帯に最泣の一冊と記してあったのですが、この本も負けていないと思います。死と過去が大きなテーマで、この類に弱いわたしは1つ1つのお話で涙が止まりませんでした。
タイトルにあるその日というのは人の死を指しています。その日に向かって生きる人、その日を告知された家族や周りの人が何を思い、どう生きるのか。その日のまえに何ができるのか。
自分に置き換えると考えたくない話題だけれど、でもいつかその日はやってくる。

この本の中でわたしが1番心に残ったところ、
ご夫婦で奥さんの余命告知を受けたシーン。

永原先生が余命を告げたとき、和美は膝の上でハンカチをぎゅっと握りしめた。その手を握ってやればよかった。僕が握るべきだった。
不思議なものだ。病院に早くつれて行かなかったことよりも、そのときの後悔のほうが、いまはずっと強い。

その日のまえに 一部省略 

解釈はそれぞれですが、わたしの中では
“早く病院に連れて行けばよかった”という誰しもが思う後悔ではなくて、“自分にしか見えなかった、自分にしかできなかった“ほんの一瞬の出来事の後悔の方が、重くて一生忘れられなくなるんだなと。
重松さんの本は、易しい言葉だけれどどこか核心をついた文章が多くて、いつもいつも目が覚めます。
まるで言葉にしにくいことを言葉にして、わたしに忠告してくれているように。
フィクションだと分かっていても、この物語に出てくるみんなが当たり前の幸せを手にしてほしいと、願わずにはいられない作品でした。

うまく言葉にして伝えられないことは、だからこそずっと手つかずのまま、思い出話の中ですり減らされずに、記憶にくっきりと残っているものなのかもしれない。

その日のまえに

罪と罰(上)/ドフトエフスキー

言わずもがな、世界的な長編小説の一つです。
今月のバターの難読本として選びました。
世界的に有名な本や自分にとって難しそうな本を読むことについて、まだまだわたしには早すぎるかな、理解できるかな、と心配もあったのですが、以前読んだ近藤康太郎さんの「百冊で耕す」という本にこんな一節がありました。
難読本を読むにあたり、、、

読み終えて、少なくとも内容を知り合いにおしゃべりできる。自分がどういった感想をもったかを語れる。そして相手が興味を持ってくれる。これができれば、もう成功だ。

百冊で耕す 一部省略

この考え方に感銘を受け、読むことを決めました。
この上巻では罪と罰の罪の部分が大部分に描かれているのですが、正義だと思って行った犯罪が、のちに自分を苦しめるものになる。というのは感慨深いです。正義ってなんだろう、正しいってなんだろうと考えさせられます。
特に、罪を犯した後の主人公が明らかに様子がおかしい。罪というのは誰かを傷つけることだけれど、その加害者もまた“何か”に傷つけられるんだと思いました。
これから中巻、下巻と続きますが、主人公は自分の罪とどう向き合いどんな罰が課せられるのだろうか、全く予想ができません。
もっともっとこの罪と罰ワールドに浸りたい、、と思い2月はもう一周上巻を読んでみることにします。


バターの読書 2月の目標

⚫︎ナナメの夕暮れを読む
⚫︎罪と罰(上)をもう1度読んでみる
⚫︎海外旅行に向けてモチベが上がる本を読む


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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