デジタルなものづくりが見るミライ -ものづくりと3Dとメディアとデザインと-

こんにちわ!Kanazawa.IoTメンバーの竹田です。
主に3Dデザインの仕事をやってます。

さて、先日、映像情報メディア学会にて、3DをキーとしたIoT・メディア・デザインについて登壇をさせていただきました。
その内容について予稿を書いたので、一部成形して記載します。

デジタルファブリケーションとは
「デジタルファブリケーション」とは、デジタルデータをもとに創造物を制作する技術のことである。3Dスキャナーや3D CADなどの測定機械により、自分のアイデアや個人の身体データ等をデジタルデータ化した上で、そのようなデジタルデータを3Dプリンターやレーザーカッターなどのデジタル工作機械で読み込んで造形する。
(総務省情報通政策研究所「ファブ社会の基盤設計に関する検討会報告書」より抜粋)

メイカームーブメントや3Dプリンタブームが起き、さらにはIoTやロボティクスが脚光を浴びる中で、誰しもがメイカーとしてプロダクトを開発・販売できるようになった。それらを支える技術が「デジタルファブリケーション」である。
一方で、今や、映像メディアやSNSを活用して自己発信をしたり、セルフプロデュースを行うのが当たり前の文化になりつつある。
このような世の中の流れが相乗効果を生み、やってみよう、うごいてみよう、つくってみよう、といったメイカー的な空気感をつくっている。事実、ビジネスの価値もモノからコトへ、そして、スピード感が最も重要なプライオリティとなった。
もはや「デジタルファブリケーション」という言葉は概念と化し、直接的にものをつくる以外にも、広くメイカー的な思考で何かを行う、やってみる、動いてみることを指すようになったのかもしれない。

SF映画に隠された未来のヒント
小学生の時から映画を見るのが好きで、特にSF映画は大好きだった。ハイテクなマシーンやテクノロジーが垣間見れる(例えば「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のような)SF感にハマっていた。
高校に入り「攻殻機動隊」に出会ったことで、SF感への考えは変化する。ネットという文化が当たり前になり、さらに進化した未来の話。攻殻機動隊の世界観では、人々はネットをするのにデバイスを必要とせず、電脳化と呼ばれる手術を施すことで脳を直接PCにつなぎネットを行うのだ。
そんな進んだ未来でも自動車は空を飛んでいない。とすれば、IT・ネットインフラが進化すれば、交通インフラ以上に重要視されるのだろうか、なんて思って見てしまう(それでも物理キーボードを使用するところがオモシロイ)。
今の世界は、VR元年を皮切りに認知度が上がったxRも、ウェアラブルデバイスも、VTuber文化も、電脳インフラへの流れのようにも思えてワクワクする。
20年前にSF映画で見た未来は、現代においてかなり具現化してきており、あとちょっとの未来に。ならば、現在SF映画で見ている世界は、今から何年後だろうか?あと20+数年?それともまだまだ倍以上先の話?特にネット関連や映像技術関連においては、昔ほどには現実味のない遠い未来の話ではないように思う。それだけ、IT・ネットの進化のスピードとニーズは凄まじいのかもしれない。

3D技術なくして世界の未来は語れない!?
上記で語った世界観でも、今の技術と変わらず必要不可欠なものがある、それが「3D技術」。
その昔、自動車によって距離の概念が一新し、活版印刷によって考えを形にして多人数に伝承できるようになり、人類は急速に進化した。今や、インフラ面ではネットが、そして、伝承面では(活版印刷にあたるものがxRなのか何なのかは定かではないが少なからず根幹を担う要素として)3D技術が、人類の次の進化を担いつつある。
昨今では、デザインとテクノロジーの融合が加速度的に進み、新しいクリエイティブが次々に生まれていっている。3DCG映像(映画やCM)、キャラクター(IPキャラはもちろん芸能人までもCGに)、VR(体験型)、VTuber(アイドルのバーチャル化)、IoT製品(電子回路やセンサーも意識した筐体設計)、3Dプリントされたパーツ(金型を必要としない一体成型と適量生産)。このような3D技術でつくられたモノが数多く実用化され、マネタイズされ、我々が意識する間もなく、一般社会に深く溶け込んでいるのだ。

現実と3Dとの境目がなくなっていく
目の前に提示された写真が、現実世界を写したものなのか、完全にCGで作られたものなのか、我々には区別がつかない。それほどに3D技術は進化し、気づかない間に溶け込んでいる。そしてそれは「平面」だけでなく「空間」と「人物」にも同様のことが言えるようになってきた。
「建築ビジュアライゼーション」というジャンルでは、物理シミュレーションを活用することで、これまでにないリアルな建築パースの作成が可能となっている。また、「フォトグラメトリ技術」を駆使することで、現実世界の構造物を完全に3D空間に落とし込むことが可能になった。
マシンスペックが高まることで描画速度が向上し、いかに現実に近しい表現を行うかという「フォトリアル」と呼ばれるジャンルが生まれ、映画やゲームの世界では多用され始めている。また、昨年度Epic Gamesが発表したデモでは、レイトレーシング技術を物理シミュレーションソフトに活用し、本物と見間違うレベルのリアルさを実現する描画を「リアルタイム」で行った。
よりフォトリアルに、よりリアルタイムに、空間や人物に至るまで、現実と3Dとの境目がなくなっていくようになれば、xRや映像メディアなどの媒体自体も、そのコンテンツの作り方自体も大きく変化するに違いない。そしてそれらすべてが我々の生活と密接に関わっており、人類はまた一段と急速に進化するだろう。
それだけ未来において3D技術が担う要素は大きいと言える。

「デジタルファブリケーション」が創り出す未来
ものづくりを支える技術としての「デジタルファブリケーション」。メイカー的な思考でやってみることを指す概念としての「デジタルファブリケーション」。加えて、凄まじい速度で進化するIT・ネットインフラ。自己発信として活用される映像メディア。デザインとテクノロジーが融合して生まれる新しいクリエイティブ。そして、それらすべてに欠かせない「3D技術」。これらが進化した先にある未来は、いったいどのような世界になっているのか?
想像するだけでもワクワクするが、私としては、今後も3D技術を追求し続けていくことで、昔見たSF映画の世界を、SF“だった”未来へと、自らの力で変えていきたい。そう考えている。

Kanazawa.IoTは、IoTに関わる石川県在中の各分野のスペシャリストたちが任意で集まった団体です。
IoTに関する勉強会や、知識の共有、実践的なワークショップ、イベントへの出展などを通じ、石川県におけるIoTの普及につとめています。
Kanazawa.IoTに関する情報は公式HPもしくは、noteを御覧ください。
IoTやプロダクト、3Dプリンタに関するご意見や、記事にしてほしいことなど、リクエストもお待ちしています!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?